惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

NHK経営委員会

2014-02-05 21:29:19 | テレビ番組

 このところ公共放送の経営陣のあり方について関心を覚えることが多くなりました。
 それで、経営委員会とはどんな感じなのか、ネットで公開されている1月14日の議事録を読んでみました。

 会議の様子がよくわかります。こういう情報公開はありがたい。

 読んでいて興味深く思ったのは、議事の中ほどよりやや下、百田尚樹委員が、

「例えば尖閣諸島や竹島の問題、あるいは靖国神社に関する極東軍事裁判や在日朝鮮人・韓国人に関わることなど、いろいろな意見がある中で、多くの人々は自分の考えを持つだけの知識を得る機会がないというのが現状だと思います。日本の公共放送として、現在の日本が抱えているさまざまな問題や歴史に関して必要最低限の知識を伝える番組があってもよいのではないかという気がしました」

 と発言したのを受けて、宮田亮平委員が、

「誤解があるといけないので確認しますが、経営委員は番組の話をしてはいけないのですか」

 と訊ねたところ、上村達男経営委員長代行が、

「番組編集の基本計画は議決事項であり、編成計画は報告事項になっています。番組について何も言わないで編集の基本計画は議決しますというのは変な話になります。経営委員は、個別の放送番組の編集その他の業務を執行できないということであり、番組に関する感想を述べてはいけないということではありません。褒めるのはいいけれども、けなしてはいけないということはないわけです。『視聴者の皆さまと語る会』で参加者の方々と議論するようなレベルの話であれば自由に意見を言っていいと理解しています」

 と述べています。

 百田委員は、

「そうすると私の意見は許容範囲内ですかね」

 と言い、長谷川三千子委員も、

「正しい国民的議論を引き起こすためにシンプルで正確な事実を伝えることは、教育という目標からも大切なことだと思います。(中略)そういう意味では、今の百田委員がおっしゃったようなことの実現は、難しいと思いますが目標として考えていただいてもいいのではないかと思います」

 と発言しているあたり。

 会長や理事の受け止め方にもよるかと思いますが、こういう形で番組編成や内容に圧力がかかることはありそうに感じました。

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