読売新聞(西部版・14版)が、やっと一面トップを東京五輪ではなく、コロナ問題に切り換えた。
緊急事態/首都圏3県・大阪 追加へ/2日から31日(見出し)
政府は29日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大阪、埼玉、千葉、神奈川の4府県に対し、新たに緊急事態宣言を発令する方針を固めた。宣言の発令地域は東京と沖縄を合わせ、6都府県に拡大する。期間は8月2日から31日で、東京と沖縄の期限は8月22日から31日に延長する。(略)
政府は30日、4府県への宣言発令を柱とする案を専門家でつくる基本的対処方針分科会に示す。了承されれば、国会に報告したうえで政府対策本部で正式決定し、首相が記者会見で国民に説明する見通しだ。
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なぜ、即座に基本対処方針をつくり、30日の分科会で決定、30日中に発令でいないのか。発令を2日までのばす理由は何なのか。
なぜ首都圏と大阪だけなのか。
さらに、なぜ、30日(きょうだけれど)の決定まで、菅は雲隠れするのか。
官僚の「作文」が30日まで待たないと完成できないということなのだろうが、緊急事態に官僚の「作文」を読み上げるだけというのは、あまりに無責任だろう。
菅自身のことばで、先手先手で国民に呼び掛けなくてどうするのだろう。
新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、日本医師会や全日本病院協会など9団体は29日、東京都内で合同記者会見を開き、全国に緊急事態宣言の発令を検討することなどを政府に求める緊急声明を発表した。
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日本医師会など9団体が、全国に緊急事態宣言を出すように求めている。「検討を求める」とは婉曲的な表現だが、実質、「出せ」という勧告だろう。勧告するだけの「権限」がないから「検討を求める」としか言えない。
それをいいことに、緊急事態宣言を出すのを遅らせているとしか思えない。
3面の「スキャナー」には、こういう文章がある。
政府の対策分科会の尾身茂会長は29日の参院内閣委員会で、「最大の危機は、社会の中で危機感が共有されていないことだ」と述べ、感染防止へ向け、国民にメッセージを打ち出す重要性を強調した。
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私から見れば、「最大の危機は、菅が危機感を持っておらず、内閣で危機感が共有されていないことだ」。国民に問題があるわけではなく、菅と内閣に問題がある。
それは繰り返しになるが、菅が雲隠れしている、緊急事態宣言を即座に出すという姿勢を示さないところに端的にあらわれている。
緊急事態宣言を出し、五輪を中止しなければ、「危機感」が国民につたわるわけがない。
首相は記者団に「人流の減少傾向を加速させるため、五輪は自宅で観戦していただきたい」とも語り、国民に協力を呼びかけた。
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五輪選手が優勝して喜んでいる、新聞テレビも「金メダルだ」と騒いでいる。そういうとき、国民は、家でひとりでテレビ観戦? (いまは、多くの家で、テレビひとり1台の時代。)そんなことをして、だれが楽しい? どうしたって、仲間が集まって応援し、はしゃぐ。たとえひとりでテレビ観戦をしたとしても、知り合いと出会えば、テレビで見たことを語り合う。話しも長くなれば、声も大きくなる。菅は、だれかとよろこびを共有したことがないのだろう。人を支配して、自分は権力者だと自己満足することしかできないのだろう。
浮かれた状況を改めるには、浮かれたお祭騒ぎを中止するしかない。
全国の感染状況は、どうなっているか。
新型コロナウイルスの感染者が29日、国内で新たに1万693人確認され、初めて1万人を突破した。このうち東京都の新規感染者は3865人で、3日連続で過去最多を更新した。
全国の新たな感染者はこの1週間で約2倍に急増しており、この日は神奈川県(1164人)と沖縄県(392人)でもこれまでで最も多くなった。重症者は前日から17人増の539人、死者は14人だった。
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全国の感染者が1万人を超えた。東京の感染者数は、来週中には5000人どころか 1万人に達するかもしれない。2年つづきで、盆の帰省を見送る人も増えるだろう。
「五輪関係者の感染状況」はどうか。
東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は29日、海外からの選手3人を含め、新たに24人が新型コロナウイルス検査で陽性と判定されたと発表した。
7月1日に組織委が公表を始めてから最多の陽性判定者数で、同日以降の大会関係者の陽性者は計193人となった。
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「バブル対策」がどうなっているか知らないが、「バブル内」で感染が爆発している。きのうも書いたが、「五輪関係者」の総数が10万人として、そこで1日24人が感染するというのは、非常に大きい数字である。24人だけを取り出すから、一見少なく見える。
もう「安心安全」は完全に崩壊している。
そのことをジャーナリズムは、もっと、わかりやすい形で報道すべきである。
「余波」というか、読売新聞は、こういう記事を載せている。
24日から開催されている全国高校総体で、新型コロナウイルスの感染が理由で出場辞退するケースが出ている。
バスケットボール男子では、28日までに3校が出場を辞退。部員に感染者が出たほか、同じ寮で生活する別の部の部員が感染し、バスケ部員が濃厚接触者に該当したことなどが理由。ソフトボール女子でも1校が出場を辞退した。
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感染の危険性が若い世代にも急拡大している。というか、若い世代の感染者が急増している。そのために高校総体の出場辞退ということまで起きている。
アメリカの女子体操選手バイルスが棄権したのは、コロナに感染したからではないが、コロナ状況下での大会が不安を引き起こした、と考えられる。
日本が金メダルだ、金メダルだと騒いでいるが、もう「正常な大会」ではない。「危険、不安」な体書いてある。
即座に中止すべきだろう。
中止しないと、札幌のマラソンなどはコース周辺に観客があふれ、大変なことになるだろう。無料で、しかも選手が近くで見れる最後の機会。市民がコース沿道を埋めつくすだろう。「自宅でテレビ観戦して」といくら訴えても効果はない。「私ひとりくらいならいいんじゃない?」とだれだって思う。そういうことを思わせない、国民に「協力を求める」というのなら、国は、それなりのことをしないといけない。
オリンピックは、中断、中止するしかない。