詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

谷川俊太郎詩集『虚空へ』百字感想(27)

2022-01-04 11:57:20 | 谷川俊太郎『虚空へ』百字感想

谷川俊太郎詩集『虚空へ』百字感想(27)

(死の色は)

死の色は

まばゆさに
目を瞑る

ざわめきの
静まる
今日

慎ましく
黒は
隠れる
人の無明に

古の
金の輝き
鉄の錆

 「無明」は色だろうか。白と黒のあいだにある灰色かもしれない。この灰色は仮の名前で、ほんとうはまだ名前のない色。さわがしい灰色、静かな灰色。灰色は、いくつあるかもわからない。

 

 

 

 

(無はここには)

無は
ここには
ない

どこにも
無い
宇宙にも
心にも

無は偽る
文字で
詩で
こうして

無いのに
時に
有るに似る

 「偽る」と「似る」は微妙な関係にある。「偽り」のなかには事実に似たものがある。似ているから、ほんものと間違える。Aを以てBと為す。騙すは馬ヘンだが「偽る」も「似る」も人ヘンである。罪深い。

 

 

 

 


(水平線で)

水平線で
陽炎に
揺れている
遠い誰か

そこへと
夢が
泳いで行く

頑なに
沈黙する
椅子と

言葉の
無垢受胎の

 「頑な」と「無垢」。「頑な」には意思があるが、「無垢」には意思がない。だから「頑な」には拒絶感がともなうのに、「無垢」は逆に拒絶感がない。「無垢」がさまよいだすのは「幻」に騙されてか。

 

 

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Estoy loco por espana(番外篇131)Jose Enrique Melero Blazquez

2022-01-04 10:20:49 | estoy loco por espana

Jose Enrique Melero Blazquez 
Colección nudos. AC06

El hierro que crece hacia un nuevo "nudo".
El hierro no solo busca un "nudo".
Extiendo la mano para agarrar firmemente algo que no puedo agarrar o que está fuera de su alcance.
El "nudo" en este trabajo no es un "obstáculo". Es una prueba de que ha agarrado algo.
El "nudo" de abajo es cosa del pasado. Un hierro hinchado, buscando año nuevo, algo nuevo y la posibilidad de que ni siquiera exista todavía.
Estoy emocionado por su poder y su ganas.

¿Qué alcanzaré en 2022? ¿Qué puedo agarrar? Nunca estoy satisfecho. Quiero apuntar a algo nuevo.
Mirando el trabajo de José, penso que sí.

新しい「結び目」をめざして伸び上がる鉄。
鉄は、ただ「結び目」をめざしているのではない。
つかみきれない何か、手の届かないところにある何かをしっかりと握りしめるために手を伸ばしている。
この作品の「結び目」は「障害」ではない。何かをつかみ取った証拠なのだ。
下の「結び目」は過去のこと。新しい年、新しい何か、まだ存在さえしてしない可能性を探しながら、うねる鉄。
その力、その欲望に、私は興奮する。

2022年、私は何に手が届くか。何をつかみ取ることができるか。決して満足しない。新しいものをめざしたい。
ホセの作品を見ながら、そう思った。

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