詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

Vicente Barbera Albalat「MPERMANENCIA」(facebook)

2022-05-21 09:20:11 | 詩(雑誌・同人誌)

フェイスブックのVicente Barbera Albalatのページで「MPERMANENCIA」を読んだ。

「MPERMANENCIA」

Todo y nada al mismo tiempo.

Quisiera contestar a tus preguntas
y poder para siempre convencerte 
de que resulta inútil pretender
vivir en este mundo sin morir.

Se muere cada día poco a poco,
si bailas, si paseas, si estás triste.
Se muere sin quererlo, en cada instante,
pero también se vive si disfrutas

de un tierno amanecer cada mañana.
La inextricable impermanencia de
las cosas y la vida son momentos.

Recrea los segundos del  presente.
Considera el amor y el desengaño
como el todo y la nada al mismo tiempo.

(De "Cuaderno de soledades", Olélibros, 2021)

「色即是空」ということばを思い出した。
「Todo y nada」は直訳すれば「すべてと無」ということになるのだろうけれど。
私はそれを「存在(現実)と無」と「意訳/誤訳」したい。
「存在と無は同時である」。
この場合、重要なのは「同時(時間)」である。
そして私はさらに「時間の中では、存在も無も同じものである」と考える。
言い直せば、世界に存在するのは「時間」だけである。
充実した時間と、空虚な時間がある。
充実した時間の中では、「色即是空」。
このことばは、「無常」の代名詞のようにしてつかわれるが、私はむしろ「非情」の絶対性を語ることばと理解している。

もちろん、私の理解は「誤読」である。

そう承知した上で、私は、書くのである。
Vicente Barbera Albalatのこの詩は、私たちがなじんでいる「色即是空」に通じる精神をもっている、と。

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笠井杢「四丁目公園」

2022-05-21 08:38:08 | 詩(雑誌・同人誌)

笠井杢「四丁目公園」(「アンエディテッド」4、2022年05月31日発行)

 笠井杢「四丁目公園」。

飛行機雲には
空を切り裂いていくのと空を閉じていくのがあって
このジャンボジェットも
遠い空にどちらかを残して
いまは街に腹を晒している

寝っころがれないベンチの
仕切りの向こうに缶コーヒーを置いて
離れてパンをかじる人の安全性を確認しながら
わたしも誰かに見られている

 この「わたしも誰かに見られている」。これは、ちょっといやだなあ。こんな詩を読みたくないなあ、と思う。誰もあなたを見ていない。見たとしても、単に「見た」だけであって、それが意味になること、つまり見た人を変えてしまうことなどない。だれも人のことなど気にしない。それぞれが自分の意味を生きているだけ。
 と言いたくなるのだが。
 この詩の場合は、そうでもない。ふーん、と思ってしまう。
 なぜか。
 一連目のジャンボジェット機の描写が効果的なのだ。

いまは街に腹を晒している

 機体の「腹」が見える。「腹」というのは「無防備」な部分である。ふつうは、さらけださない。さらすことはない。その無防備な「腹」を見たということが、「わたし」に響いてきている。
 それは、こんなふうに考えるとわかりやすい。
 「わたしも誰かに見られている」といっても、それは「腹を晒す/曝す」ような見られ方ではない。「わたしは、だれかに腹を曝したわけではない」。(「腹の内は隠したままだ。」)
 だからこそ、うさんくさいとも言えるのだが、この微妙な揺れ動きが、一瞬のこころの動きをあらわしていて、「嘘/意味」にまでなっていない。そこが、おもしろい。

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