詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

谷川俊太郎詩集『虚空へ』百字感想(14)

2021-12-22 09:28:55 | 谷川俊太郎『虚空へ』百字感想

谷川俊太郎詩集『虚空へ』百字感想(14)

(これを)

これを
好み
それを
嫌う

ヒトは選ぶ
物を事を
人を
自分を

唯一の
太陽に灼かれ
己れに迷い

無数の
因果の網に
かかって

 「ヒト」と「人」、「自分」と「己れ」はどう違うか。「因果」ということばに誘われて因数分解(?)をしてみたくなる。(ヒト×己れ)÷(人×自分)=0のとき、詩を顕現させる感情と肉体の値を求めよ。

 

 

 


(誰もが私なのに)

誰もが

なのに君が
いる

私の
言葉を
人々とともに
生きて

君の
言葉に
私はいるか?

意味とともに
無意味を
喜んで

 自分と他者の問題は難しい。私は「君」は「私の必然」と考える。「必然問題」が「君」だ。「君」をどれだけ語れるかという問いが「絶対的無」として「私」に帰ってくる。「誰も」では「絶望的虚無」が残る。

 

 

 

 

 

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緑が
目に沁みる

風が吹いて
揺れる葉が
今ここを
告げるから

人がすることを
今日も
する

必要は
不要
自足する
宇宙

 「する」。それは「自足」と、どう関係しているか。「必要は/不要」を「不要は/必要」と言い換えるとき、「不要」は「無意味」に変わり、「無意味は/意味」ということばのなかで「自足/する」だろう。

 

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