外国人材
自民党憲法改正草案を読む/番外247(情報の読み方)
2018年11月15日の読売新聞朝刊(西部版・14版)。1面の見出し。
「外国人材」とは何か。「介護最多6万人」を手がかりに考えると、外国人労働者のことである。「政府は14日、外国人労働者の受け入れ拡大を検討する14の業種別に、2019年度から5年間の受け入れ見込み数を公表した」と書き出しにある。
なぜ「外国人労働者」としなかったのか。目新しいことばに出会ったときは、そこに何かが隠されていると読むべきである。読売新聞が独自に考え出したことばなのか、政府の意向を受けてそう表現したのか。他の報道機関がどう表現するか、そを見てみないとわからない。
この「外国人材」に呼ばれる外国人労働者の問題は、3面に解説記事が掲載されている。「14業種人数 根拠示さず」という見出しで問題点を指摘しているが、私は見出しになっていない部分(記事)に注目した。
「外国人技能実習生」は「技能実習生」ではなく「単純労働者」が実態ではないのか。「単純労働者」を「技能実習生/人材」と呼び変えて、実態を隠していることに問題の発端がある。
言い換えると、「実習生」が「実習生」としてきちんと処遇されていれば、彼らは「失踪」などしないだろう。「失踪」の理由を作っているものは何かという視点からの考察がなされていない。
カット写真に、富山県のかまぼこ工場で働くベトナム人の「技能実習生」が登場している。私はかまぼこ工場で働いたことがないから推測で言うのだが、この「実習生」がしている仕事は5年間かけないと身につかないものなのか。せいぜいが1日見習いをして、それからすぐに働けるような「単純労働」なのではないのか。5年間、そういう仕事をして、どういう「技能」をベトナムに持ち帰るというのか。工場のシステム、経営の方法まで学べるのか。そういうことはせず、ただ「単純労働者」として5年間も低賃金でこきつかう。これでは、もっといい「仕事(高賃金)」を求めて、失踪したくなるだろう。
「社会保障制度の悪用を防ぐ」というのも、ひどい言い方である。日本にきて、日本で働いていれば、日本の社会保障制度の適用を申請することにどんな問題があるのか。人権をもったひとりの人間としてではなく、使い捨ての労働者という視点で見るから、社会保障制度が悪用(?)されている、と感じるのだ。日本人が支払った税金が外国人をすくうためにつかわれるのはおかしいという発想が生まれる。同じ社会に生きているなら、そして外国人が日本人を助けてくれているなら、もっと外国人を大切にしないといけない。
「人件費軽減」と書かれているのは「日本人の賃金を引き下げることができる」ということである。簡単に言いなおすと「外国人は時給 600円で働いている。日本人なら 660円だ」という具合に賃金を、安いレベルに引き下げるということ。「働きたいのなら(金が必要なのなら)、この条件をのめ」ということだ。「思惑もある」ではなく、これが本当の狙いなのだ。日本人の賃金も引き下げる。そうすることで企業の利益を上げる。そのための政策なのだ。
外食産業が引き合いに出されているが、人手不足が深刻な介護現場も、そうなるにちがいない。いまでも仕事が厳しく低賃金が問題になっているのに、それにさらに拍車がかかるということだ。
外国人労働者を5年間で使い捨てながら、低賃金を守る。できるなら、さらに低賃金にするためのシステムなのである。
建築工事が終われば仕事がなくなる。「職を失う」というより、雇用している会社そのものが「受注」がないので労働者を抱えていられない。だから、首にする。そういうとき、どうするのか。それこそ(1)で取り上げた「社会保障制度」が問題になる。安倍は、こういう「人権」に関わる問題をまったく気にしていない。目先の「経済利潤」しか理解できない。「外国人は母国へ追い返せばいい」と思っている。言い換えると「労働人口の調整弁」として外国人を利用しようとしている。
「外国人労働者」の人数をどうするか、ということではなく、「人間」とどう向き合うか、という視点が欠如している企業の利益をどう確保するか(その見返りに自民党への献金、安倍へのわいろをどう確保するか)ではなく、私たちは人間としてどう生きるべきなのかという哲学が完全に欠けている。
安倍はもちろんだが、追及する野党の方も意識が十分とは言えない。
(2)で見たように、「外国人労働者」に適用されるシステムは必ず日本人にも適用される。「外国人にできることが、なぜ日本人にできない」というような「精神論」も出てくるかもしれない。「ほしがりません、勝つまでは」が復活する。戦場は「グローバル化した世界市場」である。すでに、日本は中国に負けている。このことが、安倍には、とうてい我慢できないことなのだろう。だから、「経済戦争」での敗北を、武器をつかった戦争で取り返そうと、戦争もはじめるだろう。そのために憲法が改正されようとしているということも忘れてはならない。
「外国人労働者」の問題と、憲法改正は、深いところでつながっている。外国人はどうなってもいい。日本の労働者もどうなってもいい。企業さえもうかればいい。企業が自民党に献金し、安倍が潤うなら、それでいい。それ以外のことは、安倍は考えていない。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
*
「天皇の悲鳴」(1500円、送料込み)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
ttps://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977
ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。
自民党憲法改正草案を読む/番外247(情報の読み方)
2018年11月15日の読売新聞朝刊(西部版・14版)。1面の見出し。
外国人材 介護最多6万人
「外国人材」とは何か。「介護最多6万人」を手がかりに考えると、外国人労働者のことである。「政府は14日、外国人労働者の受け入れ拡大を検討する14の業種別に、2019年度から5年間の受け入れ見込み数を公表した」と書き出しにある。
なぜ「外国人労働者」としなかったのか。目新しいことばに出会ったときは、そこに何かが隠されていると読むべきである。読売新聞が独自に考え出したことばなのか、政府の意向を受けてそう表現したのか。他の報道機関がどう表現するか、そを見てみないとわからない。
この「外国人材」に呼ばれる外国人労働者の問題は、3面に解説記事が掲載されている。「14業種人数 根拠示さず」という見出しで問題点を指摘しているが、私は見出しになっていない部分(記事)に注目した。
(1)外国人技能実習生で問題となっている失踪をどう食い止めるか、社会保障制度の悪用をどう防ぐかも課題だ。
「外国人技能実習生」は「技能実習生」ではなく「単純労働者」が実態ではないのか。「単純労働者」を「技能実習生/人材」と呼び変えて、実態を隠していることに問題の発端がある。
言い換えると、「実習生」が「実習生」としてきちんと処遇されていれば、彼らは「失踪」などしないだろう。「失踪」の理由を作っているものは何かという視点からの考察がなされていない。
カット写真に、富山県のかまぼこ工場で働くベトナム人の「技能実習生」が登場している。私はかまぼこ工場で働いたことがないから推測で言うのだが、この「実習生」がしている仕事は5年間かけないと身につかないものなのか。せいぜいが1日見習いをして、それからすぐに働けるような「単純労働」なのではないのか。5年間、そういう仕事をして、どういう「技能」をベトナムに持ち帰るというのか。工場のシステム、経営の方法まで学べるのか。そういうことはせず、ただ「単純労働者」として5年間も低賃金でこきつかう。これでは、もっといい「仕事(高賃金)」を求めて、失踪したくなるだろう。
「社会保障制度の悪用を防ぐ」というのも、ひどい言い方である。日本にきて、日本で働いていれば、日本の社会保障制度の適用を申請することにどんな問題があるのか。人権をもったひとりの人間としてではなく、使い捨ての労働者という視点で見るから、社会保障制度が悪用(?)されている、と感じるのだ。日本人が支払った税金が外国人をすくうためにつかわれるのはおかしいという発想が生まれる。同じ社会に生きているなら、そして外国人が日本人を助けてくれているなら、もっと外国人を大切にしないといけない。
(2)人手不足で24時間営業の中止に追い込まれた外食チェーンは多い。外国人労働者を確保できれば、営業時間の拡大だけでなく、労働需給が緩み、人件費負担を軽減できるとの思惑もある。
「人件費軽減」と書かれているのは「日本人の賃金を引き下げることができる」ということである。簡単に言いなおすと「外国人は時給 600円で働いている。日本人なら 660円だ」という具合に賃金を、安いレベルに引き下げるということ。「働きたいのなら(金が必要なのなら)、この条件をのめ」ということだ。「思惑もある」ではなく、これが本当の狙いなのだ。日本人の賃金も引き下げる。そうすることで企業の利益を上げる。そのための政策なのだ。
外食産業が引き合いに出されているが、人手不足が深刻な介護現場も、そうなるにちがいない。いまでも仕事が厳しく低賃金が問題になっているのに、それにさらに拍車がかかるということだ。
外国人労働者を5年間で使い捨てながら、低賃金を守る。できるなら、さらに低賃金にするためのシステムなのである。
(3)日本建設業連合会の山本徳治事務総長は、「外国人が就労期間中に職を失うこともある。失職者にどう対応するのか、政府は考えるべきだ」と指摘する。
建築工事が終われば仕事がなくなる。「職を失う」というより、雇用している会社そのものが「受注」がないので労働者を抱えていられない。だから、首にする。そういうとき、どうするのか。それこそ(1)で取り上げた「社会保障制度」が問題になる。安倍は、こういう「人権」に関わる問題をまったく気にしていない。目先の「経済利潤」しか理解できない。「外国人は母国へ追い返せばいい」と思っている。言い換えると「労働人口の調整弁」として外国人を利用しようとしている。
「外国人労働者」の人数をどうするか、ということではなく、「人間」とどう向き合うか、という視点が欠如している企業の利益をどう確保するか(その見返りに自民党への献金、安倍へのわいろをどう確保するか)ではなく、私たちは人間としてどう生きるべきなのかという哲学が完全に欠けている。
安倍はもちろんだが、追及する野党の方も意識が十分とは言えない。
(2)で見たように、「外国人労働者」に適用されるシステムは必ず日本人にも適用される。「外国人にできることが、なぜ日本人にできない」というような「精神論」も出てくるかもしれない。「ほしがりません、勝つまでは」が復活する。戦場は「グローバル化した世界市場」である。すでに、日本は中国に負けている。このことが、安倍には、とうてい我慢できないことなのだろう。だから、「経済戦争」での敗北を、武器をつかった戦争で取り返そうと、戦争もはじめるだろう。そのために憲法が改正されようとしているということも忘れてはならない。
「外国人労働者」の問題と、憲法改正は、深いところでつながっている。外国人はどうなってもいい。日本の労働者もどうなってもいい。企業さえもうかればいい。企業が自民党に献金し、安倍が潤うなら、それでいい。それ以外のことは、安倍は考えていない。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
*
「天皇の悲鳴」(1500円、送料込み)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
ttps://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977
ページ右側の「製本のご注文はこちら」のボタンを押して、申し込んでください。