なぜ「GOTO」にこだわるか(情報の読み方)
2020年11月14日読売新聞(西部版・14版)1面。
という見出し。とても奇妙に感じる。記事の書き方は、ちょっと微妙。(番号は私がつけた。)
①政府は、新型コロナウイルスの新規感染者数の急増に警戒を強めている。本格的な冬場は感染拡大のリスクがさらに高まるとされており、経済活動を進めながら、増加傾向に歯止めをかけるという難しい課題に取り組むことになる。
②菅首相は13日、首相官邸で記者団に「飲食を伴う懇親会やマスクを外しての会話など、感染リスクが高まる『五つの場面』を踏まえ、今一度、基本的な感染防止対策に努めてほしい」と国民に呼びかけた。
③政府は一方で、緊急事態宣言の再発令や需要喚起策「Go To キャンペーン」の見直しは現時点で検討しない方針だ。首相は「専門家も現時点でそのような状況にないとの認識を示している」と強調した。加藤官房長官も記者会見で「県をまたいだ移動の自粛を一律に要請する必要があるとは考えていない」と述べた。(略)
④13日は新たに国内で1705人の感染が確認された。12日の1660人を超え、2日連続で過去最多を更新した。都道府県別では大阪府(263人)、岩手県(13人)、長野県(23人)が最多を更新した。
①は「前文」。全体の記事の紹介。それにしたがえば、「本記」は、まず「新規感染者数の急増」について書き、次に「政府は警戒を強めている」。そのあとに「経済活動を進めながら、増加傾向に歯止めをかける」ということになる。
私の割り振った番号でいえば、④②③の順序に書かないといけない。そうしないと、読者が混乱する。見出しも
感染1750人、2日連続最多/首相、感染防止呼び掛け/(しかし)首相「GoTo」継続強調
という順序にしないと、論理の整合性がとれない。
言い直すと、感染者が1750人になった。感染が拡大しているから注意が必要。しかし、政府は「GoTo」を継続すると強調している。(でも、なぜ?)
で、ここから言えることは、まず、読売新聞は「首相、感染防止呼び掛け」を見出しに取らなかったということ。つまり、国民の不安、警戒心には触れないようにしている、ということ。そして、「GoTo」を継続については「疑問」を書かないようにしていることがわかる。
(でも、なぜ?)
これは、私が先に記事を要約したときにつけくわえたことばだが、このことは書かれていない。そして、これが問題だ。
政府は「経済活動を進めながら、増加傾向に歯止めをかける」というのだが、私はこの書き方にも疑問をもっている。
「経済活動」って、なに? 「GoTo」にかかわる「経済活動」といえば、まず、旅行。ホテル、旅館である。それをなんとしても維持したい。
でも、なぜ?
書かれていないからこそ、私は想像する。そして、すぐに思いつく。最近、政府が血眼になってやっていることを見ると、すぐに気づくことがある。
政府がコロナ対策の傍ら、いまもうひとつ一生懸命にやろうとしていることがある。東京オリンピックだ。その東京オリンピックと「GoTo」は関係があるのだ。いま、ホテル、旅館はたいへん厳しい経営環境にある。つぶれてしまいそう、と悲鳴を上げているところがたくさんある、と聞く。もし、ホテル、旅館が東京オリンピック前に倒産し、営業できなくなったらどうなるか。選手には「選手村」があるかもしれない。しかし「オリンピック観戦客」の宿泊場所がなくなるのだ。それでは観光客がやってこれない。観光客を受け入れようにも、受け入れることができるホテル、旅館がない。観光客が落としてくれる金で日本の経済を立て直すきっかけにしたい、と考えている政府(あるいは電通か)にとっては、これはたいへんな問題だ。東京オリンピックが終わるまでは、ホテル、旅館に倒産してもらっては困るのだ。だから、躍起になっている。
これは、安倍の残した大きな負の遺産だ。菅は「安倍継承」を訴えて首相になったので、オリンピックを中止して日本経済を立て直すという「新方針」を提出できないのだ。
日本国民の健康はどうでもいい、なんとしても電通が企画したとおりにオリンピックを成功させないことにはたいへんなことになる。そういう「見方」しかできなくなっている。それが「GoTo」継続(ホテル、旅館を倒産させない、資金援助をする)という政府方針になってあらわれている。
こういうことは、実際に「取材」していれば、「肌」で感じ取れるはずのことである。しかし、それを隠している。「なぜ?」という疑問を書かずに、菅の言うことが「正しい」と思わせる書き方をしている。そのために、記事そのものが混乱している。「前文」の記述内容の順序と、本記の記述内容の順序が食い違うという奇妙な書き方になっている。新聞記事にはどういうふうに書かなければならないという「決まり」があるわけではないだろうが、ちぐはぐな(わかりにくい)文章の流れ、見出しのつけ方から、私は、そんなことを思ってしまうのだ。もう菅(政権)に見切りをつけて、国民のためにほんとうのことを書くべきではないのか。
*
「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞
*
「天皇の悲鳴」(1000円、送料別)はオンデマンド出版です。
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2020年11月14日読売新聞(西部版・14版)1面。
新型コロナ/首相「GoTo」継続強調/感染1750人、2日連続最多
という見出し。とても奇妙に感じる。記事の書き方は、ちょっと微妙。(番号は私がつけた。)
①政府は、新型コロナウイルスの新規感染者数の急増に警戒を強めている。本格的な冬場は感染拡大のリスクがさらに高まるとされており、経済活動を進めながら、増加傾向に歯止めをかけるという難しい課題に取り組むことになる。
②菅首相は13日、首相官邸で記者団に「飲食を伴う懇親会やマスクを外しての会話など、感染リスクが高まる『五つの場面』を踏まえ、今一度、基本的な感染防止対策に努めてほしい」と国民に呼びかけた。
③政府は一方で、緊急事態宣言の再発令や需要喚起策「Go To キャンペーン」の見直しは現時点で検討しない方針だ。首相は「専門家も現時点でそのような状況にないとの認識を示している」と強調した。加藤官房長官も記者会見で「県をまたいだ移動の自粛を一律に要請する必要があるとは考えていない」と述べた。(略)
④13日は新たに国内で1705人の感染が確認された。12日の1660人を超え、2日連続で過去最多を更新した。都道府県別では大阪府(263人)、岩手県(13人)、長野県(23人)が最多を更新した。
①は「前文」。全体の記事の紹介。それにしたがえば、「本記」は、まず「新規感染者数の急増」について書き、次に「政府は警戒を強めている」。そのあとに「経済活動を進めながら、増加傾向に歯止めをかける」ということになる。
私の割り振った番号でいえば、④②③の順序に書かないといけない。そうしないと、読者が混乱する。見出しも
感染1750人、2日連続最多/首相、感染防止呼び掛け/(しかし)首相「GoTo」継続強調
という順序にしないと、論理の整合性がとれない。
言い直すと、感染者が1750人になった。感染が拡大しているから注意が必要。しかし、政府は「GoTo」を継続すると強調している。(でも、なぜ?)
で、ここから言えることは、まず、読売新聞は「首相、感染防止呼び掛け」を見出しに取らなかったということ。つまり、国民の不安、警戒心には触れないようにしている、ということ。そして、「GoTo」を継続については「疑問」を書かないようにしていることがわかる。
(でも、なぜ?)
これは、私が先に記事を要約したときにつけくわえたことばだが、このことは書かれていない。そして、これが問題だ。
政府は「経済活動を進めながら、増加傾向に歯止めをかける」というのだが、私はこの書き方にも疑問をもっている。
「経済活動」って、なに? 「GoTo」にかかわる「経済活動」といえば、まず、旅行。ホテル、旅館である。それをなんとしても維持したい。
でも、なぜ?
書かれていないからこそ、私は想像する。そして、すぐに思いつく。最近、政府が血眼になってやっていることを見ると、すぐに気づくことがある。
政府がコロナ対策の傍ら、いまもうひとつ一生懸命にやろうとしていることがある。東京オリンピックだ。その東京オリンピックと「GoTo」は関係があるのだ。いま、ホテル、旅館はたいへん厳しい経営環境にある。つぶれてしまいそう、と悲鳴を上げているところがたくさんある、と聞く。もし、ホテル、旅館が東京オリンピック前に倒産し、営業できなくなったらどうなるか。選手には「選手村」があるかもしれない。しかし「オリンピック観戦客」の宿泊場所がなくなるのだ。それでは観光客がやってこれない。観光客を受け入れようにも、受け入れることができるホテル、旅館がない。観光客が落としてくれる金で日本の経済を立て直すきっかけにしたい、と考えている政府(あるいは電通か)にとっては、これはたいへんな問題だ。東京オリンピックが終わるまでは、ホテル、旅館に倒産してもらっては困るのだ。だから、躍起になっている。
これは、安倍の残した大きな負の遺産だ。菅は「安倍継承」を訴えて首相になったので、オリンピックを中止して日本経済を立て直すという「新方針」を提出できないのだ。
日本国民の健康はどうでもいい、なんとしても電通が企画したとおりにオリンピックを成功させないことにはたいへんなことになる。そういう「見方」しかできなくなっている。それが「GoTo」継続(ホテル、旅館を倒産させない、資金援助をする)という政府方針になってあらわれている。
こういうことは、実際に「取材」していれば、「肌」で感じ取れるはずのことである。しかし、それを隠している。「なぜ?」という疑問を書かずに、菅の言うことが「正しい」と思わせる書き方をしている。そのために、記事そのものが混乱している。「前文」の記述内容の順序と、本記の記述内容の順序が食い違うという奇妙な書き方になっている。新聞記事にはどういうふうに書かなければならないという「決まり」があるわけではないだろうが、ちぐはぐな(わかりにくい)文章の流れ、見出しのつけ方から、私は、そんなことを思ってしまうのだ。もう菅(政権)に見切りをつけて、国民のためにほんとうのことを書くべきではないのか。
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「情報の読み方」は10月1日から、notoに移行します。
https://note.com/yachi_shuso1953
でお読みください。
#菅を許さない #憲法改正 #読売新聞
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