福岡発 コリアフリークなBlog

韓国や韓国語に関するオタクの雑学メモ。韓国映画はネタバレあり。 Since 2005/9.14

「韓流」陰謀説

2007年03月15日 |  〇文化・歴史

高麗大学の教授が書いたちょっとユニークな寄稿文(ソウル新聞
電子版)を読んだ。

韓国の知識人社会の一角には、日本の韓流ブームの背後に
日本の「陰謀」が隠されていたと見る見解があるようだ。

結果論としては、ある程度、説得力を持っている説だとも言えるが、
「ヲタク」には全くナンセンスな話にしか思えない。

--- どんな陰謀なのか?

その答えは下記の翻訳練習に目を通してもらうことにしよう。

ところで、この寄稿文を読みながら、韓国人と日本人の国民性を
比較したくだりでは、思わず失笑してしまった。

ステレオタイプな分析であるとは言え、ある面、妙に生々しい
説得力を持っていた。

筆者は、日本による韓流陰謀説を紹介しながら、そうした陰謀を
はね返し、真の「反日」や「克日」を可能とするためには、韓国人の
国民性を変革する必要があると訴えたいようだ。

そういう意味ではかなり辛口の批評だと言えよう。

しかし、日本社会についての深い理解や洞察もなしに「日本陰謀
説」を寄稿文でとり上げるような筆者の安易な姿勢もまた、真の
「反日」や「克日」につながるとは到底思えないところが悲しい。

少々長くなるが全文の翻訳練習に取り組んでみた。なお、紙面の
都合で韓国語の原文の掲載は省いている。

・・・・・・・・・・・・・・・

■ [文化の広場] 韓国の「ゴネ得」社会と日本文化の浸透
(ソウル新聞 3月15日)

○チェ・ドンホ高麗大学国文科教授・詩人

日本の韓流ブームについて語る韓国人は多い。東京の地下鉄で
何のはばかりもなく韓国語で話ができるようになったのも、日本の
カラオケで韓国の歌を思う存分歌えるようになったのも、韓流の
おかげだと言えよう。韓流ブームの表面だけ見れば、まるで
韓国が日本を占領したような気分に陥ってしまいがちだ。

しかし、私たちの周りをちょっと見渡せば、日本が音も立てずに
静かに韓国の歴史や文化に深く浸透していることがわかる。

ソウルのミョンドンに行って見るとよい。すでにミョンドンの多くの
居酒屋が日本式の居酒屋に変わっている。それは韓流ブームに
よる日本人観光客の増加が原因なので、大したことではないと
受け流すこともできるだろう。

しかし、若者の街として名高いシンチョン(新村)弘益大学前
通り
はもちろんのこと、筆者が勤務する高麗大学のある
アンアム洞
の商店街でも、裏通りに一歩足を踏み入れれば、
そこが日本なのか韓国なのか見分けがつかないほど多くの
日本式居酒屋が軒を連ねている
まるで1930年代の「京城」の
通りを歩いているような雰囲気だ
。さらに驚かされるのは、最近、
多くの店が堂々と日本語の看板を掛けはじめている
という点だ。

問題はこれだけにとどまらない。大型ブックセンターのベストセラー
小説ランキングを見ると、そのリストの中に日本の新世代の
作家たちの作品が相当数を占めている事実が簡単に確認できる。

韓国が日本の韓流ブームに浮かれている間に、日本文化は
音も立てずに韓国の若者文化に深く浸透していると見るべきだろう。
少し深く観察して見ると、日本の成人漫画や同性愛小説が韓国の
若者の間で広く読まれており、韓国の童話まで日本の童話の
影響を受け、非常に残酷な内容に変質している事実まで確認
できる。これらは、韓国文化の深層部にまで日本文化が浸透して
いることを証明するものだと言っても過言ではない。

こうした現状に対し、一角では韓流というものを自然発生的な
ブームと見るより、相当部分、日本人たちが意図的に煽って作り
出したブームと見るべきだとする主張もなされている
独島(竹島)
をめぐる領有権紛争を誘発する事前措置として、韓国人の極端な
反日感情を緩和させる目的の元、公共放送を使い韓国ドラマを
流し韓国民の好意的反応を誘導した
というものだ。

もちろん、当初期待していた以上の爆発的な日本人視聴者らの
反応には、彼ら自身が面食らうほどだった。しかし、日本の韓流
ブームに韓国人が酔いしれている間に、「日流」を拡散させる
とともに独島(竹島)問題を表面化させたのは、彼らの戦略が
驚くほど成功したことを意味している
韓国人が日本の韓流
ブームに浮かれている間に、日本は日本なりの静かな戦略を
駆使し韓国の大衆文化を占領した
のだ。

韓国人は何か問題に直面すると、すぐに頭に血が上り直線的な
言動を取る。感情をむき出しにして一切の妥協を許さない。
うるさくてけたたましい。

逆に日本人は理性的で婉曲的だ。そして、冷静沈着だ。独島
(竹島)問題で韓国人が国を挙げて興奮状態に陥った時、
日本人は静かに理性的にその解決策を模索した。歴史資料の
収集や学問的研究はもちろん、国際司法裁判所への提訴の
準備などを徹底的に進めた。実際に法的な判断が必要となる
場面に対処しようとしているのだ。

韓国人が韓流の裏に潜む問題に目を向けなければならない
理由がここにあるのだ。これは中国の「東北工程」(※)に
対しても同じだ。

(※)高句麗を古代中国の地方政権とみなす中国の歴史解釈。

学問的な蓄積や論理的・理性的な共感がなければ、国内で
いくら大声を上げて叫ぼうが、その叫び声はただうるさいだけで
外には広がらない

最近の流行語で言えば、韓国社会にはあらゆる実定法に優先する
「横車という名の慣習法」が存在していると言う。とにかく、大きな
声が力を発揮し「ゴネ得」がまかり通る。

しかし、このような「ゴネ得」は、人情主義が支配する韓国で
一時的に通用することがあっても、冷厳な国際社会では決して
受け入れられることのない感情的対応だという事実を韓国人は
よく理解する必要がある。

「歴史の建て直し」とは、まさに「ゴネ得」社会の克服から始まる
のだ。そして、そのことを通じてのみ真の「反日」や「克日」が
可能となり、国際競争力も強化される
のだ。

(終わり)


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