詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(5)

2020-03-19 10:54:43 | 『嵯峨信之全詩集』を読む

彗星

きふに一群の駒が一つの方向にむかつて駆けだした
詩語のやうに並んだ駒に風がつよくあたる

 「並んだ」は「並んで駆けている」ということだと思う。つまり「一つの方向」を言い直したものだ。そしてそれは「ばらばら」ではなく「並んだ」状態。「並ぶ」には「整える」という意味があると思う。
 これはそのまま「詩語」の比喩、「詩」の比喩になっている。
 詩は「詩語のやうに」と「詩語」が比喩であるかのように書かれているが、逆に「一群の駒」が「詩」の比喩なのだ。
 「風がつよくあたる」は、だから、とてもおもしろい。新しい「詩」はいつも「逆風」のなかで生まれる。「逆風」をついて走るとき、「詩」は輝く。




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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
定価の下の「注文して製本する」のボタンを押すと購入の手続きが始まります。
私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)
コメント (1)
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