それでもアメリカは世界一
ナノ秒の大虐殺(3):600万人(補1参照)という数字には同意いただけましたか。なかなか難しいと思うが、一応そのくらいにしておかないとマッチメークが出来ない。まさか横綱と序の口の新弟子の取り組みを組むわけにもいかないではないか。それじゃ興行にならない。文部科学省からも文句を言われる。仮定の話であるからしばらくご辛抱願いたい。
一応(ユダヤ人問題の最終的解決)が行われた時期を1939年から1945年の6年間とする。一年間100万人である。一日2700人あまり、1時間あたり114人となる。おぞましい計算だがアメリカの生産性の高さと比較するためにやむをえない。
アメリカは1945年3月10日の東京大空襲では2時間で10万人の東京都民を焼き殺した。1時間あたり5万人である。1945年8月の広島長崎にいたってはナノ秒で30万人を焼き殺している。
アメリカは原爆と並行して関東平野にサリンを散布する計画を進めていた。アメリカは日本上陸作戦を二方面から行う予定だった。九州上陸作戦をオリンピック作戦と名づけた。関東平野上陸作戦はコロネット作戦といった。
アメリカ軍の計画によると日本市民の死者を500万人以上と見込んでいたという。広島、長崎への原爆投下は新兵器の実験そのものである。毒ガスは確立された技術である。上空からの散布は確実で高い成功率を保障された戦術であった。
硫黄島の飛行場から発進したムスタング戦闘機で日本の対空砲火、迎撃機を壊滅させ、グアム、サイパン、テニアンの空港から発進させる数百機のB-29長距離爆撃機で関東平野の上空に侵入する。散布作戦は10分以内に終わるであろう。
アメリカは広島にウラニウム型の原子爆弾を投下して成功したにもかかわらず、並行して開発していたプルトニウム爆弾の実験をするために数日後に長崎に原子爆弾を投下した。
さて、昨日の報道によると、アメリカの核不拡散担当大使ロバート・ジョセフは次のように原爆投下を正当化したという。
1・さらに何百万人もの日本人が命を落としたであろう戦争を終わらせた点に
2・大半の歴史家は同意していると思う
1. 日本がサイパン陥落後半年以上前から和平をすでに模索していたことをアメリカは把握していた。ただソ連に仲介を頼むというトンチンカンなことをしていたが。アメリカが日本の無条件降伏に固執しなければ早期の停戦は可能であった。アメリカこそが日本との停戦交渉を拒否していたのである。したがって上記1のコメントは「非情、冷酷、非現実的な無条件降伏を日本に押し付けるためには、アメリカはさらなる原爆投下、毒ガス散布による日本人の大量虐殺を当然のこととしていた」と変更しなければ意味が通らない。(補2参照)
2・自分の、アメリカの意見を述べよ。「大半の歴史家」に助けを求めるな。それも「同意していると思う」といかにも自信無げだ。
補1: ニュルンベルグ裁判で連合国の検察は500万人がナチスの絶滅収容所で殺されたと主張していた。その後その数字は糾弾する側から100万人単位で、少ないほうに修正されているらしい。
補2: 無条件降伏という要求を唯々諾々と受け入れる為政者はいない。国家の存続と国民の生命と財産に責任を持つ為政者として、なにをされても「しょうがない」という無条件降伏を受け入れるということは許されることではない。すこしでも有利な条件を確保しようとするのは当然のことである。
その為政者がそれまでに無謀で拙劣な戦争指導で国家の破壊をもたらし、国民の生命、財産に惨害を与えていたとしても、だから無条件降伏を即座に受け入れていいという理屈は無い。東条英機はサイパン陥落後に退陣していたが、その後の戦争指導者を含めて高級軍事官僚を厳しく批判してきた著者でも、ポツダム宣言を即座に受け入れなかったから原爆投下の責任はアメリカにないなどという荒唐無稽な通説には同意できない。(カテゴリー・東条英機ほか参照)
もっとも彼我の戦力差についての情報分析、原爆などの新兵器の開発についての諜報、ソ連参戦計画を把握できなかったことなど、日本の諜報能力に問題があったとはいえる。
アメリカにジェノサイド(日本民族絶滅、ナチスの言葉で言えば日本人問題の最終的解決)の意思と計画があることはポツダム宣言のなかに脅迫的言辞で明記されていたが。