斎藤茂吉『万葉秀歌』(13)(岩波書店、1980年、06月25日、第58刷発行)
磐代の浜松が枝を引き結び真幸くあらば亦かへり見む 有馬皇子
家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る 有馬皇子
音がとても静かで、ゆるぎがない。万葉の歌は、読んだとき「口腔」を刺戟してくる音が多いのだが、この二首にはそういう感じがない。非常に引き締まった感じがある。
茂吉は「写実の妙諦」と端的に批評している。
青旗の木幡の上を通ふとは目には見れども直に逢はむかも 倭姫皇后
「直に」ということばが強くていいなあ。有馬皇子の二首にあったのも、この「直」という感覚だ。余分なものがない。
倭姫皇后の「直に」は「一対一で」という印象を引き起こす。余分なものはない。妙な言い方だが、あやふやな「感情」というものがない。こう言っていいのかどうかわからないが、セックスするということと「直に」結びついた感じ。これが、いいなあ、と思う。古今集になると、セックスするにも、なにやら面倒くさい「前技(歌のやりとり)」なんかが必要。万葉も歌のやりとりをしているが、複雑な感情というよりも、早くセックスしたいという欲望のストレートさがあって、感情に汚れていない。
「直に」とは、そういうことだと思う。つまり、「感情に汚れていない」、言い直すと、他人に(第三者に)、感情を見せようとはしていない。相手に欲望さえつたわればいい、という実に正直な感じ。本能、という感じ。
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