詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

麻田春太『虚仮一心』

2021-05-28 08:28:54 | 詩集

 

麻田春太『虚仮一心』(書肆侃侃房、02月04日発行)

 麻田春太『虚仮一心』に「口からでまかせ」という作品がある。


口は災いの門というけれど
世間は口も八丁手も八丁を重宝する
わたしは口が重いし 口がかたい
あなたはそんなわたしに 口をはさむ
口から先に生まれたあなたに
わたしが悪いのではない と
 口をそろえて 口にする
わたしはそんなあなたに 口をそろえて
口を出す
あなたは口をとがらせて 口を割る
 わたしが悪いのか
 世間が悪いのか
口をつぐんでしまった あなたとわたし
口から口へと伝わる うわさ
口の悪いわたしから 口が軽いあなたへ
口が減らないあなたから 口がすべる
口をきいたわたしは 口を切る

 「口」ということばをふくまない行もあるが、ほとんどの行に口が出てくる。全部の行に口があった方がおもしろいだろう。次はどんな口が出てくるかな、という期待が生まれる。そして、その期待通りのことばが出てきて、「そうだ、そうだ」と思わせるだけ思わせて、最後に「えっ」と思うような裏切り(読者の予想を裏切る、という意味)があると、いっそう楽しい。
 あとは、そうだなあ、論理だね。それとリズム。期待も裏切りも、結局は論理。リズムに乗って、論理にしたがって期待は動く。それが予想、予測。そして、それが外れる。その瞬間に、いままでとは違ったものがあらわれる。
 悪口か批判かわからないが、そういうことも口を含んだ表現になると、開いた口が塞がらなくなるだろう。

 


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