惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

昨日

2023-11-05 21:23:02 | ひと

昨日は飛行機で高知に日帰り。

いつもの実家での用ではなく、1年前に病没した高校時代の後輩を偲ぶ会に出席するためでした。
山岳部で1年下の彼を知る人々30人ほどが集まりました。

私は高校時代の彼を知るぐらい。でも、なぜか懐かしく、親しみを感じていました。享年はたぶん69。
山の関係の人、インド映画の関係の人、それぞれが思い出を語り合ううちに、彼の人となりと生涯が私の胸の内で像をつくってゆきます。輪郭は私が思っていたとおりでしたが、細部がより具体的に。そして、正義感が強く、自分を無にして他人のために働いた彼の生き方が伝わってきました。

その足跡のうち、インド映画に関する部分については、cinetamaさんがブログ「アジア映画巡礼」に書かれた「元吉仁志さんのこと」でさらに詳しく知ることができました。

山・アジア深部・インド映画。彼の好奇心の深部にあったものが何だったのか、今日も時おり思いを巡らせていました。


石川喬司さん

2023-08-29 20:51:50 | ひと

訃報が届きました。
石川喬司さんが7月9日に亡くなられたそうです。享年92。

SF作家、評論家、競馬評論家。戦後の日本SF黎明期から「新しい文学」としてのSFの可能性を熱く語り、当時、唯一のSF評論家として我が国にSFが定着するのに多大な力を発揮されました。詩情あふれる短編の書き手としても忘れることができません。
競馬評論家としても多くの著作をもっておられます。寺山修司さんに競馬を教えたのは石川さんだったとか。

森下にとっては、〈SFマガジン〉の初期から長期間連載された時評「SFでてくたあ」の影響がいちばん大きかったように思います。
内外のSFのみならず、広く小説全般、あるいは社会事象の中でのSFのあり方を端的に指摘しておられました。SFの面白さだけに耽溺せず、広い視野からSFについて考える姿勢を教えられました。

私自身がSFの仕事をするようになってからは、過分と思えるほど親切にしていただき、温かい言葉をもらいつづけました。
そして晩年、競馬場に誘われ、そこで過ごした時間はこの上なく楽しく、貴重なものでした。

石川さん、たくさんのものをありがとうございました。ご恩は決して忘れません。


「読書人の終活」

2023-04-02 20:28:11 | ひと

 朝日新聞の投書欄「男のひといき」でなつかしいお名前に遭遇しました。
 権田萬治さん。

 ミステリー評論家というべきでしょうか。もっと広く文芸評論家でもいいのかな。私どもの大先輩。
 何度かお目にかかったことがあります。確か、競馬場でも石川喬司さんの紹介で。

 投書は「妻のマグカップ」というタイトルで、昨年夏、コロナのため奥様とあわただしく永別をなさったこと。今は、2人で入った介護施設にひとりで暮らし、朝にはお揃いで買ったマグカップの奥様用のぶんで濃い緑茶を飲んでいるという内容。淡々と書かれていますが、さみしさがひしひしとつたわってきます。

 ネットを検索してみると、権田さんのブログがありました――「権田萬治の〈本の虫〉日記」
 2017年の1月6日が今のところ最後の更新ですが、転居のため本の整理をなさって難儀された記事が多い。
 「読書人の終活」という項には、「皆さんのためにあえて申し上げる。本の整理、処分は60代で済ませてください」という忠告もあります。

 そうなんですよねぇ。いずれ整理するつもりがあるのなら、体力気力のあるうちに取りかからないといけないんですよねぇ。
 とはいえ、減らずに増えつづけるのが蔵書の宿命。
 いやいや、そんなことはいっていられない年齢になってきてはいるのですが……。


12月並み

2022-10-05 20:57:22 | ひと

 今日もいちにち冷たい雨。気温が上がりません。
 というか、昼間も下がりつづけ、今のところ(午後8時現在)、最低気温は午後4時過ぎの 11.3℃(隣町アメダス)という始末。12月上旬から中旬並みの温度らしい。

 家の中で着込んでいるのはいうまでもなく(ズボン下まで履いてます)、夕方、雨の中を散歩に出た時は「手袋、欲しい……」と思ったほど。
 北からの寒気が流入しているせいだそうですが、地球の空気は塊ごとに激しく温度が違うんだなあと体で感じています。

 作家の津原泰水さんが今月2日、58歳で亡くなられました。

 「天才」とか「鬼才」とかいう呼称がぴったりの作家だと思います。
 私は特に短編に魅入られ『 11 eleven 』(河出文庫)所収の「延長コード」や「琥珀みがき」はずっと忘れることがないと思います。素晴らしい業績を遺されましたね。


川津祐介さん

2022-03-04 21:19:25 | ひと

 ネズミ対策にトウガラシ。とりあえずは効を奏したのかな。
 スナップエンドウの蔓、今朝は無事でした。

 これが永続きすればいいのですが。

 朝。ロシア軍がウクライナのザポリージャ(ザポロジエ?)原発を砲撃というニュースにギョッ!
 火災が発生しているとのことでしたが、原発本体ではなく付属の「訓練場」と判明し、とりあえず胸を撫で下ろしました。
 しかし、原発はヤバイ。いや、戦争はヤバイ。プーチンよ、一刻も早くやめろ!

 俳優の川津祐介さんが先月26日に亡くなられていたとの報。

 学生時代、日本映画の旧作を見まくっていた時、何度、スクリーンで拝見したことか。するどい眼光の青年役が目に焼き付いています。

 それとは別に印象的だったことが2つ。

 ひとつは、マンガ。
 確か高校生の頃、読んでいた〈COM〉だと思うのですが、個性的なマンガを発表していて驚いたものでした。

 もうひとつは40年ぐらい前、この街に引っ越して来て、近所を散歩していた時のこと。「川津祐介」という表札のある家を、偶然、見つけたのでした。
 「あの才人がここに住んでいるのか」と、何度もその前を通るコースを歩きました。
 特に奇抜な造りではなく、ごく普通の住宅だったことがかえって意外だったかな。一度も住んでられる方を見かけたことがなかったのが、残念。

 享年86ですか。たくさんのことを楽しまれた生涯のように思えます。合掌。