詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(38)

2020-04-23 10:17:10 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
* (水辺へぼくは石段を下りていった)

言葉は夕方までに生き返らずに
雨は大きな空白を濡らしながら川口までひろがっていった

 「言葉」と「雨」は不思議な関係にある。異次元的につながる「比喩」になっている。「言葉」は「空白」とつながっている。
 つまり、

言葉は大きな空白を濡らしながら川口までひろがっていった

 と書き直せば、これはこれで詩になる。
 このときの「言葉」は、もちろん「生き返らない言葉」である。死んだというよりも、「不能の言葉」といえばいいのか。
 「不能の言葉」の前にあるのは、「ひろがり」である。それは「空白」よりも広い。



*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
定価の下の「注文して製本する」のボタンを押すと購入の手続きが始まります。
私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)
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実態がわからない

2020-04-23 09:22:33 | 自民党憲法改正草案を読む
実態がわからない
       自民党憲法改正草案を読む/番外340(情報の読み方)

 「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」の「東京の感染者はもっと多いかも」(https://www.covid19-yamanaka.com/cont3/16.html)に貴重な情報が載ってる。
 日々の感染者(増加、死者)は新聞で確認できる。しかし、いったい何人検査したのかは確認できない。検査母数を知らされず、検査結果だけが公表されている。検査結果だけを見ると、感染のピークは過ぎたように見える。しかし、実際は検査がされていないために、感染者が発覚していないだけなのである。2020年04月23日の読売新聞(西部版・14版)によれば、23日午前0時現在の東京都の感染者は3439人、前日比132人である。一時200人を超えていたことを思うと、感染者が減少しているように見えるが、検査している人数が少なければ、当然感染者も少なくなる。ほんとうに減少しているかどうかはわからない。
 さらに慶応大学病院の調査によると、別の病気で入院、または手術予定患者を調べたところ6%がコロナウィルス検査で「陽性」だったという。(読売新聞)単純に考えれば、国民の6%は「陽性」かもしれないのだ。しかし、もちろん違うかもしれない。これは実際に検査しない限りはわからない。

 で、ここから思うのだが。
 なぜ、検査をすすめないのか。実態を明らかにしようとしないのか。検査数を減らすことで「陽性」のひとを少なくみせようとするのか。

 私は、安倍が、国会解散、総選挙を狙っているのではないかと疑っている。感染が拡大すれば、もちろん総選挙どころではない。しかし、感染が縮小していると「装えば」、総選挙ができるだろう。
 すでに書いたことだが(https://blog.goo.ne.jp/shokeimoji2005/e/1ac1fd0ec6d259c9c282ca75360b97ac)、安倍は自民党の役員会(04月13日)で「接触削減 議員は地元で徹底を」と訴えている。議員に「地元に帰れ、そこで支持者と接触しろ」と呼びかけている。「接触削減」を国民に呼びかけながら、議員には「地元で有権者に接触しろ」と言っている。矛盾しているが、これは、総選挙に備えて顔を売っておけということだ。
 安倍のコロナ対策は、ことごとく不評である。ここで総選挙をすれば自民党は敗退するかもしれないというのは、表面的な見方だと私は思う。選挙に勝つには「知名度」が必要だ。
 いま選挙をすれば、知名度があるのは「現職」である。新人は知名度が低い。知名度を上げるには、集会などを開きアピールすることが重要になる。しかし、いまは、コロナ対策のため「3蜜」は禁じられている。集会もできなければ、街頭演説もできない。聴衆が集まってきては危険だからである。ビラ配りも、濃厚接触になる。「新人」が勝つ要素は、非常に少ない。
 安倍は批判を承知で総選挙を強行するだろう。そして、「大勝」する。その結果を前面に押し出し、安倍の政策は支持されたと主張する。そのまま非常事態事項を盛り込んだ改憲へと突き進む。(選挙期間中も、政府に非常事態を指揮する権限があれば、コロナ対策はもっとスムーズに進んだと訴えるだろう。)
 憲法を改正し、「独裁者」になる(ぼくちゃんがいちばん偉い、と主張する)ためなら、安倍は何でもするだろう。国民がコロナに感染し、死んでいくことなど、なんとも思わない。安倍を批判する人間が少なくなる、としか思わないだろう。
 「アベノリスク」と揶揄されるいまを乗り切るには、安倍には総選挙しかない。そして、総選挙を実施するためには、感染者は「減少」傾向をしめさないといけない。感染者を増やさないいちばんの方法は、検査をしないことである。検査をしない限りは、感染していても、感染者と認定されない。

 安倍の野望のために、国民は死の危機にさらされている。


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