惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

繁縷

2014-04-30 21:50:28 | 草花

 風雨が時に強く、庭のサルスベリの幹に巻きつきながら伸びていたヤマノイモの蔓の先が千切れてしまいました。自然による芯止め。でも、少ししたら子蔓がまた伸びることでしょう。

Hakobe1404  ハコベはナデシコ科の1~2年草。古来からの代表的な雑草で春の七草のひとつ。
 手元の図鑑には名前について、「日本最初の本草書である『本草和名』(918年)に登場している波久倍良(はくべら)の転訛と考えられるが、語源は不意。繁縷は漢名」とあります。

 春の初めから秋まで、長い間、花が見られます。小さいし、あまりにありふれているので、顧みられることもありませんが、白い花はすっきりしていて清楚です。
 長円形の花弁が10枚あるように見えますが、実は、深い切れ込みがある5枚の花弁なのです。

 ハコベといえば何といっても島崎藤村「千曲川旅情の歌」ですね。
 前半の冒頭――

小諸なる古城のほとり
雲白く遊子悲しむ
緑なす繁蔞は萌えず
若草も藉くによしなし
しろがねの衾の岡邊
日に溶けて淡雪流る

 明治青年の早春の感傷に「ハコベの幻」が瞬間的に青く広がるように思えます。あって当然の、きわめて身近な草だったのでしょう。


雉蓆

2014-04-29 21:22:58 | 草花

 皇居の庭園――というか林ですね――で新種の植物が見つかり、フキアゲニリンソウと名付けられたとか。
 普通のニリンソウの倍ほどもあり、雨がふると花が下向く性質があると、NHKニュースでいっていました。
 あやかってニリンソウの写真を載せようかと思ったのですが、しばらく前に撮ったものはどれも気に入らず、消してしまっていました。まだあちこちに咲いていますから、今度、良い写真が撮れた時にでも。

Kijimushiro1404  替わりの今日の花はキジムシロ。バラ科の多年草です。
 数日前のミツバツチグリやヘビイチゴと似ていますが、じっと見ていると少し違う。
 葉っぱも同様で、先っぽだけ見ると、3枚のようですが、同じ茎の下方にまだ小さなのが何枚かあります。ミツバツチグリは3枚きり。

 地面に丸く茎を広げて葉や花をつけている様子を、雉が座るムシロに見立てたのだそうです。雉って、思わぬ茂みの陰にいたりしますものねえ。そんな所に、この花が咲いていたりするかも。うまい名づけ方だと思います。
 鳥の名がついた草は、他にカラスウリ、カラスノエンドウ、カラスビシャクや、スズメノカタビラ、スズメノテッポウなど。キジの名は、他にはシダについているぐらいでしょうか。ハコベのことをヒヨコグサと呼ぶところもあるらしい。
 明日はハコベにしようかな。


幼虫?

2014-04-28 21:16:06 | 草花

 最高気温 23.9℃(隣町アメダス)。
 1週間前に植えたスイカの苗。蔓が伸びて本葉が5枚ほどになったので、芯止めしました。子蔓が伸びてきたら、有望そうな2本を大事に育てます。
 畑で作ればもっとたくさんの子蔓を生かせるのですが、プランターだからそうもいきません。根の伸びる空間が限られていますから。
 子蔓1本に、前後合わせて2個の実をならすことが目標。1個目は7月上旬。2個目は8月下旬から9月上旬の収穫になるでしょうか。

Shida1404  今日の写真。何だかわかります?

 シダの芽がほぐれて若葉になろうとしているところです。
 部分的に見ると、節足動物の幼虫のようにも見えますよね。可愛いと見るか、不気味と見るか。

 シダの種類は勉強不足でよくわかりません。もしかしたらホシダ(穂羊歯)?
 緑ヶ丘霊園の林縁で撮影しました。


草苺

2014-04-27 21:28:49 | 草花

 最高気温 23.0℃(隣町アメダス)。
 庭のミカンの若葉にはナミアゲハがせっせと卵を産みつけているし、トマトにはいくつも黄色い花が咲いているし、ハケの林を歩くとキンラン、ギンランが咲いていたり。自然はどんどん春から初夏へと向かっています。
 かと思うと、野川の河原ではまだ菜の花が満開状態なんですよね。どこかちぐはぐな感じの、今年の春。

Kusaichigo1404  前回はヘビイチゴの花を載せましたので、今回はクサイチゴ。バラ科の落葉小低木(草ではありません)。
 今、林の縁などで直径3センチほどの花を咲かせています。右下に見えているのは、花弁が落ちたあとの花。これも面白い。

 実は食べられます。梅雨の頃、赤く熟れるのかな。でも、美味しくはありません。ヘビイチゴよりはましなぐらい。たくさん集めて、砂糖を使えばジャムになるかも。

 〈小説推理〉6月号が発売になりました。担当のSFレビューで次の5作品を取り上げています――

  • 長谷敏司 『My Humanity』 (ハヤカワ文庫JA)
  • 田丸雅智 『夢巻(ゆめまき)』 (出版芸術社)
  • ヴァーナー・ヴィンジ 『星の涯の空〈上・下〉』 (中原尚哉訳、創元SF文庫)
  • ロバート・F・ヤング 『時が新しかったころ』 (中村融訳、創元SF文庫)
  • 高槻真樹 『戦前日本SF映画創世記 ゴジラは何でできているか』 (河出書房新社)

 田丸さんは新鋭ショートショート作家。『夢巻』収録作はどれも上出来ですが、殊に巻頭の「蜻蛉玉」はみごと。


SF大賞・評論賞贈賞式

2014-04-26 21:38:04 | SF

 昨25日は午後6時より港区のホテルフロラシオン青山にて、第34回日本SF大賞/第9回日本SF評論賞の贈賞式および祝賀パーティー。

 受賞作は次のとおりでした――

  • 日本SF大賞
    『皆勤の徒』酉島伝法(東京創元社)
  •    〃   特別賞
    『NOVA〈全10巻〉』大森望責任編集(河出書房新社)
    『ヨハネスブルグの天使たち』宮内悠介(早川書房)
  • 日本SF評論賞奨励賞
    「『ジュラシック・パーク』のフラクタル」進藤洋介

Sfaward1404  写真は受賞された方々。右から、評論賞の進藤さん、SF大賞の酉島さん、特別賞の大森さん、宮内さん。

 会員である声優の池澤春菜さん司会で進行した贈賞式の模様はニコニコ生放送でネット中継されました。ニコ生の株式会社ドワンゴさんが賞に協賛してくださったのです。

 私は評論賞の選考委員の1人として、壇の脇に控えました。
 これがSF作家クラブへの最後のご奉公。デビュー作刊行直後より足かけ35年間、大変ありがたい思いをさせていただきました。