101 山下晴代
「はい、こちら、ガブリエル。今から"受胎告知"のお仕事にでます。行き先は当然、あの方……。千人のマリアから千人のキリストが生まれたら、いったいどーなる? その後の世界は」
「♪しあわせが大きすぎて、悲しみが信じられず……」と、ザ・ピーナッツは歌っている。曲は、当然『恋の……』オフィーリアならぬ、"オフェリア"です。
102 橋本正秀
胎児が赤剥けた体を
震わせて誕生する
黄葉の森
水膨れの
肉厚の
絶版の
このページに
類人猿の幼形を保ったままの
胎児は
成熟したかのように
これまでの人生を
書いて書いて書き連ねて
眠る 眠る 眠る
そして朝
よだれまみれのページから
文字は消え失せ
黄色いページだけが
明るく
光っている
103 市堀玉宗
子を宿す絶望に似てこの寒さ
104 二宮 敦
堕胎は大体いかん
太宰は大抵あかん
大帝は最高たらん
垂乳根の母なる腹に子は宿り
ヤドカリはどこにいる
イルミネーションの末裔に
歳末に売り出しあらん
ALSOKには吉田びらん
ビリージョエルのエンディング
105 金子忠政
コケティシュに鼓舞され
苔むす国家へ孤高として
昏倒しながら
小賢しく攻撃をしかける
荒唐無稽の小鬼たちは
小癪なこそ泥のように
ことごとく困惑させるから
サクサク素敵だ
素敵は無敵
無敵は素敵な造反有理
ああ・・・
やるせなさを孕んで
セシウムが空を行く
旋回して
千回地に墜ちて・・・
ジクザグに蝕む
何を蝕む?
106 二宮 敦
コント55号こそセシウムの膿のおやだす
と描きしは
蚊の垢まみれ不二雄
かゆし痒しかりゆし
沖縄の空は
コバルトのごとく
セシウムの君より
五つ歳(とせ)上なりや
107 橋本正秀
素敵な無敵なコント
ゴーゴーとのたうつ的屋の
手の内サンザン
シーシーと
ニャンコとワンワン
ワンダーブルー
ブルーな ブルーな
ブルーな
胎児の脳の
リフレイン
絶望
そう
絶望のみが
希望なの 所望なの
朝に
胎児たつ
リプレース リプレー
108 山下晴代
絶望だけが人生だ、ダザイです。え? ダサイじゃありません。ダザイです。ほら、玉川上水で「成功=性交」した。
どうでしょう? オフィーリアと私の共通点は、周知のとおりでありますが、ワタクシ、さまざまな女と「入水経験アリ」ですから、いいでしょう。千人のオフィーリア、引き受けましょう。でも、言わせてもらえば、私といっしょに「飛び込んだ」女たちは、すべてオフィーリアだったのです。
109 市堀玉宗
人間不信おしくらまんじゆう抜けしより だすげまいねとだすけまいねと
110 二宮 敦
オフィーリアの増殖こそ
彼女の意図する孕みだった
エイリアンに
全ての時代が悩まされ
苦悩するリフレイン
いつ果てることもない輪廻
救いの神仏の登場さえ
謀られた愛の刻印に過ぎぬ
ゆえに全てはまた回帰する
虚脱も離脱も逃避も回避も
許さなれぬ宿世へと
111 橋本正秀
余所者の余計もん
オフィーリアの周りは
そんなものあんなものの
興行一座
神仏さえもお節介もんの
仲間外れ
離脱行に逃避行
手出し口出し
ちょっかい無用
これもあれも
先の世この世の
闇の空間
八百万
のオフィーリアドールの
集団行動マスゲーム
そんなこんなで
オフィーリアは
ついに
オフィーリアの
眼
を持ちました
112 市堀玉宗
冬薔薇叶はぬ愛を抱き寄する
113 金子忠政
冬空のひかりにすがる薔薇の骨それを折る折る、 白き血流る
114 山下晴代
わたしの名前はオフェリアでッス
もちろん芝居に決まってまッス
バラのほね、バラバラのほね
集めてもガイコツにはなりません
これでオワリです
これで尾張です
名古屋の煉獄でハムレットを待ってマス
115 小田千代子
終わる恋 安堵のなかの後ろ髪
引かれ引かれて忘河流るる
116 橋本正秀
冬ごもる二年三年今四年
折れる心根銀河につつむ
117 二宮 敦
オフィーリアは
考えた
引くこと、折ること、終わらないこと
への罪を
勿論贖うためではなく
考えるために
である
思考の回路の維持
何より大切な生命
118 小田千代子
けもの道あゆめぬ女の道案内
小江戸 なみだの苦しコーヒー
119 橋本正秀
ウソとホントの棲んでいる
けもの道には、
ホントとウソと
ウソとホントの
だまくら合戦ありました。
ちょびっとのウソと
ちょこっとのホントを
かけ合わせ、
真(まこと)の花と時分の花が
もたれ合っての罵り合い、
だんまり屋あのだまし絵描きの
描きっぱなしいの
苦み走った脳のなかにゃ、
男と女の本真(ほんま)の子供だましが
口元ゆるめて座ってる。
直球も、
カーブもシュートも、
ミラクル55号も、
あるでよお。
真真(まことまこと)し
ウソ八百の真光りこの世界。
戯れ言、言い言い、
笑え。
嘲え。
オフィーリア。
歌え。
謳え。
オフィーリア。
120 市堀玉宗
まだ愛の足らぬとばかり冴えわたる
「はい、こちら、ガブリエル。今から"受胎告知"のお仕事にでます。行き先は当然、あの方……。千人のマリアから千人のキリストが生まれたら、いったいどーなる? その後の世界は」
「♪しあわせが大きすぎて、悲しみが信じられず……」と、ザ・ピーナッツは歌っている。曲は、当然『恋の……』オフィーリアならぬ、"オフェリア"です。
102 橋本正秀
胎児が赤剥けた体を
震わせて誕生する
黄葉の森
水膨れの
肉厚の
絶版の
このページに
類人猿の幼形を保ったままの
胎児は
成熟したかのように
これまでの人生を
書いて書いて書き連ねて
眠る 眠る 眠る
そして朝
よだれまみれのページから
文字は消え失せ
黄色いページだけが
明るく
光っている
103 市堀玉宗
子を宿す絶望に似てこの寒さ
104 二宮 敦
堕胎は大体いかん
太宰は大抵あかん
大帝は最高たらん
垂乳根の母なる腹に子は宿り
ヤドカリはどこにいる
イルミネーションの末裔に
歳末に売り出しあらん
ALSOKには吉田びらん
ビリージョエルのエンディング
105 金子忠政
コケティシュに鼓舞され
苔むす国家へ孤高として
昏倒しながら
小賢しく攻撃をしかける
荒唐無稽の小鬼たちは
小癪なこそ泥のように
ことごとく困惑させるから
サクサク素敵だ
素敵は無敵
無敵は素敵な造反有理
ああ・・・
やるせなさを孕んで
セシウムが空を行く
旋回して
千回地に墜ちて・・・
ジクザグに蝕む
何を蝕む?
106 二宮 敦
コント55号こそセシウムの膿のおやだす
と描きしは
蚊の垢まみれ不二雄
かゆし痒しかりゆし
沖縄の空は
コバルトのごとく
セシウムの君より
五つ歳(とせ)上なりや
107 橋本正秀
素敵な無敵なコント
ゴーゴーとのたうつ的屋の
手の内サンザン
シーシーと
ニャンコとワンワン
ワンダーブルー
ブルーな ブルーな
ブルーな
胎児の脳の
リフレイン
絶望
そう
絶望のみが
希望なの 所望なの
朝に
胎児たつ
リプレース リプレー
108 山下晴代
絶望だけが人生だ、ダザイです。え? ダサイじゃありません。ダザイです。ほら、玉川上水で「成功=性交」した。
どうでしょう? オフィーリアと私の共通点は、周知のとおりでありますが、ワタクシ、さまざまな女と「入水経験アリ」ですから、いいでしょう。千人のオフィーリア、引き受けましょう。でも、言わせてもらえば、私といっしょに「飛び込んだ」女たちは、すべてオフィーリアだったのです。
109 市堀玉宗
人間不信おしくらまんじゆう抜けしより だすげまいねとだすけまいねと
110 二宮 敦
オフィーリアの増殖こそ
彼女の意図する孕みだった
エイリアンに
全ての時代が悩まされ
苦悩するリフレイン
いつ果てることもない輪廻
救いの神仏の登場さえ
謀られた愛の刻印に過ぎぬ
ゆえに全てはまた回帰する
虚脱も離脱も逃避も回避も
許さなれぬ宿世へと
111 橋本正秀
余所者の余計もん
オフィーリアの周りは
そんなものあんなものの
興行一座
神仏さえもお節介もんの
仲間外れ
離脱行に逃避行
手出し口出し
ちょっかい無用
これもあれも
先の世この世の
闇の空間
八百万
のオフィーリアドールの
集団行動マスゲーム
そんなこんなで
オフィーリアは
ついに
オフィーリアの
眼
を持ちました
112 市堀玉宗
冬薔薇叶はぬ愛を抱き寄する
113 金子忠政
冬空のひかりにすがる薔薇の骨それを折る折る、 白き血流る
114 山下晴代
わたしの名前はオフェリアでッス
もちろん芝居に決まってまッス
バラのほね、バラバラのほね
集めてもガイコツにはなりません
これでオワリです
これで尾張です
名古屋の煉獄でハムレットを待ってマス
115 小田千代子
終わる恋 安堵のなかの後ろ髪
引かれ引かれて忘河流るる
116 橋本正秀
冬ごもる二年三年今四年
折れる心根銀河につつむ
117 二宮 敦
オフィーリアは
考えた
引くこと、折ること、終わらないこと
への罪を
勿論贖うためではなく
考えるために
である
思考の回路の維持
何より大切な生命
118 小田千代子
けもの道あゆめぬ女の道案内
小江戸 なみだの苦しコーヒー
119 橋本正秀
ウソとホントの棲んでいる
けもの道には、
ホントとウソと
ウソとホントの
だまくら合戦ありました。
ちょびっとのウソと
ちょこっとのホントを
かけ合わせ、
真(まこと)の花と時分の花が
もたれ合っての罵り合い、
だんまり屋あのだまし絵描きの
描きっぱなしいの
苦み走った脳のなかにゃ、
男と女の本真(ほんま)の子供だましが
口元ゆるめて座ってる。
直球も、
カーブもシュートも、
ミラクル55号も、
あるでよお。
真真(まことまこと)し
ウソ八百の真光りこの世界。
戯れ言、言い言い、
笑え。
嘲え。
オフィーリア。
歌え。
謳え。
オフィーリア。
120 市堀玉宗
まだ愛の足らぬとばかり冴えわたる