昨夜は新宿の Live Wire にて「SF落語会」。立川三四楼くんが草上仁さんのSF短編を落語に仕立てて口演するという試み。
演目は3つ。最初の2つはSFではなく古典落語と、その改変版。
改変版は、酒飲みの父親と息子が酔っぱらって口喧嘩する「親子酒」をもじった「親子ドラッグ」。酒の代わりに覚醒剤をやっている親子という反社会ネタ(!)です。
三四楼くんが最初に師事した快楽亭ブラック師匠の破れかぶれが乗り移ったのかと思いましたよ。いっちゃってる息子の表情が凄かった。
でも、聴いてて居心地悪いよね、こういうネタは。
本格的古典は「御神酒徳利」。占い師を装った八百屋が四苦八苦する噺です。
ソツなく演じましたが、窮状に陥る八百屋だとか宿屋の女中だとかの性格をもっと突き詰めてもらいたかった。場面場面のメリハリも、もっと強調していいと思いました。
本題のSF落語。原作は草上さんの「国境を越えて」(『市長、お電話です』所収)。
ありていにいうとまだまだ落語としては出来上がっていませんでした。国を出ようとする天才科学者が機密情報を持ち出さないようにと、情報機関が脳内の科学知識を吸い取ってしまう。しかし赴いた先で、天才科学者はまた一から自力で発見し直してゆく。このあたりのくだりをメインに語っていたと思いますが、××の原理とか○○理論を口にするだけで、面白がれるところまではいってない。狙いを絞って、可笑しさを盛り込まなくては。これからに期待。
その後、原作者の草上さんが登場して、三四楼くんと「トークショー」。
これがいちばん心配でした。でも、前回の横田順彌さん同様、草上さんがどんどんしゃぺってくれて「天使が通る」時間がつづくという事態は避けられました。こういう奇特なゲストを呼び寄せるのも、芸風なんでしょうねえ。