岡野絵里子「病室」(「彼方」3、2019年02月28日発行)
岡野絵里子「病室」は死んでいく伯母を描いている。
「夜のはずれ」ということばが強く響く。時には「中心」よりも「はずれ」の方が意識を引っ張る。
理詰めすぎて、私は、ここで少しいやな気持ちになったのだが、そのあとのことばがとても美しい。
「歌」ではない。「音楽」ではない。「歌」や「音楽」になるまえの「音」をつかみとっている。武満徹の耳のようだ。「音」を「歌」や「音楽」に変えていくのは、それを聞いた人であって、作曲家ではない。
それは前の連の「淡い灯りとなって瞬き」の「瞬き」のようでもある。
これは「情景」であり、視覚でとらえる世界だが、なぜか「音楽」が聞こえる。「音」が聞こえる。「音」ということばをつかっていないのに。
詩の不思議さを感じる。
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「高橋睦郎『つい昨日のこと』を読む」を発行しました。314ページ。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168074804
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なお、私あてに直接お申し込みいただければ、送料は私が負担します。ご連絡ください。
「詩はどこにあるか」2019年1月の詩の批評を一冊にまとめました。
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オンデマンド形式です。一般書店では注文できません。
注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
*
以下の本もオンデマンドで発売中です。
(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
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(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
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(3)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
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(4)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
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問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com
岡野絵里子「病室」は死んでいく伯母を描いている。
夜の深さは忘れられる
眠る伯母の病室は夜のはずれにあった
「夜のはずれ」ということばが強く響く。時には「中心」よりも「はずれ」の方が意識を引っ張る。
伯母の気配は淡い灯りとなって瞬き
遠ざかって行こうとする
残された身体は透き通り
空洞を震わせて
何かを奏で始めいた
歌
だろうか?
理詰めすぎて、私は、ここで少しいやな気持ちになったのだが、そのあとのことばがとても美しい。
いや
それはかつて
彼女が家族と暮らした土地の
明るい林の音 に聞こえる
木立が枝を差し伸べて
生きる時間に触れていた音
「歌」ではない。「音楽」ではない。「歌」や「音楽」になるまえの「音」をつかみとっている。武満徹の耳のようだ。「音」を「歌」や「音楽」に変えていくのは、それを聞いた人であって、作曲家ではない。
それは前の連の「淡い灯りとなって瞬き」の「瞬き」のようでもある。
陽を浴びて葉々がそよぐ
あふれる光の下を
若い母親と子どもが手をつないで歩いて行く
これは「情景」であり、視覚でとらえる世界だが、なぜか「音楽」が聞こえる。「音」が聞こえる。「音」ということばをつかっていないのに。
詩の不思議さを感じる。
*
「高橋睦郎『つい昨日のこと』を読む」を発行しました。314ページ。
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なお、私あてに直接お申し込みいただければ、送料は私が負担します。ご連絡ください。
「詩はどこにあるか」2019年1月の詩の批評を一冊にまとめました。
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注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
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(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
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(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
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(3)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
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(4)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
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問い合わせ先 yachisyuso@gmail.com
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