惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

大晦日

2013-12-31 17:09:04 | 日記・エッセイ・コラム

 大掃除をすませパソコンを開いたら大瀧詠一さんの訃報が。なんということか……。

 はっぴいえんどのファーストアルバム(通称「ゆでめん」)は、出た早々に買い求め、あれから何回聞いたことか。1970年当時、ロックは日本語では無理という通説があって、イケてるバンドは英語の歌詞でロックやってました。が、はっぴいえんどはそんな通説を見事に打ち破ってくれた。
 というか、大滝さんは日本の歌そのものを変えてしまったもんなあ。米国東海岸ティンパンアレーの系統と、日本の歌謡曲をうまくミックスした。松田聖子や小林旭に提供した楽曲は奇跡的な名作でしょう。
 1曲だけ挙げるとすれば、ご自身や太田裕美さんが歌った「さらばシベリア鉄道」か。
 ご冥福をお祈りします。

 驚き、哀しみつつ今年も暮れます。
 一年間、気ままなブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
 恒例の「年間ベストSF」投票は、年明け早々から募集する予定です。こちらも、どうぞよろしくm(__)m


文学全集

2013-12-30 20:52:59 | 日記・エッセイ・コラム

 昨日の思い出のつづきです。

 お遣いで麹を買いに行った店は、小学校の正門のすぐ前にありました。「矢野商店」といったのかな。
 そこの息子さんが私と同級生で、「健夫くん」といいました。彼は、今、モーターパラグライダーによる空撮の第一人者となっています。矢野くんのサイトをご覧ください。

 さて、健夫くんちには、当時、出たばかりの〈講談社少年少女世界文学全集〉全50巻が揃っていました。小学校の図書室にもない、立派な蔵書です。
 どういういきさつだったのか、よくは覚えていないのですが、私は学校の行き帰りに健夫くんちに寄り、専用書架に並んだ全集を1冊ずつ借り、つぎつぎに読んでいったのです。ほとんど全部、読んでしまったと思います。

 古本 海ねこさんのサイトでわかるように、古今東西の世界文学が収められていて、各地の文学のだいたいの特徴をつかむことができました。小学校5年生の頃だったと思います。

 この全集と、高校生の時に読んだ〈集英社世界文学全集 20世紀の文学〉(全38巻)が、一般文学に関する私の知識の基礎となりました。
 内容もよくわからないまま、文学全集を片端から読むという体験は、あの時期でなくてはできなかったでしょう。とてもありがたかったと、今になって思います。


米麹

2013-12-29 20:50:28 | テレビ番組

 2週間前に見たNHKスペシャル「和食 千年の味のミステリー」はとても興味深くて、今でも忘れられません。
 タイトルからはすぐにはわかりませんが、味噌や醤油をつくる発酵菌・米麹をテーマにしたもの。

 米麹菌(アスペルギルス・オリゼ)は日本にしかいないカビで、1000年以上前に日本人のご先祖さまが天然のカビを家畜化したものではないか……など、びっくりするような内容でした。菌のタネをつくる「もやし屋」さんがまるでマッドサイエンティストのように見えたのは内緒です。

 で、思い出したのですが、私が育った田舎町には1軒の麹屋さんがありました。たぶん、もやし屋から買った菌を、蒸した米で繁殖させ、それを売っていたのでしょう。お使いで麹を買いに行くと、古い町家の奥は米麹のふくよかな匂いがしました。

 味噌をつくるための麹を買いに行く時は良いのですが、我が家でこっそり作っていたお酒のための麹の時は、「バレはしないか」とドキドキしました。どちらも同じ米麹なので、わかるわけはないのですが。

 密造酒は売るのではなく、自家消費して楽しむものだったのですが、法に触れることに違いはありません。どこから仕入れた知識だったのか、そのうち税務署の人が踏み込んで来るのではと怖れたりしました。

 でも、あれは純米酒の濃厚なやつだったのだろうなぁ。小さい頃の出来事なのでお酒の味がわからなかったのが残念。道具は田舎の家のどこかにあるはずだから、もしかしたらまだつくれるかも。

 〈ナンクロメイト〉2月号が発売になりました。担当の新刊紹介欄で次の3冊を取り上げています――

  • 菊池清麿 『評伝服部良一 日本ジャズ&ポップス史』 (彩流社)
  • 山田正紀+北原尚彦+フーゴ・ハル 『ホームズ鬼譚 異次元の色彩』 (創土社)
  • デイヴィッド・ロッジ 『絶倫の人 小説H・Gウェルズ』 (高儀進訳、白水社)

 ロッジが書いたウェルズ伝は「伝記小説」と銘打たれています。おおむね事実だが、細部はロッジが小説的想像力を働かせて描いたということでしょう。とても面白い。


歳末

2013-12-28 20:41:26 | SF

 夕方、門扉に松飾りをとりつけました。年賀状は遠くの住所から表書き。
 いよいよ年末らしくなってきました。

 〈小説推理〉2月号が発売になりました。担当しているSFレビューで次の7作をとりあげています――

  • 六冬和生 『みずは無間』 (早川書房)
  • 結城充考 『躯体上の翼』 (東京創元社)
  • 梶尾真治 『うたかたエマノン』 (徳間書店)
  • 北野勇作 『社員たち』 (河出書房新社)
  • 菅浩江 『誰に見しょとて』 (早川書房)
  • 新井素子 『イン・ザ・ヘヴン』 (新潮社)
  • 岡和田晃 『「世界内戦」とわずかな希望――伊藤計劃・SF・現代文学』 (アトリエサード)

 いやあ、すごい出版点数です。
 今月号には2013年の年間ベスト5を、書評担当の北上次郎さん、香山二三郎さん、東雅夫さん、私がそれぞれ開陳しています。おついでの際にでも、お手にとってご覧ください。


石垣片喰

2013-12-27 20:42:55 | 草花

Katabami1312  2日前に野川の護岸で撮った写真です。

 ただのムラサキカタバミですが、こんな時期になっても元気に花をつけています。
 普通は春から初夏にかけて咲くのですが、いまどき咲く秘密は護岸のコンクリートにありそうです。日が当たっている時は、かなり温かい。手を当てるとじわっと熱がつたわってきます。
 この熱のおかげで1年に2度、花をつけるのではないでしょうか。

 昔、社会科の授業で静岡県久能山では石垣にイチゴを植えて早春に収穫できる、と習いました。
 このカタバミも同じような境遇でぬくぬくと暮らしているのですね。

 日没の時間は、一時にくらべ、7分遅くなりました。だんだん日がのびてきています。