詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(3)

2020-03-17 10:34:56 | 『嵯峨信之全詩集』を読む

鐵の歌

誰も知らず だがすべてが知つてゐる
時計と鏡との間で動かなくなつてしまつた祖国ニホン

 この作品はいつ書かれたものか。「時計と鏡」が何の比喩なのか。状況によってわかるだろう。
 いまのニホンを描いているわけではないが、「誰も知らず だがすべてが知つてゐる」は、現代を言い当てている。
 「知っている」のに「知らない」ふりをする。「知らない」を理由に「何もしない」がはじまる。つまり「動かない」。そして、あとで「私は知っていた」と言う。さらに「私に何ができたか」とも。

 私は「知っている」とはいわない。「わからない」という。そして、わからないことをわからないと書く。わからないことへの怒りを書く。
 いまは。




*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
定価の下の「注文して製本する」のボタンを押すと購入の手続きが始まります。
私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)
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五輪を語る無意味さ

2020-03-17 10:01:58 | 自民党憲法改正草案を読む
五輪を語る無意味さ
      自民党憲法改正草案を読む/番外320(情報の読み方)

 2020年03月17日の読売新聞(西部版・14版)の一面。新型コロナウィルスに関するニュースが、金融緩和策、NY株暴落とつづいている。それにあわせて、

G7「五輪、完全な形で」/首脳テレビ会議 治療薬開発で協力

 という見出し。さらに

IOC 17日臨時理事会

 の見出し。
 いつまで「五輪開催」にこだわるのだろうか。ヨーロッパでは外出禁止や国境封鎖が拡大し、アメリカはヨーロッパからの入国を禁止した。
 いまいちばん大事なのは、ひとの命をどう守るか、だろう。資本家の資産、投資家の資産を保護することでもなければ、五輪を開催することでもない。
 G7のいちばんのテーマが「五輪」であるはずがない。「五輪」を気にしているのは、東京電力福島第一原発の事故を「アンダーコントロール(制御)」していると言った安倍だけだろう。安倍は、日本の新型コロナウィルス問題も「アンダーコントロール」と言ったのかもしれない。しかし、そんなものは見せかけだ。
 どういう国(人)でも、未知のことに出会ったとき、することは同じ。「成功例」を真似する。
 新型コロナウィルス対策で「成功」しているのは中国や、韓国、台湾など一部の国だけだ。その一部も、いささかあやしくなっているが、少なくとも中国は武漢以外の都市での感染を抑制できるところまできている。その中国がとった方法が「人間の移動の禁止(都市封じ込め)」である。だから、どの国でもそれを真似している。外出禁止、集会の禁止などである。
 そういういわば人と人との接触を禁止するしか対策がないのに、人が集まる「五輪」の開催を協議して、いったい何になるのだ。当事者の東京が「中止します」(返上します)と提案しなくてどうするのだ。安倍の顔色をうかがっていて、開催都市といえるのか。東京五輪の責任者といえるのか。

 ちょっと逆戻りして。
 いま、世界各地でおこなわれているのは、中国が実践したコロナ対策であって、日本が実践したコロナ対策ではない。
 日本では、検査をなるべくしない、あるいは検査を遅らせることで、「自然治癒」を促すと同時に、感染者・死者の数を「隠蔽する」という方法である。数字をごまかし、新型コロナウィルスに日本が汚染されていないとみせかけることである。
 この「みせかけ作戦(事実の隠蔽作戦)」はクルーズ船のときからはじまっている。
 検査をしない。徹底した「分離対策」をとらない。その結果、クルーズ船のなかで感染者が拡大したが、その拡大の仕方は、武漢やその他の都市で起きたような激しいものではない。検査していないから、実数があいまいに、低くおさえられている可能性が非常に高い。これは、疑えばきりがないし、疑わなければ、新型コロナウィルスはそんなに危険ではない、ということになる。新型コロナウィルスは、中国の食生活や衛生上の問題で武漢で広がっただけなのだ。ヨーロッパやアメリカ、そして日本のような「衛生管理」がある程度行き渡っているところでは拡大しないという「誤解(先入観)」を与えることになる。
 そして、実際に、そういう「誤解(先入観)」を与えてしまったのだと思う。だから、実際に、長い間、ヨーロッパでは「検査」そのものが実施されていなかったと思う。市民もまさか感染しているとは思わず、それまで通りの生活をつづけた。そして、感染者がみつかり、それを契機に検査をし始めると次々に感染者がわかった。なかには、たしかに検査をする過程で感染する人もいただろうが、潜伏していた感染者が潜伏できる状況ではなくなった、自然に表に出るくらいに拡大してしまった、ということだろう。
 それを考えると、日本の「初動対策」のずさんさは、非常に責任が重い。世界を油断させたのだ。新型コロナウィルスは中国本土の問題にすぎないと錯覚させたのだ。ここには、たぶん急成長する中国への「やっかみ」みたいなものも反映しているかもしれない。中国は苦戦している。苦戦させておけ、という「潜在意識」が働いているかもしれない。そして、それは安倍の「潜在意識(あるいはもっとも基本的な欲望)/中国に主導権を握られたくない」の反映であるかもしれない。みんなが、安倍の間違った欲望に感染してしまったのだ。
 もし日本がクルーズ船の初動で、徹底した対策をとり、それでもなおかつ感染者が増えているということがニュースとして世界につたわれば、世界の警戒心はまったく違ったレベルになったと思う。それこそ「水際作戦(新型コロナウィルスを国内に入れない作戦)」が徹底していただろう。もっと早く実施されていただろう。
 世界中が、「東京五輪を開きたい(東京五輪で、自分が首相であるということを世界にアピールしたい)/中国より日本の方が偉大だ」という安倍の「みえ」のために、ひっかきまわされている。不都合な事実は隠しさえすれば、安倍の思いのままになる、という安倍の気が狂っているとしか言いようのない、無責任な思い込みのために、どこへも行けなくなっている。これは比喩ではなく、実際に、イタリアやスペインの国民は、自宅で「自己隔離」状態、どこへもいけない状態になっている。これは、すぐにも日本でもはじまる。しかし、そのことを安倍は気にしないだろう。だれも家から出られなくなる、というのは「安倍やめろ」という声が「聞こえなくなる」ことだからである。安倍は、それを独裁のチャンスとしてさらに利用するだろう。「非常事態宣言」をすることで「独裁」を完成させるのだ。「独裁」が完成するなら、国民が何人死のうとかまわない、と安倍は思っているに違いない。

 思うに、この安倍の、不都合なことは「隠蔽する」、不都合なことを言う人間は「沈黙させてしまう」というのは、「平成の天皇の生前強制退位」からはじまっている。あのとき、それをスクープしたのが籾井NHKであったことを私たちは思い出す必要がある。天皇を強制生前退位させた、天皇さえも沈黙させることができた。国民を沈黙させること、ただ沈黙させるだけではなく、永遠の沈黙の死へ追いやることなど、安倍は、あのときからまったく気にしていないのだ。そして、その「被害者」が日本国民だけではなく、世界にまで広がっている。
 それなのに、まだ「五輪」と言い張って、「隠蔽工作」を正当化しようとしている。

 世界の経済が破綻する前に、世界中で人間の命が奪われていく。
 G7で語られるべきは「五輪」ではなく、治療薬開発、ワクチン開発などの問題だろう。たぶん、そちらが重点的に話されていると思うが、読売新聞の報道の仕方では、まるで「五輪」がテーマになっている。
 報道は、もっと「大局的」な視点から情報を整理しないといけないのではないか。

 *安倍の「沈黙強要作戦」について書いた「天皇の悲鳴」は(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user _data/booksale.php?id=168072977
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#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
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