私が競馬に親しむようになったのは、ここ7年ばかりのことなので、アンカツさんの長い騎手生活のおしまいの頃しか知りません。でも、柔軟な発想と思い切りの良さを感じさせる騎乗っぷりはとても魅力的でした。
すぐに思い出すのは、一昨年のウインバリアシオン。ダービーと菊花賞、ともにオルフェーヴルに負けて2着に終わりましたが、最終コーナー最後尾から一気に駆け上がる姿には興奮したものです。
あの乗り方には色々批判もあったかもしれませんが、その後のウインバリアシオンの成績を見ると、あれがいちばん馬に合っていたのではないかと思えます。馬の素質を見抜く鋭い目があったのでしょう。
優しそうな目と、穏やかな語り口が、親しみやすさを感じさせました。でも、勝負師ですから、きっと激しい面もお持ちだったのでしょうね。
競馬ライター(でもある)狩野洋一さんは、著書『天才騎手』でアンカツさんのことを書いておられます。狩野さんの話では、普段のアンカツさんはとても気さくで付き合いやすい方だとか。
競馬の楽しさを広く教えてくれた功績は大だと思います。長い間、本当にありがとうございました。