惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

コロナ急減

2021-09-30 21:25:52 | 新型コロナウイルス

 亜然ボー然、ロッテはオリックスに3連敗しゲーム差なしに。
 今夜こそ勝てると思ったのに、なんでこんなことに……。

 布団を被って寝てしまいたいところですが、このところの新型コロナウイルス感染者数急減について簡単なメモを。

 今日の東京都の新規感染者は218人。1週間前より313人減少。
 9月1日は3168人でしたから、ひと月間で14.5分の1になりました。
 なぜこんなに減ったのか?

 コロナ分科会の尾身茂会長は次の5点が考えられると言っています(Yahoo!ニュース)――

  • 国民が危機感を共有した
  • 夜間の人流が減少した
  • ワクチン接種率が向上した
  • 院内感染、施設内感染が減った
  • 気象の要因

 これらが複合しての患者数減の可能性があるというのですね。

 感染症が専門の岩田健太郎医師は(ヨミドクター)――

  • 「コロナが増えすぎてやばいぞ」という「ノリ」が市民の行動制限を促した
  • ワクチン接種の仕組みが非常にうまくいっている

 つまり、「スピーディーでパワフルな予防接種が、『感染できる人々』の数を激減させ、さらに人々の行動抑制が加味されて、第5波が一気に減少に転じた」のでは、とのこと。

 さらにウイルスの「エラーカタストロフ」を挙げる人もいます(日刊ゲンダイヘルスケア)――

  • 7月以降にデルタ株が急速に感染拡大したのは、デルタ株の複製時のコピーミスが増えて変異が蓄積して高い複製能力を獲得したからで、8月半ばにはコピーミスが「エラーカタストロフの限界」を超えたためウイルスの自壊が始まり、急激に感染が減少したのではないか

 こうおっしゃるのは、弘邦医院の林雅之院長。

 もっとも、この説について岩田医師は「仮説として、全否定はしませんが、日本でだけそういう現象が起きるというのは話が出来すぎと思ってます」とのこと。

 専門家にもわからないことを、勝手に想像してもしょうがないのですが、個人的には、蔓延が拡大して身近な人の感染を見聞きするようになり、みんなが正しく怖れるようになったからではないかと感じています。
 ともあれ、このまま患者が減りつづけますように。


台風の目

2021-09-29 21:08:30 | 天気

 台風16号は日本列島の南方にあってゆっくり北上中。この後、向きを北東に変え、伊豆諸島を突っ切って日本の東海上に抜ける見込みだとか。関東地方には明後日(10月1日)に最も接近するらしい。

 今日の関東には台風のいちばん外側の雲がわずかにかかったり、外れたり。
 夕方には南の空の雲がピンクに染まっていました。

 夜になり、午後8時現在、台風は紀伊半島の真南、北緯25度付近にあります。
 気象衛星の画像を見てびっくりするのは「目」がやたらにでかいこと。四国の半分ぐらいあります。直径100キロぐらいあるのでは。
 時速15キロで移動しているとなると、目の中の地点は6時間以上、暴風雨がとまり、青空が見えていることになります。

 子どもの頃、一度だけ、台風の目が自宅上空を通過するという経験に恵まれ(?)ました。
 それまでの嵐の音がピタリと途絶え、静かになったので、外へ出ると、青空がのぞき、陽が射してきました。
 不思議な気分で空を眺めていましたが、やがて先ほどまでとは逆方向から風吹き始め、雨も混じって、嵐が再開しました。目の中にいたのは10分かそこらだったのではなかったでしょうか。

 あんなことが何時間もつづくとは驚異的。凄い台風なんですねぇ。
 どうか被害が出ませんように。

 


強かった!

2021-09-28 20:41:50 | 相撲

 朝刊に白鵬の初土俵以来の全成績が載っていました。

 2001年春場所、前相撲が初土俵。つづく夏場所は東序の口16枚目で3勝4敗と負け越し。
 驚くべきは、負け越したのはこの場所と翌年名古屋でやはり3勝4敗(西三段目)だった時の2回だけなのです。休場した場所を除くと、あとはすべて勝ち越し。

 どんなに強い力士でも、普通は幕内に上がった時とか、幕内上位になった時などには足踏みして負けがこむものですが、白鵬にはそれがなかった。
 2007年名古屋場所で横綱昇進。以来15年もの間、綱を張り、2010年と14年には年間5場所で優勝しています(全6場所優勝をやりたかったんだろうなあ)。
 あらためて、その強さにあきれました。

 市民農園の一画にコガネグモが巣を張っていました。

 黄色と黒のとりあわせが美しい、大型のクモ。
 巣も大型で丈夫。
 子どもの頃はこの巣の糸を棒の先に巻きつけ、粘着力でトンボをつかまえたものです。
 今、思えば、クモには申しわけないことをしました。野蛮だったんだなあ。


白鵬引退

2021-09-27 20:43:48 | 相撲

 大相撲秋場所で優勝した照ノ富士に後を託したということなのでしょう。横綱白鵬引退。

 7月の名古屋場所で全勝優勝した際には、さらなる記録を達成したいと語っていたように思うのですが、怪我と年齢とを考え合わせると、これ以上、横綱の責務に耐えることができないと判断したのでしょうね。責任感の強い横綱でした。

 とにかく強いお相撲さんでした。立ち会い、鋭く踏み込み、左手でまわしを取った時の相撲は惚れ惚れするのみ。
 長い間、1人で大相撲の屋台骨を支えてきた重圧はただごとではなかったはず。しばらくはゆっくりと心身をいたわり、後継の育成にとりかかっていただきたいと思います。

 〈小説推理〉11月号が発売になりました。担当のSFレビューで次の3作を取り上げています――

  • 高野史緒 『まぜるな危険』 (早川書房)
  • 山田宗樹 『存在しない時間の中で』 (角川春樹事務所)
  • アーカディ・マーティーン 『帝国という名の記憶〈上・下〉』 (内田昌之訳、ハヤカワ文庫SF)

 本号の〈小説推理〉誌巻頭には「夢枕獏の近況報告」というグラビア特集が組まれています。
 8月に箱根湯本の「箱根菜の花展示堂」で開かれた獏さんの書の個展会場での写真とエッセイ。この半年、リンパガンのため連載を休んでいるものの、治療は最終段階を迎えており、「お待たせしておりますが、元気です」とのこと。
 早く以前のように健筆をふるっていただけるよう(同年齢ということもあって)応援しております。


『そもそも植物とは何か』

2021-09-26 20:53:47 | 本と雑誌

 積読本がひとつ片付きました。フランスの哲学者フロランス・ビュルガの『そもそも植物とは何か』(田中裕子訳、河出書房新社2021)。

 市民農園で野菜を作ったり、このところ植物との付き合いが深まり、植物という存在をあれこれ考えてみたいと思っていた時に目についたのがこの本。
 哲学者が考えるというところが、植物学者の書いたものとは違っておもしろいかもしれないという気がしました。トマス・ネーゲルの名著『コウモリであるとはどのうようなことか』(永井均訳、勁草書房1989)を楽しんだことも少し頭をよぎったかも。

 タイトルどおりの内容なのですが、たぶん、著者にとってこのテーマを選択したきっかけのひとつには、最近、「植物を虐待していいのか?」などと、あたかも植物が苦痛を感じる生きものであるかのような論調が一部に出てきていることがあるのではないでしょうか。そして、もうひとつは環境問題の中で植物が果たす役割が大きいので、そこを改めて指摘したいと考えたのでは。

 著者は、動物と比較して、植物がどのような生きものであるかを考えるところから出発します。バクテリアや菌類も比較の対象にした方がいいのでは、とも思いましたが、ま、ここらあたりは哲学的伝統にのっとっているのでしょう。
 著者は次のようなヘーゲルの考察を紹介しています――

……植物には真の内面性がなく、真の性的関係を持たないのに加え、運動機能もない。そのため、自分で決めたのではない場所に根を下ろしたが最後、そこから逃げだすことはできない。(中略)運動機能がない植物は、今いる場所の特殊性に気づかない。もし、植物がその場所から逃げだして、外の世界との連続的な関係を断ちきれれば、真の主観性をもつ生物として存在するようになるだろう。つまり太陽光のなかで、自らの外側に探しあてた「自己」を内面化できるようになるのだ。

 植物の「内面性」や「主観性」はともかく、「真の性的関係」をもたないかどうかは留保したいところ。胞子の運動や花粉と子房との出会いなどを見ると、強い性的関係を感じますし、花という器官の発達ぶりなどを見ても、動物とは別の「性的関係」への指向があるといえそうです。
 こういったことはヘーゲルに聞くより、現代の植物学者に聞くべきではなかったでしょうか。最新の科学的事実から出発して、植物と人間との関係を問いなおす方がよかったという気がしてなりません。

 あれこれ哲学者の植物に関する意見を参考にしたあげく、著者は「わたしたちと植物には何ひとつとして共通点がないのだ」と、いささか匙を投げているようにも見えます。
 けれども――

……人間と植物のこうした存在論上の断絶は、植物の美しさをわたしたちが「経験」することで乗り越えられる。(中略)わたしたちは、つねに超然としているその生命に触れると、心が落ち着いたり、やさしい気持ちになれたりする。

 このあたりが結論になるように思われます。
 うーん、植物とは何かについては、やはり自分で考えるべきかもしれません。

 夕方の散歩で見た、西の空。

 柏野小学校の南側の農道から撮影しました。灰色の層雲の彼方で、高層雲(?)が夕日を浴びています。この後、少しピンクに染まりました。明日は晴れるかな。