昨夜はお江戸上野広小路亭にて「立川三四楼 真打トライアル」。1月、2月に続いて3回目の高座。いよいよ、この回で真打昇進の可否が決まります。
2月の2回目は見られなかったのですが、今回はこれまでにないお客さんの数。皆さん、三四楼くんの出来を、固唾をのんで見守りました。
ところが、これがプレッシャーというものでしょうねぇ。どうもうまくない。
話を急いで語ることに懸命で、ギャグが効かない、人物が浮き立たない。殊に、後半の草上仁さん原作のSF落語「宇宙貿易摩擦」(原作のタイトルは「国境を越えて」)では、もうしどろもどろという状態に陥ってしまいました。口が乾くのか、ペットボトルの飲料を高座でぐびぐびと飲みほしては、なんとか噺をつづけるありさま。
本人も途中で「今日はダメだ!」と言ってましたが、客席の誰もが悲観的になっていたはず。
ひと晩で全5席という、意欲ばかりが溢れたまま討死してしまったかという感の高座が終わった後、師匠の立川談志楼さんが登場。三四楼くんのプロフィールや芸歴を軽妙に紹介した後、示した判定は――「合格」。満場、拍手につつまれました。
師匠は、今回の高座だけではなく、落語界における三四楼くんのあり方まで考え、「合格」を出したのでしょうね。秋には真打昇進披露が行われる予定。がんばってね。
〈小説推理〉5月号が発売されました。担当のSFレビューで次の3作を取り上げています――
- 小川一水『天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ〈1・2・3〉』(ハヤカワ文庫JA)
- 櫻木みわ『うつくしい繭』(講談社)
- 梶尾真治『黄泉がえり again』(新潮文庫)
『天冥の標』がついに完結しました。全10話、文庫本17冊。未読の方は、しばらく楽しめますよ。