日本の少なからざる水田には、「生きた化石」、あるいは「水田の
草取り虫」とも呼ばれている「カブトエビ(トリオップス)」なる
外来種(アメリカ原産)の生物が生息している。
△田植えから1~2ヶ月の間の短い期間に姿を
現わすカブトエビ。(昆虫エクスプローラ)
繁殖力はわりと旺盛なようで、分布地は関東以西の水田を中心に
日本列島のかなりの範囲に及んでいると言う。
しかし、同じ水田で毎年発生するとは限らず、ゲリラ的・局地的に
大量発生するという特徴を持っているそうだ。
一説によれば日本では大正期に初めてこの「カブトエビ」の移入
(侵入)が確認されているが、現在でも飼育セットなどが販売されて
おり、一部で根強い人気を呼んでいるようだ。
以下に引用した韓国経済新聞の記事からは、現代日本での
静かなカブトエビ飼育ブームが韓国にも伝わり、1997年当時の
韓国でも、この「カブトエビ(トリオップス)」が一定の人気を集めて
いたことがわかる。
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■ 2억년전 고생대 생물 '트리옵스', 애완동물/
교육용으로 인기
2億年前の古生代の生物「トリオップス」、新種のペット/
教育用に人気
(韓国経済 1997年2月10日)
2억년전 고생대 생물인 "트리옵스"가 애완생물로 인기를
모으고 있다.
約2億年前の古生代の生物である「トリオップス」がペットとして
人気を集めている。
유통업체인 (주)온라인서비스사가 일본 덴유사로부터 수입
판매중인 트리옵스는 눈이 3개라는 뜻의 절족생물로 원래
이름은 올챙이 새우(Triops longicaudatus).
ネットショッピングを手がけるオンラインサービス社が、日本の
デンユウ社から輸入販売している「トリオップス」とは、「三つ目」と
いう意味を持つ節足動物だ。学名は「Triops longicaudatus」、
英語名は「オタマジャクシエビ」(Tadpole shrimp)だ(※)。
※原文は「オタマジャクシエビ」(Triops longicaudatus)と
なっているが誤りである。正確な記述になるよう訂正の上翻訳した。
なお、日本での正式名は「アメリカカブトエビ」。
이 동물은 최근 미키드랜드사가 어린이용 애완생물과 교육용
으로 상품화 하는데 성공한 제품.
この生物は、最近、ミキトレンド社が子ども用のペットや教育用の
飼育生物として商品化することに成功した。
트리옵스는 말린 알 상태이지만 섭씨 20~30도의 물에 넣어
주면 3일내지 5일후 흰색반점으로 변한뒤 30일뒤에는 5cm
정도의 보기좋은 크기로 자란다.
トリオップスは乾燥した卵を20~30度の水に入れれば、3日から
5日後に白い斑点に変化し、30日後には5cm程度の大きさに
まで成長する。
평균수명은 30~50일로 일본에서는 80일까지 살았다는
기록도 있다.
平均寿命は30~50日で、日本では80日まで生きたという
記録もある。
이 동물은 1개월정도 지나면 배 양쪽에 알 주머니가 생긴다.
トリオップスは生後1ヶ月ほど経つと、腹部の両側に卵の袋が
できる。
알은 0.5mm 정도의 크기로 오렌지색을 띠고 있다.
卵は0.5mmほどの大きさでオレンジ色を帯びている。
이 알을 꺼내 한달 정도 건조시킨후 다시 적당한 수온의 물에
넣으면 다시 트리옵스가 태어난다.
卵を取り出し1ヶ月程度乾燥させた後、適温の水に入れれば
再び孵化しトリオップスが誕生する。
성미가 까다로워 물에서 알칼리성분을 제거해줘야 하며
먹이를 제때 주지 않으면 서로 잡아 먹을 정도다.
飼育には細かい配慮が必要だ。水からアルカリ成分を除去する
必要があり、適量のえさを与えないとお互いに共食いを始める。
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ところがである。
2007年現在、韓国ではこの外来種の「カブトエビ」が「絶滅
危惧種」扱いされているという。
6月16日(土)の今日、テレビや活字で複数の韓国メディアが
この生物の「発見」をかなり大きく取り上げていた。
何とも不可解な話ではあるが、フォトニュースから一つ翻訳練習し
記録しておく。(この記事は約10日前のもの)
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■ 멸종 위기종 '긴꼬리투구새우' 발견
絶滅危惧種「カブトエビ」発見
(ニューシス 6月7日)
환경부 보호야생 동물인 '긴꼬리투구새우'가 경북 문경에서
다량으로 발견돼 학계와 환경보호단체로부터 큰 관심을
모으고 있다.
環境省が保護野生生物に指定している「カブトエビ」が慶尚北道
ムンギョン市で大量に発見された。この発見に学会や環境保護
団体は大きな関心を寄せている。
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さらに「ヲタク」を混乱させてくれたのは、ネイバー百科事典だ。
辞典には「투구새우(カブトエビ)」については、唯一、「Triops
longicaudatus」が「アメリカカブトエビ」として記載されている。
ところが、記載内容が「韓国に分布している」とする要約と
「韓国には生息していない」とする本文で矛盾をきたしている。
ここで、「ヲタク」のネット検索が正確ならば、実は、全羅道や
慶尚道など韓国南部地域に「カブトエビ(トリオップス)」が生息して
いることは、近年、すでに複数の農業技術センターによって
報告されている。
ただ、日本では3種の「カブトエビ」の生息が確認されているが、
韓国の農業技術センター等によって確認されている「カブトエビ」は、
現在のところ「アメリカカブトエビ」1種のみである。
朝鮮半島への「カブトエビ」の移入(侵入)は、近年の飼育ブーム
以前の時期から、おそらくはかなり早く、日本(大正期)とほぼ
同時期に始まっていたと見るほうが自然なのではなかろうか。
日本でも「カブトエビ」移入(侵入)の正確な時期や経路は
わかっていないので、韓国に記録がないのはいたし方ない
ところだろう。
いずれにしろ、外来種を保護種に指定してはいけないという法は
ないが、報道にしろ環境保護行政にしろ、事実関係をより正確に
把握した上でなされる必要がありそうだ。
最後の一言は「ヲタク」の余計なお世話なのかもしれない。
「一言多いのはいつものことじゃねーか!」
(写真とは無関係)
(終わり)
参加カテゴリ:地域情報(アジア)/語学・英会話