円安は韓国社会に日本への旅行者の急増以外の面でも様々な
影響を与えているようだ。
ヘラルド経済新聞にそうした韓国社会の変化を伝える興味深い
記事が掲載されていた。
日韓関係をめぐる最新情報ということで、全文の翻訳練習に
取り組んでみた。
なお、紙面の都合で韓国語の引用は省いた。
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■ 「Made in Japan」の逆襲
(ヘラルド経済新聞 6月22日)
円安を追い風に日本発の「ツナミ」が朝鮮半島に押し寄せている。
「メイド・イン・ジャパン(made in japan)」専門店で扱う商品数だけ
でも5万種を軽く超えている。台所用品からインテリアの小物、
浴室用品、陶磁器など、生活関連用品を中心とした日本からの
輸入商品が韓国市場を席巻する勢いだ。
高すぎて手が出なかった日本製品が、急激な円安の影響で
国産品よりも安くなる逆転現象まで起きている。食料品市場でも
日本食品ブームが起きており、一時期、韓国の消費者から
そっぽを向かれていた日本人デザイナーの衣料製品も韓国に
再上陸した。若者の間では「ニッポンピル(日本スタイル)」(※)
ブームも起きている。まさに「メイド・イン・ジャパン」による空襲
警報が発令されたと言っても過言ではない。
(※)日本風のスタイルやファッションを意味する合成語。「日本+Feel」。
新世界百貨店流通産業研究所のノ・ウンジョン部長は、「1980
年代に『日本風』を経験した世代が現在、経済力を持つ30~40代に
成長し、『日本風』人気が実際の消費行動にまでつながっている。
円安の影響で価格面でもかなりのメリットが生じ、今後も日本商品の
韓国流入の幅が一層拡大していくことが予想される」と分析して
いる。
均一価格で日本製品を販売する専門店では、しゃもじやプラス
チック製収納用品、テーブルカバーなどのような生活用品を
1000~2000ウォン代(約150~400円)で店頭に並べている。
高いものでも3000ウォン(約400円)を超えない。一方、「メイド・
イン・コリア」は、大型ショッピングセンターでも3000ウォン
(約400円)を軽く超えるのが普通だ。
最近では日本からの輸入単価が実に2割ほども下がった。その
影響でOEM(注文相手先ブランド製造)方式ではない純粋な日本
からの輸入品の割合も7~10%ほど高まり、大型ショッピング
センターの「均一価格セール」では日本からの輸入品の割合が
70%にまで上昇した。
日本の「100円ショップ」との合弁会社を運営しているダイソー・
アソン産業のアン・ウンゴル理事は「価格に比べ品質がよく、つくりも
すっきりしており、日本製品は飛ぶように売れている。以前は主な
顧客層が30~40代に限られていたが、最近では中学生から
60過ぎの老人まで層が広がった」と語る。
日本製品の輸入業界も活況を呈している。わずか2~3年前までは
10社にも満たなかった業者が、現在はソウルを中心とした首都圏
だけで40社を超えている。地方まで含めると50社を優に超える。
日本製品の輸入業を手がける「チュマ」の関係者は「月の売り上げが
5億ウォン(販売個数25万)に達する大手の業者だけで首都圏に
10社ほどある。大型ショッピングセンターやデパートも日本製品に
占領されていると見ても大きな間違いではない」と語った。
コンビニ業者のファミリーマートでは、15日から日本製品を中心に
海外製品の特別販売コーナーを設置した。イーマートなどの大型
ショッピングセンターでは、以前は扱っていなかった「サケ」
(日本酒)の販売も始めるなど、日本製品の品揃えを急ピッチで
増やしている。
日本の食料品も円安に健康ブームが重なり韓国市場で販路を
拡大している。現代百貨店の食料品売り場で扱っている日本からの
輸入食料品は1500種あまりを数え、輸入食料品売り場の半分を
占めている。調味料全体に占める日本産の割合も、2004年4%
から2007年7%、今年9%と増えている。日本からの輸入食料品
の売り上げは最近、実に20~30%代の高い伸び率を示している。
日本の食品や調味料を扱う専門店「モノマート」も多くの客で
賑わっている。会社関係者は「円安で日本からの輸入単価が15%
ほど下がった上に、健康ブームも追い風になって日本食マニアまで
生まれている。一回のショッピングで一人が購入する額も平均で
4~5万ウォン(5、6千円)に上っており高い水準だ」と語った。
現代百貨店貿易センター店で調味料を担当しているカン・ユンシク
さんは、「日本の輸入食品類の価格はここ3年間で5~10%ほど
下がっている。一方で国産品の価格は少しずつ上昇してきた。
今後は日本から、チーズやヨーグルトのような乳製品、それから
化学調味料を使っていない食品、冷凍食品、また特に魅力的な
パッケージセットが豊富なギフトフードなども本格的に輸入を始める
予定だ」と語った。
わずか2、3年前までは韓国でほとんど関心を呼ばなかった日本人
デザイナーの衣類も市場を拡大している。ギャラリア百貨店の
ブランド館に出店しているイッセイ・ミヤケのセカンドブランド
「プリーツ・プリーズ(PLEATS PLEASE)」は、各種の輸入ブリッジ
ブランドの中でも上位の売り上げを記録している。ギャラリアは
日本製衣類の人気の高まりを受け、今年2月の春・夏物売り場の
改編時、日本の女性服「ジュカ」を入店させた。
ある業界関係者は「今までのところ、ファッション市場に出回って
いる『ニッポンピル』(日本スタイル)は、日本のデザインを取り入れた
韓国産だが、今後は日本で作られた衣類に取って代わられることも
あり得る」と語った。
(終わり)