△ソウル南山から見た「仲秋の名月」(9月25日、SBS8ニュース)
今日9月25日は旧暦8月15日にあたり、韓国では民族最大の
「명절(名節)」と称されるチュソク(仲秋節)を迎えた。
チュソクとは漢字で書けば「秋夕」。儒教式に先祖を供養(?)する
日であり、位置づけは日本の「お盆」によく似ている。
ところで、韓国語で言う「명절(名節)」とは、チュソク(仲秋節)や
ソルラル(旧正月)に代表される韓国の伝統的な民俗的祝日を
意味している。
なかなかいい日本語訳が見つからず、「ヲタク」が苦労している
単語の一つだ。
しかし、本当に苦労しているのは、こうした民俗的な祝日を裏で
切り盛りするため大忙しの韓国女性たちだと言えるだろう。
中には、祝日の家事労働や親戚付き合いから来るストレスに
苛(さいな)まれている女性もいると言う。
いわゆる「명절증후군(名節症候群)」の問題だが、YTNの関連
報道(記事)から一つ紹介してみたい。
この問題に「民俗的祝日ストレス症候群」なる、今一つしっくり
来ない我流の訳語を当てながら翻訳練習してみた。
なお、翻訳練習では紙面の都合で韓国語本文の引用は省いた。
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■ 또 명절증후군…성균관도 남성 가사일 권장
今年のチュソクも「ストレス症候群」、成均館も男性に「家事のすすめ」
(YTN 9月24日)
□キャスター
チュソク(仲秋節)連休を迎えると故郷のことを思いながら
気持ちがうきうきしてくるものです。
しかし、重い家事労働のため、多くの主婦が、いわゆる「祝日
ストレス症候群」に苦しめられています。
そこで、韓国儒教の総本山とも言える「成均館」(※)までもが、
男性も家事を手伝うべきだとの立場を明らかにしました。
(※)朝鮮王朝時代の官立「成均館」の精神を現代に伝えようと
する儒教団体。
キム・ジソン記者の取材です。
□レポート
今年、53歳になる主婦、パク・ミジャさんはチュソクを控え、
大きな不安を抱えています。
体力も衰え始めている上に昨年まで家事を手伝ってくれて
いた長女まで結婚していなくなり、お供え膳の料理などを
一人で準備しなければならないからです。
○インタビュー:パク・ミジャ(ソウル市プンナプ洞)
「家門の総本家の長男の嫁という立場なので大変です。
ソンピョン(餅菓子)をこしらえてまぶし粉をまぶしたり、全部一人で
やっています。もう年ですから、肩も痛いし腰も痛いし、一日中
立ち仕事をやれば足も張ってきますしね。娘たちも結婚していなく
なりましたし、いろいろ心配です。」
毎年、チュソク(仲秋節)やソルラル(旧正月)などの民俗的な
祝日になると決まって訪れてくる「祝日ストレス症候群」。
多くの主婦たちが重い家事労働から来る身体的な痛みを訴えたり、
はなはだしい場合には精神的に不安定な状態に陥ったり、
ノイローゼに苦しめられたりしています。
こうした事情から、仕事を持つ女性の中には、民俗的な祝日の
連休中、わざわざ休日勤務を買って出る人たちもいます。
○インタビュー:パク・ヒョンスク(京畿道水原市ウォンチョン洞)
「チュソクや法事ごとのせいで家族や親戚間で逆に反目が起きたり、
主婦たちの苦労も大変で、マスコミなどでよく言われる「祝日
ストレス症候群」を実際に経験している人が多いと思います。私も
そういう経験があります。そのため、私の職場では、連休中に
主婦の社員がわざわざ休日勤務を願い出るケースもあります。」
「祝日ストレス症候群」のため心療内科を訪れる主婦たちも増えて
います。
○インタビュー:イム・セウォン(精神科専門医)
「最近は、特に祝日の前の時期に不調を訴えてくる方が多く
なっています。祝日が来る前の段階から夫の実家を訪ねる
ことがいろいろと気になり始め、祝日が近づくにつれ、だんだんと
不安が大きくなり心身に不調を来たしてしまうというものです。」
専門家たちは、チュソクやソルラルの家事は女性の仕事だという
固定観念を解消していくことが問題解決の糸口になると強調して
います。
特に、これまで家父長制を擁護して来た成均館も男性がチュソクの
家事仕事に参加することを勧めています。
○インタビュー:イ・スンガン(成均館財団常務理事)
「最近では男性でもできることはやるということで、男性が女性を
助けながらいっしょにお供え料理の準備をやったりしており、実に
微笑ましいことだ。男女がお互いに楽しい気持ちで先祖を供養する
お供え料理を準備したり、法事をあげたりすることは望ましい
ことだ。」
楽しいはずのチュソクが逆に主婦の負担になっている現状が
あります。
男女がお互い少しずつ相手を思いやり助け合う気持ちこそが、
みんなで楽しく過ごすチュソクにしていく近道だと言えるでしょう。
(終わり)
参加カテゴリ:地域情報(アジア)/語学・英会話