読売新聞の嘘とほんとう
自民党憲法改正草案を読む/番外381(情報の読み方)
2020年08月24日の読売新聞(西部版14版)が「連続在職最長政権(政策点検)」という記事を1面、4面で展開している。
1面の見出しは、
アベノミクス コロナで失速
記事中には、こういう文章もある。
公明党の山口代表は(略)「アベノミクスが政権最大の成果だ。日本経済を立て直した。でも、こうなった。正直、かわいそうである」
首相がかわいそうか。国民はどうでもいいのか。
だいたい、アベノミクスは本当に成功したのか。
4面の見出し。
幻の「戦後最長景気」/3本の矢 成果は限定的
記事中に、2012年の安倍返り咲きと同時に始まった景気回復が戦後最長のいざなみ景気(73か月)の記録を更新した、と政府が19年1月に発表した、とある。
しかし、これは嘘だった。
記事は、こう書いている。
今年7月、(略)内閣府の「景気動向指数研究会」(略)が、実際には18年10月に景気は景気後退に転じていたとの判断を下した。アベノミクスによる「戦後最長景気」は、幻だった。
注目しないといけないのは、2点。
①安倍が「戦後最長景気」と発表したのが「19年1月」と、「景気後退」の判断できる時期が「18年10月」という点。時差が「3か月」ある。「景気動向」はいろいろな発表があるが、毎月の他に「4半期」という単位がある。「3か月」ごと。「3か月」もあれば、かなり「傾向」がはっきりする。「18年10月」から「19年1月」までちょうど「3か月」。この段階で「戦後最長ではなくなっている」ということは専門家ならだれでもわかっていることだろう。経済ジャーナリストなら、それなりに資料をもっているから、それを分析すれば、「戦後最長ではない」と判断できただろう。しかし、そういうことは読売新聞をはじめ、マスコミは書かなかった。もちろん安倍もわかっているはずである。それなのに、安倍は嘘をついたのだ。
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https://note.com/yachi_shuso1953/n/n8068f51f407b
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②「景気動向指数研究会」の「18年10月に景気は後退に転じていた」と発表した時期も問題だ。「今年の7月」。7月に何があったか。コロナ感染が拡大し、景気が悪くなっていることがだれにでもわかる状態だった。安倍は、もう嘘をつけない。そして、この「嘘をつけない」という状況を利用して、実は景気後退は「18年10月に始まっていた」と本当のことを言ったのだ。7月の状況は、「景気後退がいつ始まったか」を判断するというようなのんびりしたものではない。だれもが苦しんでいた。つまり、「景気後退の時期をどうこう問題にするよりも、いま、これからどうするか、それを決めてくれ」という状態だった。どさくさにまぎれて、「実は嘘をついていました」と言ったにすぎない。そして、どさくさに追われて、ジャーナリズムも安倍の嘘を追及することを忘れてしまった。
これは言い換えれば、安倍は「コロナ拡大」問題を利用して、アベノミクスの失敗をかくした、ということである。「戦後最長景気」は「幻」ではなく「大嘘」だったのに、「嘘つき」と追及されることをさけるために、コロナ不安の最中に、「判断が間違っていました」と言ってごまかしたのだ。その「ごまかし」にジャーナリズムは乗ってしまっている。
「嘘」を「幻」と言い換える読売新聞の手口は、安倍の情報操作を後押しするものである。「幻」は「錯覚(現実誤認)」と言い換えることができるが、「嘘」は「現実誤認」ではなく「情報操作」である。
安倍は「大嘘」をついた。この段階で、国民はすでに被害を受けている。それなのに、山口は安倍のことを「かわいそう」と呼んでいる。国民がかわいそうとは思わないらしい。
どんな「情報」でも最後まで読んで、それが本当かどうか判断するひとは意外に少ない。たいてい最初の方に納得できることが書いてあれば、それで満足する。新聞は特に、最初に大事なことを書く、あとは付け足しというのが記事スタイル(見出しスタイル)なので、とっかかりが大事だ。
アベノミクス コロナで失速/安倍がかわいそう
ということばを最初に読めば、多くの読者は、そう思い込んでしまうかもしれない。しかし、コロナの前にアベノミクスは失速していた(失敗していた)のである。経済が失速しているときこそ、経済対策が重要である。経済活動を阻害する要因とどう立ち向かうかが重要である。
コロナ対策は、何よりも緊急の対策だったのだ。
しかし、安倍は何をしたか。使い物にならないマスクを配っただけである。感染を拡大する「GOTOキャンペーン」を推し進めただけである。
不景気にコロナ拡大/安倍政策完全失敗
この視点から、安倍政権がやってきたことを見直さないといけない。安倍を「よいしょ」するために、どういう書き方ができるか、というようなところに「知恵」(忖度)を傾けるべきではない。
もっと根本から見つめなおさないといけない。アベノミクスの「嘘の経済成長」を支えたのは、「派遣」や「海外研修生」のような、「低賃金非正規雇用者」である。賃金をおさえることで企業の収益を確保した。法人税も優遇した。その結果、国民は自分の生活を安定させることができなかった。もしひとりひとりが充分な賃金を得ており(所得税が増えておれば/国庫が豊かであれば)、さらに貯蓄もできていれば、コロナ発生時に思い切った対策に、国も個人も耐えることができただろう。国民はある程度我慢できただろう。それができない状況は、いつから、どうして生まれたのか。ジャーナリズムは、そのことをこそ追及しないといけないのではないのか。
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幹事長続投・次期首相
という路線が、ふたりの「思惑」であるだけではなく、その「路線」を読売新聞が支持しているということだろう。支持とまでは明確に言えなくても、すくなくとも「麻生首相」には反対しているのだろう。麻生がこの記事に対して、どう反応するか、それを確かめるために書いた「アドバルーン(観測気球)」なのだろう。そうでなければ、
9月に想定される内閣改造・党役員人事を前にした両氏の緊密ぶりに、党内からは「二階氏の幹事長続投に向けた地ならし」(中堅)との見方がある。一方、菅氏を次期首相に推す声も根強く、「ポスト安倍レースに向け、二階氏と手を組もうという動きではないか」(党関係者)との臆測も呼んでいる。
とまでは、書かないだろう。「ふたりの思惑」を超えて、「自民党の思惑」を固めようとしている。
と考えれば考えるほど、「評論家」が気になる。こんな「欲」がからんだだけの「会合」に同席するというのは、いったい、だれなんだろうか。
読売新聞の記事は明らかにしていない。しかし、「評論家」と書くだけで、政治家周辺にはすべてがわかるのだろう。すべてをわからせるために「評論家」が同席したということは、記事に残したのだろう。
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「情報の読み方」は9月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
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