経済損失の計算の仕方
自民党憲法改正草案を読む/番外323(情報の読み方)
東京五輪の延期予測が2020年03月24日の読売新聞(西部版・14版)に載っている。安倍の欲望を満足させるためだけに開かれる大会は、さっさと中止決定し、コロナ対策に全力を注ぐべきなのに、何をやっているのだろう、と思う。
で、そのなぜ五輪を中止しないか、ということに関するニュースが2面に小さく載っている。1段見出しで、こうある。
1年延期の場合/経済損失6408億円
関西大学・宮本勝浩名誉教授の試算による。どうやって計算したのか。記事を引用する。(番号は私がつけた。)
①具体的には競技場や選手村、関連施設の維持や管理、清掃、修理などにかかる費用が増えたり、競技種目によっては選考会ををやり直したりすることが想定されている。②中止になった場合の経済損失は約4兆5151億円と推定している。
③宮本氏は「1年間大会を延期しても経済損失がほとんどないというのは間違いだ」と指摘している。
もっとらしいが、素人から見ると、どうしてそうなる?と疑問に思う。
①に関しては、「競技場や選手村、関連施設」は何にも使用せずに、ただ「維持や管理、清掃、修理」をするだけなのか。会場として貸し出せば、そこから収益が入るのではないか。「維持や管理、清掃、修理」を見込んで料金を設定すれば、損失(赤字)にならないだろう。損失が出るような運営ならば、その運営方法が間違っているだけのことだ。問われるのは「運営方法」である。損失が発生する運営方法しか考えられないなら、それは運営者が間違っている。
②には、①と違って「具体的」な指摘がない。中止し、何もしなかったとしたら、その段階で発生する損失は、施設の建設費やさまざまな準備の運営費(人件費)などであろう。それが「約4兆5151億円」か。たぶん、違うだろう。この推計の中には、大会を開催したら収入として入ってくる「利益」が見込まれている。「収益予測(たとえば放送権料、入場料、付随する観光客の旅費)」から「これまでにかけた経費」を差し引いたもの(純粋利益)を「約4兆5151億円」と推定しているのだと思う。
でも、これは、いわゆる「とらぬ狸の皮算用」ではないだろうか。そんな計算をするから「損失」が大きく見えるだけなのではないのか。中止した場合の「損失」は、単純に「これまでつかってきた費用」だけと見るべきだろう。
そして、中止を前提に、つくってきた施設をどう活用して、「収益」を上げていくかということを考えれば、「損失」額は違ってくるだろう。企画次第では、つくってきた施設が活用できるし、大会後の活用を前提として施設をつくっていないとしたら、それはつくった方が悪いのだ。後から利用できなものを金をかけてつくるようなことは、普通のひと(自分で稼いだ金で何かを企画するひと)は考えない。そういうことを考えていないとしたら、それは最初から「巨額損失」が発生する大会だったのだ。
③は、もう、どう批判していいのかわからない。経済損失が出ないように考えるのが、大会にかかわる人間の考える仕事。「これだけ損失が出る」と計算できるひとが、どうして「こうすれば損失が出ない」と考えられないのか、それがわからない。
結局五輪は、「五輪が開かれたら、私のところに収益の一部がまわってくる」と考えている安倍のために開かれるだけなのだ。「開会式で、おれが開いてやった大会だ、と自慢するだけで膨大な金が転がり込んでくるのに」という「とらぬ狸の皮算用」が成り立たなくなった安倍がごちゃごちゃとぐずっているだけなのだ。
コロナウィルスのために世界中で何人ものひとが次々に死んでいる。そして、これからも死んでゆく。五輪など気にせずに、ひとの命のことを考えるときなのだ。ひとが生きていなければ、その後の「経済活動」も生まれない。どんな「収益」も生まれない。生きているひとが働いてこそ、世界は動いていく。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
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