惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

1970年

2016-05-31 21:03:25 | 日記

 午後、市内を自転車でうろうろ。

 駅前の本屋さんでは立ち読み。
 実際にやっている時よりも、こうやって振り返ってみると、良い時間だったなあと思います。

 小学館のPR誌〈本の窓〉6月号で、亀和田武さんの連載「60年代ポップ少年」。今回が最終回。
 新左翼のセクトを抜け、マージャン三昧の日々を送るうちに山上たつひこ『喜劇新思想体系』と出会い、ようやく70年代を生きるアグレッシブな気分になった、とあります。
 私が大学に入った年のことですね。

 1970年といえば、前年に大学立法が成立し、学生は世の中にさからわず、組織の役に立つ人間になるべし、ということで、どうにもシュンとしたキャンパスなのでした。授業そのものも、先生方に自信はなく、新しい大学をどうすべきか、全体的に手探り状態。新入生の私は前途に光を見ることができず、好きなSFや映画にうつつを抜かしていました。
 そんな中で、確かにマンガには新たな手応えを感じたものでした。特に素晴らしいと思ったのは少女マンガ。
 樹村みのり、矢代まさこ、水野英子(『ファイヤー!』)、西谷祥子らの作品に心を奪われていました。上京したついでに私の暮らしぶりを覗きに来た叔父が、「おまえの部屋は少女マンガばかりだ」と嘆いたことでした。

 亀和田さんと初めて会ったのもその頃でした。マンガの話はしたっけ?
 大学祭で亀和田さんがローリングストーンズのミック・ジャガーのコピーをしたのが、今でも印象に残っています。70年ではなくて、翌年か翌々年だったかも。
 あの頃、自分がSFを仕事にするなどとは、夢にも思ってなかったなあ。


夜盗虫

2016-05-30 21:03:06 | 園芸

 ベランダに置いたプランターでゴーヤを育て、緑のカーテンに仕立てる予定。
 ゴーヤは順調に育っています。そのプランターの隅にラディッシュの種を蒔きました。うれしいことに、これもまた、すくすくと育ってきました。赤い根が少し膨らみかけたところ。

 が、そのうちの2株(隣り合っています)の葉っぱがどんどん減ってきました。ここ数日のこと。虫が齧っている。
 昼間、小さな青虫がいるのを見つけて退治しましたが、葉の減りようを見ると、下手人(虫?)がほかにもいるのは確実。
 今夜、懐中電灯をもってベランダに出てみました。

 でかいのがいました。ほとんど小指ほどにも太った芋虫。灰褐色の醜い姿は、ヨトウムシです。

 懐中電灯の明かりを浴びると、葉のへりに齧りついたまま身を固くして、「ん? オレは知らないよ」とでもいうふう。
 箸がわりの木の枝でつまんで、遠くの草むらへ投げ捨てました。

 それにしても、ヨトウムシ(夜盗虫)とは見事なネーミング。
 いつ、誰が、名付けたんでしょうねえ。こやつを憎む気持ちがびんびんと伝わってきます。


ダービー

2016-05-29 21:29:03 | 競馬

 第83回東京優駿。最強の3歳馬を決める戦いです。

 良いレースでした。実力の拮抗する名馬たちが集った。中でもディーマジェスティー、サトノダイヤモンド、マカヒキの3頭が特に有力。どれもディープインパクトの仔というのが凄い。そこへリオンディーズやスマートオーディンらが割って入ろうとする。
 私の本命はマカヒキ。皐月賞ではディーマジェスティーに僅差で敗れましたが、平均的な実力では劣らないとみました。馬券は3連単で、マカヒキ→ディーマジェスティー→サトノダイヤモンド。それと、リオンディーズがマカヒキの次に入るものとの2枚に投票しました。

 レースは最終コーナーを曲がり、最後の直線に入ってからの勝負。エアスピネルが良い位置からトップに立つものの、マカヒキ、そしてサトノダイヤモンド、さらに外側からディーマジェスティーが襲いかかり、最後はマカヒキとサトノダイヤモンドの一騎討ち。
 鐙の上で体を浮き沈みさせ、馬のリズムに合わせて前へ押し出そうとするマカヒキの川田将雅(ゆうが)騎手。じっと水平位置を保ち、素早く鞭を入れるサトノダイヤモンドのルメール騎手。ほとんど同時にゴールを駆け抜けました。
 その瞬間、川田騎手は鞭を持つ手を持ち上げて小さくガッツポーズ。そこへサトノダイヤモンドのルメール騎手が馬を寄せて握手していました。
 写真判定の結果は、ハナ差でマカヒキの優勝。判定が出ると、川田騎手はマカヒキの鞍上でかなり長い間、嗚咽していました。初めてのダービー制覇をじっくり噛みしめていたことでしょう。

 「マカヒキ」とは古代ハワイ最大のお祭りの名称だそうです。母がウィキウィキ(ハワイ語で「速い」)なので、ハワイにちなんだ名をつけたのでしょうか。馬主さん(金子真人/金子真人ホールディングス)のところには、キングカメハメハとかカネヒキリとか、ハワイ系の名の馬が多いですね。

 馬券はハズレ。もう1枚、2・3着を入れ替えたのを買っておけばという気がしないでもないのですが、でも、確信の未来に賭けたいという想いも強いのです。ま、そのうち当たるでしょう。


茶毒蛾退治

2016-05-28 21:01:09 | 園芸

 起き抜けから、チャドクガの幼虫退治におおわらわ。

 玄関から庭にまわろうとして門を開けると、足元のタイルに何やら黒いゴマ粒のようなものが散らばっています。
 「これは虫の糞」と判断し、横のサザンカを注意深く見てみると、若葉の裏にチャドクガの幼虫が! いっぱい群がって!

 「すわ一大事!」
 何はさておき、こいつは退治しなくてはなりません。毛に触れるとひどくかぶれるし、置けば置くほどどんどん成長して、その際、脱皮した殻についた毛も、やはり、かぶれの原因になります。それに何より、庭木の葉が丸坊主になってしまう。

 ゴム引きの軍手をし、剪定鋏で枝ごと切り落として、地面に掘った穴に埋めます。
 ひと群れ、処理が終わったので、念のためにまわりの枝を見てみると、まだ居る!
 これを何度も繰り返し、結局、6~7ほどもコロニーを除去しました。
 朝飯前だけでは終わらず、朝食後にも継続して虫退治。どうしてこれほど? と思うほど、たくさんいました。ちょっと油断していたかも。

 〈小説推理〉7月号が発売になりました。担当しているSFレビューで次の4冊を取り上げています――

  • 宮内悠介 『彼女がエスパーだったころ』 (講談社)
  • 川上弘美 『大きな鳥にさらわれないように』 (講談社)
  • 福田和代 『緑衣のメトセラ』 (集英社)
  • アン・レッキー 『亡霊星域』 (赤尾秀子訳、創元SF文庫)

 『彼女がエスパーだったころ』は「SF作品というよりは、作品の素材がSF」、『大きな鳥にさらわれないように』は「川上弘美版……『火星年代記』。舞台は、未来の地球ではありますが」、『緑衣のメトセラ』は「遺伝子改変が現実的になってきたという事情をうまく反映」、『亡霊星域』は「〈水戸黄門〉的娯楽作」などと評してみましたが、さて。


動物園暮らし

2016-05-27 20:30:41 | 動物

 井の頭自然文化園の象、はな子さんが亡くなった。推定69歳。
 2歳の頃、タイから日本に贈られ、その後、上野動物園と井の頭自然文化園で生涯を終えた。

 日本に来た時の映像を見ると、まだ子どもですねえ。人間でいえば、やはり、2歳か3歳ぐらい?
 それからずっと動物園で生きたわけですが、それがどんなものだったのか。我が身に置き換えて考えてみたい。

 檻の中にいるわけではない。衣は別として、食住は完備。満足ではないとしても、運動スペースもある。
 人間の環境でいえば、小さな庭付きの1Kのアパートで、賄い付きの暮らしのようなものでしょうか。やるべきことはない。元気に生きていることが「仕事」。
 慣れてしまえば、そんな毎日にも耐えられるかもしれません。でも、絶対いやだなあ。

 はな子さん、日本の私たちのために本当にありがとう。お目にかかったのは、たぶん1度きりだけど、感謝の気持ちは他のみんなと同じです。