彗星
きふに一群の駒が一つの方向にむかつて駆けだした
詩語のやうに並んだ駒に風がつよくあたる
「並んだ」は「並んで駆けている」ということだと思う。つまり「一つの方向」を言い直したものだ。そしてそれは「ばらばら」ではなく「並んだ」状態。「並ぶ」には「整える」という意味があると思う。
これはそのまま「詩語」の比喩、「詩」の比喩になっている。
詩は「詩語のやうに」と「詩語」が比喩であるかのように書かれているが、逆に「一群の駒」が「詩」の比喩なのだ。
「風がつよくあたる」は、だから、とてもおもしろい。新しい「詩」はいつも「逆風」のなかで生まれる。「逆風」をついて走るとき、「詩」は輝く。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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