斎藤茂吉『万葉秀歌』(1 1 )(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)
吾はもや安見児得たり皆人の得がてにすとふ安見児得たり 藤原鎌足
万葉ならではの、真っ直ぐな喜び。「安見児得たり」を繰り返している。「やったあ」ではなく「やった、やった」というはしゃぎ方。こういう表現は、とても難しい。まねしようとすると、それが「技巧」になってしまう。
わが里に大雪降れり大原の古りにし里に降らまくは後 天武天皇
なんでもないあいさつのような歌だが、私はとても好きだ。たぶん、私が雪国生まれだからかもしれない。桜が咲いたとか、柿が実ったとかではなく、「雪が降った」は、なぜか、人に知らせたくなる。「降る」が「古り」のなかにもあるのがおもしろいし、「大雪」「大原」「里」の繰り返しと、同じ音が交錯するのもいいなあ。ほかに「に」も。いろいろな形の雪が、つぎつぎに振ってくる感じがする。不思議な華やぎ(雪が降って、うれしい)がある。
あしひきの山の雫に妹待つとわれ立ちぬれぬ山の雫に 大津皇子
「山の雫に」が繰り返されている。なんだか、服を通り越して肌まで濡れる感じがする。茂吉は「こういう簡単な表現はいざ実行しようとするとそう容易にはいかない」と書いている。つまり、まねをすると「技巧」になってしまい、こころが動かない。自然に言ってしまった、ことばになってしまった、という深みがなるなる。
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