感染治療か高度医療か?
自民党憲法改正草案を読む/番外339(情報の読み方)
2020年04月18日の読売新聞(西部版・14版)の1面に「新型コロナ/医療現場から」という連載が載っている。きょうは「中」。その見出し。
読んだ瞬間に思うのは、なぜ「か」なのか。
感染治療「も」高度医療「も」、両方とも行えばいいじゃないか。なぜ、どちらかを選ばないといけないのか。
ここに書かれている「感染治療」は「新型コロナ対策の治療」を言うのだが、最初の疑問は「感染治療」の「治療」は、「高度医療」の「医療」とどう違うのか。
読売新聞は、記事中で「高度医療」ではなく「高度治療」ということばを、こうつかっている。
では、新型コロナウイルス患者は「難治性」ではないのか。ヨーロッパの多くの国では感染者の1割が死んでいる。それも感染から短期間に、である。これは私の感覚では、治るのが難しい病気に見える。また、一般病院では治療できないとも思う。実際に、「かかりつけ医」で治療できないからこそ、いま、問題になっている。
だから、私は新型コロナの診断・治療を「高度治療(医療)」と読んでも何の問題もないと考える。
さらに、この連載には写真がついていて、その写真説明には、こうある。
「高度な技術、設備」が必要な場合、それを「高度治療」というらしい。だのに、新型コロナは「高度治療」にはなっても、「高度医療」ではないらしい。
なぜ?
「高度(感染)治療」と「高度(難病)医療」はどう違う? 「感染」と「難病」が違うは違うが、新型コロナが「簡単な治療ではない」のなら、この場合「感染=難病」ではないのか、と考えると、ますますわからなくなる。
まず、そのあたりから考えないといけないようだ。でも、素人には、どう考えていいか、わからない。
逆に考えてみる。「高度治療」はわきにおいておいて、「高度医療」って、なに?から考える(ほかにも「先進医療」ということばも聞くが、ここでは、それも脇に置いておく。)
私は私の知っていることば、日常でつかうことばで考える。
たとえば「脳外科手術」「心臓移植手術」は、街中の「かかりつけ医」ではできない。だから、「高度医療」だな、と思う。それから事故にあった人の緊急手術、すぐに手術しないと死んでしまうひとへの治療も「高度医療」だろうなあ、と思う。「町医者」ではできないからね。
で、そういう「医療」は「高度」な技術、設備が必要であると同時に、たぶん「高額」の治療費がかかる。よく子どもが心臓移植手術を受けるための「資金集め」のような記事が新聞に載っている。幼いいのちを助けるために協力しよう、ということだ。金が「高額」なのだ。それは医者に対して、高額な報酬が支払われるということでもあるだろう。
新型コロナウイルスの場合、どうなのかな?
エクモをつかうから、それなりの負担があるのかな? それは、つかう機器への使用料であって、その機器を操作する医師への報酬はどうなっているのかな? わからないから想像するだけなのだが、そんなに高くないのかもしれない。
どうも、新型コロナ治療は、危険が多いけれど、高額の報酬(収入)につながらないから、かかわりたくない。もっと感染症への不安が少なくて、実入りのいい仕事がいい。コロナ対策に手を取られて、そういう高額収入のチャンスを逃すのはおしい。そういうと露骨になるので、新型コロナ患者が殺到しては、「脳外科手術」「心臓移植手術」など緊急を要する医療が行えなくなる、「高度医療」が行えなくなる、「医療崩壊」が起きる、と言っているように聞こえる。
たしかに脳の手術、心臓の手術は1分1秒をあらそう「緊急治療」かもしれない。交通事故でもそういうことが起きるかもしれない。でも、新型コロナでも、1分1秒とはいわないまでも、あっという間に死んで行くひともいる。死んで行くひとには、それが1週間でも、1分1秒とかわらない。重要な時間だ。ほったらかしにされたくない。
なぜ「感染治療」か、「高度医療」か、を選ばなくてはいけないのか。両方ともやれないのか。感染治療「も」高度治療「も」やれないのか。
感染治療には、まず、隔離施設が重要になる。中国は、あっというまに病院を建設した。このとき必要になるのは病院の建設費である。これを医者の「報酬」に上乗せするのは難しいね。
韓国では検査を徹底した。検査のための器具(薬剤)、検査技師が必要になる。器具は企業の収入。検査技師にも収入がはいる。でも、医師には? 入るは入るが、そんなに「魅力的な額」ではないのかもしれない。
あまり収入につながらないひとを診察するよりも、高収入につながる患者を診たい。どうも、そういう「心理」が動いているように見えてしようがない。
「医療崩壊」の前に「医療倫理崩壊」が進んでいる。そしてそれが国民の「健康崩壊」を拡大している。
いのちを重視するなら、隔離病棟をたくさん建設する。検査を拡大し、感染者を発見し、病院に隔離し治療する。それがいちばん的確な対処方法だろう。感染しているかどうかわからないから、感染していると仮定して、ひとりひとりが自己責任で家にとどまる、というだけではだめだろう。ひとりひとりが外出しないというだけではなく、症状のある人をしっかり検査し、陽性とわかれば、家ではなく、専門の病棟に入院させ、治療することが大切だ。布マスクを配るよりも、絶対的に効果があるだろう。
軽症の感染者を隔離し、治療するというのは「高度医療」ではないかもしれない。医師の収入にはあまりつながらないかもしれない。けれど効果的な「感染症」対策ではないだろうか。感染したら1割の人は死んでいく恐れがある。その1割のひとを基準に、新型コロナ対策は構築されるべきではないのか。
ふつうにつかわれていることばの背後にもたくさんの「意味」がうごめいている。めったにつかわないことばの裏には、それよりももっと「意味」がうごめいている。
「医療崩壊」ということばは、「医療」も「崩壊」も中学生くらいならわかることばなので、「意味」がわかったつもりになる。「感染治療」も「高度医療」も同じ。でも、私は日常ではつかわない。私が「医療関係者」ではないことも理由だが。
私は、こういう「専門用語」がつかわれはじめるとき、背後には、かならず私の知らない「意味」が隠されていると考える。そして、その「意味」を問いただそうとすると、かならず、こういう反撃がかえってくることを知っている。「何も知らない人間が何を言うか(専門家の言うことを聞け、おれの言うことが正しい)」である。
カタカナ用語に多いのだが、今回はなせか「漢字」だった。そのために、多くのひとが、その「意味」をあまり考えていないように思える。カタカナ用語のときは、あ、わからないな、という顔をするのに、「医療崩壊」はすぐに納得する。
「緊急事態宣言」も同じだな。
このあとすぐに「緊急事態事項」と言い直され、憲法改正が必要という動きになるぞ、と思う。すでに安倍は議員に「地元に帰れ(有権者に訴えろ)」と役員会で言っている。新型インフルの「緊急事態」と自民党改憲案の「緊急事態事項」の違いを自分のことばで考え直すということは、あまりないだろうなあ。
すると、すぐに戦争がはじまる。「新型コロナウイルスは武漢の研究所から漏れた」というような「噂」を利用して、中国への攻撃、同調しない韓国への攻撃という具合に、安倍の「侵略戦争」がはじまる。
あ、これは、書きすぎかもしれない。きょう書きたいと思ったことから脱線してしまったが。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
*
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自民党憲法改正草案を読む/番外339(情報の読み方)
2020年04月18日の読売新聞(西部版・14版)の1面に「新型コロナ/医療現場から」という連載が載っている。きょうは「中」。その見出し。
感染治療か高度医療か
読んだ瞬間に思うのは、なぜ「か」なのか。
感染治療「も」高度医療「も」、両方とも行えばいいじゃないか。なぜ、どちらかを選ばないといけないのか。
ここに書かれている「感染治療」は「新型コロナ対策の治療」を言うのだが、最初の疑問は「感染治療」の「治療」は、「高度医療」の「医療」とどう違うのか。
読売新聞は、記事中で「高度医療」ではなく「高度治療」ということばを、こうつかっている。
(大学病院や国立がんセンターなどの病院は)、難治性のがんや難病の治療といった一般病院でできない高度治療も行う。
では、新型コロナウイルス患者は「難治性」ではないのか。ヨーロッパの多くの国では感染者の1割が死んでいる。それも感染から短期間に、である。これは私の感覚では、治るのが難しい病気に見える。また、一般病院では治療できないとも思う。実際に、「かかりつけ医」で治療できないからこそ、いま、問題になっている。
だから、私は新型コロナの診断・治療を「高度治療(医療)」と読んでも何の問題もないと考える。
さらに、この連載には写真がついていて、その写真説明には、こうある。
体外式模型人工肺(ECMO=エクモ)を使い、重症者の治療を行う医師ら。重症者の診療は高度な技術や設備が必要だ
「高度な技術、設備」が必要な場合、それを「高度治療」というらしい。だのに、新型コロナは「高度治療」にはなっても、「高度医療」ではないらしい。
なぜ?
「高度(感染)治療」と「高度(難病)医療」はどう違う? 「感染」と「難病」が違うは違うが、新型コロナが「簡単な治療ではない」のなら、この場合「感染=難病」ではないのか、と考えると、ますますわからなくなる。
まず、そのあたりから考えないといけないようだ。でも、素人には、どう考えていいか、わからない。
逆に考えてみる。「高度治療」はわきにおいておいて、「高度医療」って、なに?から考える(ほかにも「先進医療」ということばも聞くが、ここでは、それも脇に置いておく。)
私は私の知っていることば、日常でつかうことばで考える。
たとえば「脳外科手術」「心臓移植手術」は、街中の「かかりつけ医」ではできない。だから、「高度医療」だな、と思う。それから事故にあった人の緊急手術、すぐに手術しないと死んでしまうひとへの治療も「高度医療」だろうなあ、と思う。「町医者」ではできないからね。
で、そういう「医療」は「高度」な技術、設備が必要であると同時に、たぶん「高額」の治療費がかかる。よく子どもが心臓移植手術を受けるための「資金集め」のような記事が新聞に載っている。幼いいのちを助けるために協力しよう、ということだ。金が「高額」なのだ。それは医者に対して、高額な報酬が支払われるということでもあるだろう。
新型コロナウイルスの場合、どうなのかな?
エクモをつかうから、それなりの負担があるのかな? それは、つかう機器への使用料であって、その機器を操作する医師への報酬はどうなっているのかな? わからないから想像するだけなのだが、そんなに高くないのかもしれない。
どうも、新型コロナ治療は、危険が多いけれど、高額の報酬(収入)につながらないから、かかわりたくない。もっと感染症への不安が少なくて、実入りのいい仕事がいい。コロナ対策に手を取られて、そういう高額収入のチャンスを逃すのはおしい。そういうと露骨になるので、新型コロナ患者が殺到しては、「脳外科手術」「心臓移植手術」など緊急を要する医療が行えなくなる、「高度医療」が行えなくなる、「医療崩壊」が起きる、と言っているように聞こえる。
たしかに脳の手術、心臓の手術は1分1秒をあらそう「緊急治療」かもしれない。交通事故でもそういうことが起きるかもしれない。でも、新型コロナでも、1分1秒とはいわないまでも、あっという間に死んで行くひともいる。死んで行くひとには、それが1週間でも、1分1秒とかわらない。重要な時間だ。ほったらかしにされたくない。
なぜ「感染治療」か、「高度医療」か、を選ばなくてはいけないのか。両方ともやれないのか。感染治療「も」高度治療「も」やれないのか。
感染治療には、まず、隔離施設が重要になる。中国は、あっというまに病院を建設した。このとき必要になるのは病院の建設費である。これを医者の「報酬」に上乗せするのは難しいね。
韓国では検査を徹底した。検査のための器具(薬剤)、検査技師が必要になる。器具は企業の収入。検査技師にも収入がはいる。でも、医師には? 入るは入るが、そんなに「魅力的な額」ではないのかもしれない。
あまり収入につながらないひとを診察するよりも、高収入につながる患者を診たい。どうも、そういう「心理」が動いているように見えてしようがない。
「医療崩壊」の前に「医療倫理崩壊」が進んでいる。そしてそれが国民の「健康崩壊」を拡大している。
いのちを重視するなら、隔離病棟をたくさん建設する。検査を拡大し、感染者を発見し、病院に隔離し治療する。それがいちばん的確な対処方法だろう。感染しているかどうかわからないから、感染していると仮定して、ひとりひとりが自己責任で家にとどまる、というだけではだめだろう。ひとりひとりが外出しないというだけではなく、症状のある人をしっかり検査し、陽性とわかれば、家ではなく、専門の病棟に入院させ、治療することが大切だ。布マスクを配るよりも、絶対的に効果があるだろう。
軽症の感染者を隔離し、治療するというのは「高度医療」ではないかもしれない。医師の収入にはあまりつながらないかもしれない。けれど効果的な「感染症」対策ではないだろうか。感染したら1割の人は死んでいく恐れがある。その1割のひとを基準に、新型コロナ対策は構築されるべきではないのか。
ふつうにつかわれていることばの背後にもたくさんの「意味」がうごめいている。めったにつかわないことばの裏には、それよりももっと「意味」がうごめいている。
「医療崩壊」ということばは、「医療」も「崩壊」も中学生くらいならわかることばなので、「意味」がわかったつもりになる。「感染治療」も「高度医療」も同じ。でも、私は日常ではつかわない。私が「医療関係者」ではないことも理由だが。
私は、こういう「専門用語」がつかわれはじめるとき、背後には、かならず私の知らない「意味」が隠されていると考える。そして、その「意味」を問いただそうとすると、かならず、こういう反撃がかえってくることを知っている。「何も知らない人間が何を言うか(専門家の言うことを聞け、おれの言うことが正しい)」である。
カタカナ用語に多いのだが、今回はなせか「漢字」だった。そのために、多くのひとが、その「意味」をあまり考えていないように思える。カタカナ用語のときは、あ、わからないな、という顔をするのに、「医療崩壊」はすぐに納得する。
「緊急事態宣言」も同じだな。
このあとすぐに「緊急事態事項」と言い直され、憲法改正が必要という動きになるぞ、と思う。すでに安倍は議員に「地元に帰れ(有権者に訴えろ)」と役員会で言っている。新型インフルの「緊急事態」と自民党改憲案の「緊急事態事項」の違いを自分のことばで考え直すということは、あまりないだろうなあ。
すると、すぐに戦争がはじまる。「新型コロナウイルスは武漢の研究所から漏れた」というような「噂」を利用して、中国への攻撃、同調しない韓国への攻撃という具合に、安倍の「侵略戦争」がはじまる。
あ、これは、書きすぎかもしれない。きょう書きたいと思ったことから脱線してしまったが。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
*
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