詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(42)

2020-04-27 17:01:21 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
* (第三者が二人に近づいてきたが気づかずに通りすぎた)

そのまま丘の向こうへ消えていった
どこでも人生のくりかえしがある

 「第三者」とはだれだろうか。
 嵯峨である、と私は読む。二人がいっしょにいた。それは貴重な時間なのに、その貴重さに気づかずに、その時間と場所を通りすぎてしまった。
 過去の、あるとき、ある場所を思い出している。
 だから「通りすぎた」「消えていった」と過去形で書かれる。そして、過去形で書くことで、過去を思い出している。

*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
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マスク、マスク、マスク

2020-04-27 10:46:49 | 自民党憲法改正草案を読む
マスク、マスク、マスク
       自民党憲法改正草案を読む/番外342(情報の読み方)

 2020年04月27日の読売新聞(西部版・14版)の3面。新型コロナをめぐるニュース。世界中でマスクの争奪戦が起きているという。その世界の動きと関連して、日本のことを書いている。

日本 国内生産広がる/秋には月8億枚

 記事には、こう書いてある。

(日本衛生材料工業連合会)会長の高原豪久ユニ・チャーム社長は、業界全体で今秋に8億枚の生産が可能になるとの考えを示している。

 ふーん。私は、ちょっと息をついてしまう。たしか安倍は2月末のやらせ記者会見で、記者にマスクのことを問わせて、自慢げに「3月には6億枚供給できる」と言っていた。なぜ、自慢げに言ったかというと、その直前にあったアメリカの公聴会(?)でこんなやりとりがあったからだ。議長「国内にマスクは何枚あるか」、担当者「2000万枚ある」、議長「充分な量か。何枚必要なのか」、担当者「1億枚」。これを見た人は何人いるか知らないが、安倍に入れ知恵をした今井だか和泉だかは、もし「6億枚で足りるのか」と再質問されたら、アメリカではこう言っていると言えばいいと助言したのだろう。アメリカをはるかに上回る供給量だ。しかし、そのとき書いたのだが、6億枚を日本人に配ると、1人に6枚も行き渡らない。使い捨てなら1週間ももたない。何も考えずに、ただ、そう言ったのだろう。それが証拠に、スーパーや薬局、コンビニには、いつ言ってもマスクがない。

 脱線した。脱線するしかないほど、私の「ふーん」と深かった。ため息だったのだ。なぜ、ため息が出たか。
 8億枚の前に、こんなことが書いてある。(私が箇条書きに、抜き出した。)

①ユニ・チャーム 5月中に月1億枚の供給をめざす
②シャープ(3月から製造) 当面1日15万枚生産しネット販売する(月450万枚)
③パナソニック 5月末をめどに従業員向けに生産(枚数不明、たぶん市販されない)
④アイリスオーヤマ 6月から月1億5000万枚
⑤王子ホールディングス 6月下旬から月2000万枚。

 製造開始がばらばらなのだが、6月末には全部そろったと仮定して、
 ①+②+④+⑤で、何枚? 約3億1500万枚。
 たぶん、秋までにはもっと生産が増えるはずだ。だが、増えないと仮定しても、さらに充分に生産ができないと仮定しても、
 8億枚-3億枚=5億枚
 「3月末に6億枚」なんて、最初からうそじゃないか。3月中に6億枚なら、秋には6億枚+3億枚=9億枚にならないとおかしい。他の企業が参入してくることを考えれば10億枚ぐらいにならないとおかしいだろう。金もうけのチャンスに、参入して来ない企業がないと考える方がおかしいだろう。

 私の書いていることは、ささいな、どうでもいいことかもしれないが、こういうささいなところに「事実」というものがある。
 マスク騒動では、安倍が朝日新聞の記者に「朝日の通販サイトでは高額で売っている」とかみつくということがあった。安倍が全国に配ることにした布マスクについて問われたときだ。しかし、朝日の通販サイトの商品は、泉大津市の業者が地域再生の一環として取り組んだ「高級品」であり、「高額」に値する商品だった。
 この話には、まだまだ「おまけ」がついていて、安倍の配ったマスクには黴がついていたり髪の毛が混入しているという不良品だった。そのため回収し、配布を中止するということが起きている。
 さらにマスク受注業者は最初は「4社」と発表されたのに、公表されたのは「3社」、しかも受注額も予算を大きく下回っていることが明らかになっている。

 私が今回指摘した「月8億枚」の問題は、予算が絡むわけでも、安全衛生の問題がからむわけでもない。だからきっと誰も問題にしない。だからこそ、私は書いておくのだ。「発覚したうそ」の影に、「発覚しないうそ」が無数にあるはずだ。マスクは「高額」といっても、少し節約すれば買える値段であり、ふつうのマスクは使い捨てにされることが多い。だから見過ごされてしまうかもしれないが、そういうものでも数が重なれば大きくなる。小さいことを見逃してはいけないのだ。
 布マスク配布を提案しただれかは、安倍に「マスク2枚をぱーっと配れば国民は安心する」と言ったらしいが、たしかに具体的な「もの」には人を説得する力がある。だからこそ、その「もの」の背後にあるものを、きちんと認識しないといけない。
 つまり、どこまでもどこまでも、「具体的」につかみ取らないといけない。私はあるひとから「論理的」と言われたことがあるが、わたしは「論理的」ではなく「具体的」なのだ。「具体的」なもの、自分で「具体的にわかる」ことしか信じないのだ。自分で言い直せることしか信じない人間なのだ。
 「3月中にマスク6億枚供給できるは、うそだった」という指摘は「無意味」だろうが、私は「無意味」にこそ「意味」に変えたいと思っている。
 「詩」というのは、「無意味」につまずいて、意識が目覚める瞬間のことだからね。

 いま、ここに一枚のマスクがある。そのとき、そのマスクから、どれだけ具体的なことを自分のことばで言えるか。そういうことが、いつでも問題なのだ。






#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


*

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