詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

Estoy loco por espana(番外篇87)Javier Messía

2020-09-06 18:14:10 | estoy loco por espana


Javier Messíaの作品

No se’ co’mo hace Javier su trabajo.
Yo imagino asi…..
El pone pequen’os trozos de madera sobre un lienzo para pintar de diferentes colores.
Este contraste de color siempre es hermoso.
El cuadrila’tero adjunto esta’ ligeramente alterado.
Hay un ritmo extran’o.
El verde y el escarlata son colores complementarios.
Los dos colores tambie’n son ligeramente diferentes, lo que crea un ritmo, estimula y brilla.
Es un patro’n geome’trico, pero no hay frialdad y puedes sentir el calor de sus manos. Puedo escuchar los latidos de su corazo’n.


ハビエルの作品がどうやってつくられているのか私は知らない。
キャンバス(板か、紙かも)の上に小さな木材の破片(段ボールの破片)を重ねて、色を塗りわけている。
この色の対比がいつも美しい。
張り付けた四角形が微妙に乱れているのが効果的なのか。
不思議なリズムがある。
緑とスカーレットは、いわば補色。
ふたつの色も少しずつ違い、それがリズムをつくり、刺戟し合って輝いている。
幾何学模様だが、冷たさがなく、手のぬくもりを感じる。心臓の鼓動が聞こえるようだ。
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Estoy loco por espana(番外篇86)Joaquin Llorens Santa, Serie. Cuadrados n. 2

2020-09-06 17:26:59 | estoy loco por espana


Joaquin Llorens Santa, Serie. Cuadrados n. 2

?’Que’ es una escultura?
Hay un material y se procesa para crear una nueva forma.
En el caso de Joaqui’n, utiliza el ierro para crear forma que nunca antes habi’an existido.
Una nueva forma de hierro.

Esta combinacio’n de marcos cuadrados.
Pienso en ello como un retrato de hombre abstracto.
Detra’s de su rostro, puedo ver el mundo espiritual de su hombre.
Es una combinacio’n compleja y tiene diferentes expresiones segu’n el a’ngulo de visio’n.
Los cambios son muy delicados.

?’Pero este es la forma de hierro?
?’No es la forma del espacio?
Escribo "mundo espiritual" y de repente lo reconsidero.
Joaqui’n le da al hierro una nueva forma y al mismo tiempo le da al espacio una nueva forma.
Un espacio que sigue en silencio mientras acepta la nueva forma de hierro.
Hay una "conversación" extran’a entre el hierro y el especi. O "mu’sica".

彫刻とは何か。
素材があり、それを加工して新しい形をつくる。
ホアキンの場合は、鉄をつかって、いままで存在しなかった形をつくる。
鉄の新しい形。

この四角の枠の組み合わせ。
私は抽象的な男の肖像だと思ってみる。
顔の背後に、男の精神世界が見える。
複雑に組み合わさっていて、それは見る角度によって違った表情になる。
その変化は、とても繊細だ。

だが、それは鉄の形なのか。
空間の形ではないのか。
私は「精神世界」と書いて、不意にそう考え直すのだ。
ホアキンは鉄に新しい形を与えると同時に、空間にも新しい形を与える。
鉄の新しい形を受け入れながら静謐でありつづける空間。
そこに不思議な「会話」が存在しないか。あるいは「音楽」が。
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破棄された詩のための注釈18

2020-09-06 15:53:11 | 破棄された詩のための注釈

破棄された詩のための注釈18
                        谷内修三2020年09月06日

 階段の踊り場で感情が複雑になった。引き返したい気持ちに襲われた。あの部屋で二人は何を見つめているか。しかし、口元まで出かけたことばは欲望を明確にしたがらなかった。手は、手すりの上で動かない。
 こんなとき、記憶をどこまで遡らせればいいのか。
 呼び鈴がなった。コートを脱ぐのを手伝おうという声に振り向いた。砂糖がたっぷり入った、粘っこいコーヒー。甘さを味わうのか、苦さを味わうのか。集中できない。意識の地下室でキラキラしたものがぶつかりあって、ことばではなく、声が出てしまいそうだ。


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「安倍称賛」をつづける読売新聞(のゴマのすり方)

2020-09-06 10:11:15 | 自民党憲法改正草案を読む
「安倍称賛」をつづける読売新聞(のゴマのすり方)
   自民党憲法改正草案を読む/番外389(情報の読み方)

 2020年09月06日の読売新聞(西部版・14版)の2面。

敵基地攻撃「年内結論」/安倍首相が談話発表へ

 「ミサイル迎撃体制の確立」(防衛)ではなく、「敵基地攻撃態勢の確立」(先制攻撃)を、読売新聞は、どうしても安倍の「レガシー」に仕立て上げたいようである。
 記事は、こう書いている。

 安倍首相は、「ミサイル阻止に関する安全保障政策」についての首相談話を週内に発表する方針を固めた。いわゆる敵基地攻撃能力の保有に関し、年内に結論を出すとの政府方針を示す方向だ。
 首相は当初、在任中に攻撃能力の保有を決断することに意欲を示していたが、検討は次の首相に引き継がれる。首相談話については、将来の政権により強い拘束力が生じる閣議決定を行わない見通しだ。
 政府は、米国や公明党にこうした方針を伝えた。

 菅はたしかに「安倍政治(政策)を継承する」とは語っている。しかし、私が読売新聞を読んだかぎりでは「敵基地攻撃」という問題については、安倍の政策を継承するとは明言していない。
 去っていく安倍が、日本の安全保障について「談話」を出すというのは、どういうことか。
 記事に中には「首相談話については、将来の政権により強い拘束力が生じる閣議決定を行わない見通しだ」とあり、あくまでも安倍の「談話」にすぎないかのように装っている。
 しかし、

政府は、米国や公明党にこうした方針を伝えた。

 そうであるなら、「閣議決定」以上のものなのではないか。まさか「閣議決定」のすべて、「昭恵は私人である」というようなことをアメリカに伝えるはずがない。「談話」を発表する前に、アメリカに伝えたのは、武器購入(爆買い)を忘れてはいない、必ず実行するという「言質」を与えるために伝えたのだろう。「陸上イージス」の代わりに、かならずミサイルを買う、と。
 (こういう、書かずに置けば、だれも気づかないかもしれないことを、「私はここまで知っている、政権の内部に入り込んでいる」と自慢げに読売新聞は書くので、とてもおもしろい。つまり、「ニュースの本質の先取り」がわかる。)
 だから、記事中には、「陸上イージス」を見送ったが……。

米国から購入予定の装備を転用することで、米側の理解を得やすくする狙いもありそうだ。

 と書いてある。アメリカの理解を得るために「適地攻撃システム」をつくる。それを菅に託す。菅に託すけれど、路線をつくったのは安倍である。だから安倍を忘れないで。
 その安倍の叫びを、読売新聞は後押ししている。
 そして、おそろしいことには。

防衛省は、①イージス艦の増艦②レーダーとミサイル発射装置の分離配備――などとともにさらに詳細に検討していく方針で、今月末の来年度予算の概算要求では、金額を示さない「事項要求」となる見通しだ。

 「金額を示さない」は「上限を設定しない」(いくらでもアメリカの要求のままに爆買いする)ということに他ならない。安倍は、ここまで「準備」して政権を去る。だから、トランプが再選されたら、また一緒にやれるように手を回して、と安倍は言っているのだ。

 安倍が「自己保身(と再復活)」のために言っていることを、「独自(特ダネ)」と称して紙面化し、さらにそれによって日本の安全保障を「決定」づけようとしている。
 ジャーナリズムがいましなければいけないことがらは、安倍の8年間の検証であり、また「敵基地攻撃システム」が安全保障にもたらす多様な議論の紹介であるはずだ。安倍がこう言っているから、安倍の言うままにアピールします、ということではないだろう。
 こんなにまでして安倍を「よいしょ」するのは、安倍が再復活してくる「証拠」でもあるだろう。安倍が再復活したとき「読売新聞は、安倍政権のレガシーがなんであるか、それが実現する前から報道し、応援してきた」といって、さらにすり寄るつもりなのだろう。

(このニュース、台風が接近しているため、西部版=九州地区では2面だったが、東京でも2面だったのか。1面だったのではないか、と私は危ぶんでいる。もし1面なら、この駒のすり方はいっそう異常だ。)









*

「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
 

#安倍を許さない #憲法改正 #読売新聞



*

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未知野道「雨」

2020-09-06 09:26:28 | 詩(雑誌・同人誌)
未知野道「雨」(「森羅」24、2020年09月09日日発行)

 未知野道「雨」。未知野道は池井昌樹のペンネームだろう。詩集には収録されなかった中学生時代の作品かもしれないし、いま書いた作品かもしれない。

雨は滴り底へと落ちる……
赤く皮のはげた
だいだい色の木の根もとに
溶けかかる
無数のなめくじのうごめき
生ぐさいえんのしたで
ころころと曲がる白いみみず
かさりとくずれる
色あせたつぼのぼんさい
山の木をなんとなくくさらせてゆく
ぬるい雨

 私は、子供時代の私の田舎の風景を思い出す。そして、私の子供のときでも、ここまでは気持ち悪くなかったなあと思う。
 池井の詩をいつから読み始めたか知らないが、この詩は「雨の日の畳」という作品を思い起こさせる。じめじめと気持ち悪い。気持ちが悪いことを気持ちが悪いと思わずに、そのままことばにする。それが池井の詩だと、私は中学生のころに思った。その印象は、いまも変わらない。
 この気持ちの悪さは、古いものが消えずに残っている、という気持ち悪さである。古いものは捨ててしまいたい、と私は考えているが、池井は手離さないのだ。ぞっとする。いまは池井はずいぶんやせてしまって「別人」に見えるが、むかしは太っていた。その姿を見たとき、ああ、こうやって「肉体」のなかになんでもかんでもためこんでいるんだな、と思った。うーん、気持ちが悪い。
 気持ちが悪いのだけれど、よくわかるところもある。

山の木をなんとなくくさらせてゆく

 これは、はっとさせられる。「古い」というよりも、池井が書くことによって初めて生まれた世界という感じがする。
 きっと、ほかのことばも池井は「古い」とは感じずに、いま初めて生み出していると感じているのかもしれない。「こんな存在、初めて見た」と驚いているのかもしれない。
 そういえば、大学受験の帰りに立ち寄った坂出の池井の家。あの家には「えんのした」があったかなあ。あったにしろ、それは私の家の「えんのした」とは違っていた。私の家では「えんのした」はじゃがいもや何かの「貯蔵庫」のようなものであり、なまぐさい埃の匂いもした。池井の家は「街中の家」で、そういう感じはしなかった。
 脱線したか。
 詩はつづいている。

白く目のただれたおんみつが
きりさかれた しんきくさい
古いたんすのよごれの中へ
しとしとと通じるぬるい雨

 しかし、これはどうみたって「現実」ではないな。「おんみつ」はいまはいない。池井がテレビか映画でみたものが、そのまま紛れ込んでいる。「たんすの傷」を切られる「おんみつ」の夢によって、自分の知っているものに染め上げていく。それはそれでいいのだが、こういう「架空の事実」は、それを体験していない人には共有されない。
 でも、こういうことを池井は、きちんと意識している。

茶色いしみが輪になった
仏間につるされた時計の
黒く浮き出た重いローマ数字
しっとりとぬるい雨に洗われて
遠いうめきの世界の色が
ぬるぬるりと……
にせものの世界にかぶさっただるいほこりが
ゆっくりとかびくさい雨にとかされて
一瞬 過ぎ去った昔の
ため息をもらす時              
ぬるぬるとぬるぬるりと
雨は滴り底へと落ちる……

 「にせもの」ということばをわざと抱え込み、池井の世界を「にせもの」と思うなら思ってもかまわないと開き直ることで、「昔」と「いま」をつなぎとめる。「底」は「過去」であり「記憶」である。
 「記憶」に古さはない。「記憶」を思い出すとき(引き寄せるとき)、それはいつでも「いま/ほんもの」として生まれ変わってくる。
 「輪廻」のように。

 池井は「輪廻」を生きている。この詩では「中学時代の池井」が「未知野道」として生まれ変わり、もう一度生きている。





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嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(100)

2020-09-06 08:16:06 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
* (金にもならぬ)

窓の近くに
水でもくんでおこう

 「水をくむ」ということを、いま、何人の人がするだろうか。「汲む」ということば、そういう動きをしなくなってから「ひとのこころを酌む」ということもなくなったのかもしれない。忖度する、ということはあっても。忖度というのは「くむ/酌む」ふりをして、自分の利益を図る(組むことで自己利益に誘導する)ことだ。
                  
 以前は、水は汲んでおくものだった。いつでもつかえるように。井戸のそばには汲んだ水をためておく「もの」があった。「容器」と呼ぶようなしゃれたものではない。
 「窓の近くに」は井戸から離れている。水を温めるのだろうか。日にさらすことで「消毒」効果もあるのかもしれない。何に入っているのかわからないが、汲んだ水の水面がきらきらと日の光を反射しているのが見える。
 「汲みあげた水」をただ眺めるだけ(金にもならぬ)だけで、こころが動く。そういう時代がかつてはあったのだ。



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