タケイ・リエ『ルーネベリと雪』(七月堂、2018年09月30日発行)
タケイ・リエ『ルーネベリと雪』の「ターミナル」の二連目。
読みながら、この人のなかでことばはどんなふうに動いているのかなあ、と思う。「祈る」と「折る」。漢字は似ている。でも音が違う。ことばを「文字」で覚えた人なんだなあ、と思う。視力がいいんだろう。
私は最近、目の調子が悪くて、文字を読むのがつらい。だから、こういう「文字」(漢字)のなかを通って動くことばに出会うと、あ、私の見えないものがあるなあ、と苦しくなる。
三連目は、こう展開する。
「どろどろ」「くつくつ」「きらきら」。オノマトペ。今度は一転して、「音」がことばを動かしている。「つぎつぎ」や「粉々」までもがオノマトペに見えてくる。
ことばと、「肉体」のどの部分で向き合っているのか、ちょっとわからない。どこに私の「肉体」を重ねることができるか、それがわからない。
でも。
この一行が、なぜか、印象に残る。「簡単」ではなく「かんたん」と書くことで、一種のオノマトペになっているような気がする。「ん」の繰り返しがそう感じさせるのかもしれない。
そして、そう感じた瞬間に、これは「祈る/折る」の漢字のつかい方に似ているなあ、と思った。「祈る/折る」を繰り返し、「視覚のオノマトペ」をつくりだしているのか。
さて、では、この「かたむいている」と「かたくなる」は、なんなんだろう。よくわからない。
「意味」だけではない何かをつかみとるために詩を書いているのかもしれないなあ。
*
「高橋睦郎『つい昨日のこと』を読む」を発行しました。314ページ。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
ここをクリックして2500円(送料、別途注文部数によって変更になります)の表示の下の「製本のご注文はこちら」のボタンをクリックしてください。
なお、私あてに直接お申し込みいただければ、送料は私が負担します。ご連絡ください。
「詩はどこにあるか」2019年1月の詩の批評を一冊にまとめました。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168075286
オンデマンド形式です。一般書店では注文できません。
注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
*
以下の本もオンデマンドで発売中です。
(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512
(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009
(3)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455
(4)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977
問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com
タケイ・リエ『ルーネベリと雪』の「ターミナル」の二連目。
祈ることと
折れることは
ぜんぜん違うけれど
そのときのわたしは
かなり折れていて
もうこれいじょう折れないように と
街路樹に祈ったかもしれない
読みながら、この人のなかでことばはどんなふうに動いているのかなあ、と思う。「祈る」と「折る」。漢字は似ている。でも音が違う。ことばを「文字」で覚えた人なんだなあ、と思う。視力がいいんだろう。
私は最近、目の調子が悪くて、文字を読むのがつらい。だから、こういう「文字」(漢字)のなかを通って動くことばに出会うと、あ、私の見えないものがあるなあ、と苦しくなる。
三連目は、こう展開する。
時間がわからなくなるほど
熱っぽいものが
どろどろ溶けていた
まぶたのうえでくつくつ煮える
木の葉に
光がつぎつぎ産卵され
突風が吹くと
光は粉々に割れてゆく
割れながらきらきら笑ってみせる
たのしいことはかんたんに
きらきらと割れていった
「どろどろ」「くつくつ」「きらきら」。オノマトペ。今度は一転して、「音」がことばを動かしている。「つぎつぎ」や「粉々」までもがオノマトペに見えてくる。
ことばと、「肉体」のどの部分で向き合っているのか、ちょっとわからない。どこに私の「肉体」を重ねることができるか、それがわからない。
でも。
たのしいことはかんたんに
この一行が、なぜか、印象に残る。「簡単」ではなく「かんたん」と書くことで、一種のオノマトペになっているような気がする。「ん」の繰り返しがそう感じさせるのかもしれない。
そして、そう感じた瞬間に、これは「祈る/折る」の漢字のつかい方に似ているなあ、と思った。「祈る/折る」を繰り返し、「視覚のオノマトペ」をつくりだしているのか。
たどりつかない物語の道は
とてもかたむいている
わたしはわたしを引きずっている
歩き続けたつまさきがまるくかたくなる
さて、では、この「かたむいている」と「かたくなる」は、なんなんだろう。よくわからない。
「意味」だけではない何かをつかみとるために詩を書いているのかもしれないなあ。
*
「高橋睦郎『つい昨日のこと』を読む」を発行しました。314ページ。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑
ここをクリックして2500円(送料、別途注文部数によって変更になります)の表示の下の「製本のご注文はこちら」のボタンをクリックしてください。
なお、私あてに直接お申し込みいただければ、送料は私が負担します。ご連絡ください。
「詩はどこにあるか」2019年1月の詩の批評を一冊にまとめました。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168075286
オンデマンド形式です。一般書店では注文できません。
注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
*
以下の本もオンデマンドで発売中です。
(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072512
(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073009
(3)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168073455
(4)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977
問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com
ルーネベリと雪 | |
クリエーター情報なし | |
七月堂 |