身勝手な論理(安倍の方が身勝手)
自民党憲法改正草案を読む/番外171(情報の読み方)
自衛隊を憲法9条に加憲する(書き加える)。そう主張するとき、安倍は何度か、
(1)「災害救助に当たる自衛隊員を違憲であるというのでは、自衛隊員の子供がかわいそうである」
(2)「自衛隊は違憲であると主張しておいて、実際に北朝鮮が攻撃してきたら助けてくれ」というのは「身勝手」である、と言っている。
この「論理」は「論理」として正しいか。
(1)については、災害救助に当たる自衛隊員を「違憲」と言っている人はいないと思う。自衛隊員が武装していることに対して違憲といっている。武装して海外に出て行くことに対して違憲といっている。
「論理」になっていない。
(2)は少し考えてみる必要がなる。ことばを動かしてみないと「正しい」かどうかわからない。
人はだれでもいのちの危機に直面したら、その前にいる人に「助けて」という。これは「本能」である。極端な話、「殺すぞ」と脅されたら,その「殺す」と主張しているひとに対して「助けて」というだろう。これは「身勝手」ではない。
また、自衛隊員の給料も自衛隊の装備も、「自衛隊の自前」ではない。だれかが金を出している「私警団」でもない。国民の税金から支出されている。金を出しているのだから、金を受け取っているひとに対して「助けて」と言って何が悪いのだろう。国民の当然の権利である。安倍の論理は完全に間違っている。
こんな「自明」なことが、批判もされずに、新聞やテレビで報道されている。
私は自分を「論理的」な人間であると思ったことは一度もないが、そういう私から見ても、この国の「論理」というのはひどすぎる。「権力者」の言っていることを「正しい」と垂れ流している。
(2)の問題を少し別の角度から見ていく。
もし自衛隊が憲法に書き加えられる(加憲される)ことで、「合憲化」した場合、自衛隊に対して「批判」は可能なのか。合憲化している自衛隊に対して、武装して海外へゆくな、武器の使用は領空・領海・領土の中だけで許されている。それ以外は違憲であると主張することは可能なのか。
安倍はきっと「合憲化している自衛隊を批判することは憲法違反である」と主張するようになるだろう。自衛隊批判、防衛戦略批判というのもが禁止されるようになるだろう。
さらに得意な「静かな環境」というものを頻繁に持ち出してくるだろう。選挙で何かが争点になる。議論が沸騰する。そうすると、「国民が静かに熟考し、自分の判断で投票するためには、選挙演説は静かであるべきだ、投票場は静かであるべきだ」という主張が展開されかねない。安倍(与党)の意見は宣伝するが、反論は封じる。そのために自衛隊を導入するということも起きかねない。
東京都議選のとき、稲田が「自衛隊としてお願いする」と言った。同じことが頻繁に起きる。「合憲」の自衛隊がお願いするのだから、その内容は「合憲」であるという主張もなされるだろう。
空想、妄想と思ってはいけない。
自衛隊を「合憲化」したあと、緊急事態事項を憲法に盛り込む。その国民投票のとき、自衛隊が投票場を武器を持って取り囲み、国民がどう投票するかを監視するということが絶対に起きるのだ。
自衛隊は、国民を外国の攻撃から守るよりも前に、国民を監視するためにつかわれるに違いない。安倍は自衛隊(軍隊)を利用して独裁を推し進めようとしている。
こんなことも思い出しておこう。
都議選のとき、安倍は安倍批判を展開する都民に向かって「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言った。あれは単なる暴言ではなく、「憲法違反」である。
国民は憲法で「表現の自由」を保障されている。国民は国家権力に対してどんな批判を浴びせてもいい。
これは逆に言えば、国家(権力)は、国民を批判する権利(自由)をもたないということである。批判する国民をどう統一していくかは、行政をまかせられたものの責任ではあっても、そのとき国民を批判し、切り捨てることは権力には許されていない。
批判する人間のためになぜ働かなければいけないのか、と安倍は言うかもしれないが、それが政治家の仕事というものだろう。批判する人間もおなじ国民であるということを忘れてしまっている。もう独裁者なのだ。
「自衛隊は違憲であると主張しておいて、実際に北朝鮮が攻撃してきたら助けてくれ」というのは「身勝手」であると安倍が言うとき、安倍は国民が税金を払っている、その税金の中から自衛隊の活動費(軍備費)が捻出されているということを忘れている。
予算を作成し、執行しているのが誰であるかを忘れている。その予算の「原資」がどこにあるかを忘れている。
自衛隊には配慮しているかもしれないが、国民に対する配慮を忘れている。こういうことを「身勝手」と呼ぶべきである。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
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