惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

蕎麦屋

2020-07-31 21:28:01 | まち歩き

 昨日の九州北部、四国、中国につづき、今日は近畿地方が梅雨明け。
 西日本はなんとか7月中の梅雨明けとなりましたが、東日本は8月に持ち越し。ここ関東は6月11日以来という、長い、長い梅雨です。

 それでも、午後には久しぶりに日も射し、梅雨明けも間近という感じになってきました。

 夕方の散歩は深大寺の裏山方面へ。
 植物園深大寺門近くの蕎麦屋「玉乃屋」さんちの波打つ板ぶき屋根。

 草も生えていたりして、貫禄十分。後ろの大木はクスノキでしょうか。見事な枝ぶりです。

 丁度、午後5時ぐらいにここを西から通り過ぎたのですが、向かいからお坊さんの列がやってきました。袈裟を着て、草履や下駄履きの7~8人が1列に。
 夕方のお勤めでしょうか。お経こそ唱えていませんでしたが、浮世離れした気分になりました。

 〈小説推理〉9月号発売中。担当のSFレビューで次の4作品を取り上げています――

  • 劉慈欣 『三体Ⅱ 黒暗森林』 (大森望・立原透耶・上原かおり・泊功 訳、早川書房)
  • 酉島伝法 『オクトローグ』 (早川書房)
  • 北野勇作 『100文字SF』 (ハヤカワ文庫JA)
  • N・K・ジェミシン 『第五の季節』 (小野田和子 訳、創元SF文庫)

 『三体Ⅱ 黒暗森林』は、いわずと知れた『三体』の第二部。今回も面白い。作者が書くのを楽しんでいることが伝わってくるように思えました。
 中国語だと暗いは「黒暗」なんですかねぇ。でも、このタイトルを「暗黒森林」と思い込んでいる人もけっこういるんじゃないでしょうか。


発条?

2020-07-30 21:02:44 | 草花

 午後、歩いて市立図書館富士見分館まで。

 本を借り、帰ろうと出口まで来た時、リサイクル資料の箱が置かれていることに気づきました。不要になった本を市民にリサイクルし、役立たせようという、つまりは、古い在庫品の無料配布。
 ざっと眺めていると、武田花さんの写真集『眠そうな町』(アイピーシー、1990)がありました。
 ラッキー!
 大喜びでいただいてバッグへ。

 来た時とは違って、道を北にとり、野川まで。
 川沿いを自宅に向かったのですが、家の近くの琥珀橋近くの川岸にはびこるアレチウリの群落にあきれました。地面といわず、立木といわず、びっしりと覆いつくし、3メートルほど上がった遊歩道にまで這い出してきそうな勢い。

 混じって生えているヤブガラシに巻きひげをグイーンと伸ばしているのも凄い。

 バネのようなグルグルが伸びきっているのは、巻きついた後で蔓がどんどん伸びたのでしょうか。見事な造形美です。


芋の露

2020-07-29 21:33:36 | 自然

 曇り空から時折り雨粒が落ちてくる一日。今年の梅雨は本当に長い。

 やみ間を見て、市民農園へ行きました。どの野菜も陽の光に飢えているようです。トマトもスイカも甘みが足りません。

 よそさまの畑の里芋の葉に、大きな露がとまっていました。

 大きさは1円玉くらいかな。きれいな形で鎮座しています。
 こんな露を見ると、すぐに「芋の露連山影を正しうす」という飯田蛇笏の句を思い出します。まことに名作というものの威力、おそるべし。

 蛇笏の句の露に映っているのは山の姿ですが、目の前のこの露に見えるのは、多分、畑のまわりの木々。それと空ですね。

 うんざりするし、水害も出て困った空模様ですが、ま、こういう綺麗なものを見られる楽しみもないわけではありません。


世界SF作家会議

2020-07-28 21:18:25 | SF

 一昨日(日曜)深夜というか、昨日未明というか、夜中過ぎのフジテレビで放映された「世界SF作家会議〈サンデーMIDNIGHT〉SF作家の想像力 vs パンデミック」を録画で見ました。
 出演は、新井素子、冲方丁、小川哲、藤井太洋という日本作家たちに、『三体』の劉慈欣さんが中国からビデオメッセージを届けて参加。司会:いとうせいこう、オブザーバーというか顧問というか物知り助言者という形で大森望さん。森泉岳土さんのマンガも付いていました。

 予想していた以上に面白かった。それぞれ作風のちがうSFを書く作家を集めた人選もよく、切羽詰まった感じの昨今のコロナ談義を超えた、広がりのある話になっていたと思います。

 見終えたあとで、自分もコロナとSFといったことを考えてみました。

 パンデミックに関連したSFについてはあまり話が出ませんでしたが、歴史を振り返れば、ペストで人類が絶滅しかかるメアリー・シェリー『最後のひとり』(1826)が嚆矢か。H・G・ウェルズ『宇宙戦争』(1898)では、地球侵略の火星人たちがバクテリアで全滅。レイ・ブラッドベリ『火星年代記』(1950)では、火星にいる火星人たちが地球人の持ち込んだ水疱瘡で絶滅寸前になります。このあたりは、ヨーロッパ人が南北アメリカ大陸に進出し、ネイティブの人たちを感染症で苦しめた歴史が反映されているのではないでしょうか。

 小松左京『復活の日』(1964)はこのジャンルの代表作。マイケル・クライトン『アンドロメダ病原体』(1969)も世界的ヒットですが、つい先日、ダニエル・H・ウイルソンによる続編『アンドロメダ病原体―変異―』(2019)の翻訳も出ています。

 梶尾真治さんの短編「清太郎出初式」も『宇宙戦争』の枝編ともいうべき作品なので、この系列に入りますね。

 しかし、パンデミックそのものの怖さをもっとも感じさせるのはエボラ出血熱の流行を描いたリチャード・プレストンのノンフィクション『ホットゾーン』(1994)でしょう。あれは怖かった。

 今回の新型コロナウイルスは、これまでの病気と違う狡猾さをもっていて怖ろしい。それを逐一、報道で知りつつ、現にパンデミックを目の当たりにしているのが、今のこの世界。
 いずれ包括的な書物が書かれるでしょうが、とてつもなく興味深いものになるでしょうね。

 アフターコロナでいえば、私がいちばん注目するのはウイルスハンターの存在。
 次の脅威がどのようなウイルスになるのか。前もって備えをするためにも、現存するウイルスを調査することが必要になってくるでしょう。そのデータをもとに、あらかじめワクチンの準備まで出来るようになるかもしれない。
 そこらへんに関して、スリリングなSFも書けるように思います。


弘田三枝子さん

2020-07-27 21:09:01 | 音楽

 弘田三枝子さんが21日に亡くなられていたというニュース。享年73。

 所属事務所が今日になって発表したそうですが、ずいぶん遅い。ご親族での密葬が昨日だったということなので、それを終えてからということだったのでしょうか。

 ラジオから流れてくる歌に興味をもち始めた頃から活躍されていたので、もっと年上かと思っていたのですが、4つしか違わない。14歳でデビュー、しかも、あの歌唱力。凄いです。

 デビューシングルは「子供ぢゃないの」(1961)。
 このタイトル。「子供じゃないの」と書き入れたはずなんだけど、という担当ディレクターの言葉を読んだ記憶があります。
 家の人は、今でも時々「とぉホなりぃの おぢさぁん すてきぃだけどぉホ~♪」と歌ったりします。デビューの頃のミコちゃんはブレンダ・リーの影響を受けていたんだと思いますが、シャウトする歌唱はとても気持ちが良かった。

 個人的には筒美京平さんが曲を提供した1967~68年当時のものが大、大、大好き。特に「渚のうわさ」と「枯葉のうわさ」の二部作は日本ポップス史上の最高峰だと信じて疑いません(詞はどちらも橋本淳さん)。
 ただ「渚のうわさ」こそヒットしたものの、つづくいくつものポップス系作品は売れ行きが低迷。1969年の「人形の家」で路線を転換してしまいます。

 無理もなかったのかもしれません。当時、世間の関心はポップス系のものから、フォークやロック、グループサウンドなどに移り、ポップな楽曲はその後、アイドル路線に引き継がれて、別のジャンルをかたちづくることになります。

 初期のものでは、永六輔・詞、中村八大・曲の「寝不足なの」や、安井かずみ・詞、宮川泰・曲の「ひとつぶの真珠」も忘れがたいですね。

 亡くなられてしまいましたが、歌声は永遠。これからもミコちゃんの歌を聞きつづけてゆきます。ありがとうございました!