廃巣

　先月22日の日記に、我が家のベランダで巣作りをしているアシナガバチの写真を載せました。

　あの時は女王蜂ともう１匹の蜂がいて、たぶんいちばん早く生まれた働き蜂だろうと思っていました。２匹で巣作りに励んでいて、やがて巣は大きくなり、働き蜂も増えるものだとばかり……。

　が、間もなく、働き蜂は姿を消しました。他の生きものにやられたのかもしれません。
　そして、残された女王蜂は１匹で巣を守り、手入れをしていたのですが、その後、新たな働き蜂が生まれることはなく、巣もほとんど大きくならなかったのです。

　お腹の中の卵が受精していなくて、仔が生まれなくなったのかもしれません。

　孤独な女王蜂はずっと巣にいて、時おり餌をとりにでかけたり、水を飲みに行ったりしているようでした。
　しかし、今日は一度も巣で見かけることはありませんでした。

　ここ数日、ずいぶん弱っているように感じていました。
　以前は、ベランダの離れたところに置いてある水栽培のキウイフルーツのところで水を飲んでいたのですが、昨日はそこまで行く元気がないようで、私がすぐそばのプランターに水遣りするとよろよろとそこまで飛んで、土に浸みた水を飲んでいました。昨夜は雨だけでなく風も吹いたので、巣にへばりついていることが出来なかったのかもしれません。

　うまく子孫を残せなかった、気の毒なアシナガバチの女王でした。虫けらとはいえ、何か胸に迫るものを感じます。