惑星ダルの日常(goo版)

(森下一仁の近況です。タイトルをはじめ、ほとんどの写真は交差法で立体視できます)

それぞれの鈴木清順作品

2017-02-23 21:09:43 | 映画

 亡くなられた鈴木清順監督、それぞれの方の推す作品がバラバラなのが楽しい。
 よく見るブログやツイッターで目にした範囲内での感想ですが、人によってずいぶん違うんですねぇ。『殺しの烙印』を推す人もいれば、『けんかえれじい』や『野獣の青春』、それに『ツィゴイネルワイゼン』なと゜。
 勝手な推測をすれば、「最初の一撃」が頭にこびりついているんじゃないでしょうか。初めて観て、「なんじゃこりゃ~!」となって、忘れられなくなるのでは。自分自身がそうでしたから。

 夕方、外へ出ても暖かく、手袋なしで中央図書館まで。
 コートなしで歩いている人がかなりいました。中には半袖Tシャツで自転車に乗っている人も。でも、これはちょっとやり過ぎの感がありましたな。

 暖かくなってくると、土いじりのムシがうずうずしてきます。
 2日前に小カブの種を蒔きました(第一弾。時期をずらしてもう一度蒔く予定)。
 次は何をしようかと、今、思案中。

 というか、その前に書かなきゃいけない原稿があるし、所得税の申告も……。


シネコン!

2015-01-21 20:49:47 | 映画

 我が街に11スクリーンのシネコンが誘致されるとか。

 

 京王電鉄が発表しています(リリースされた文書のPDF)。

 

 線路と駅が地下化されたことで、駅周辺の様相は激変しつつありますが、肝心の京王の駅ビル等の予定がわかりませんでした。
 が、今回、いちばん西側の区画に地上5階地下1階の商業施設が建てられ、その中にシネコンが誘致されることがわかりました。大歓迎。

 

 シネコンが好きというのではなく、歩いて行けるところに映画館ができるのが嬉しいのです。
 再来年の完成が待ち遠しい。せっせと通いたいものです。


人斬り与太

2014-12-03 20:29:20 | 映画

 亡くなられた菅原文太さんとの出会い(スクリーン上での)は、1972年の深作欣二監督『現代やくざ 人斬り与太』でした。

 

 深作作品との出会いといってもよかったのですが、続編『人斬り与太 狂犬三兄弟』、そして〈仁義なき戦い〉シリーズへとなだれ込んでいった頃は、劇場通いが特別なものだったように思えます。
 私にとっては一連の「深作×菅原」作品が日本映画の最高峰なのかも。

 

 やくざ映画とはいえ、それまでの東映任侠路線とはまるで違っていました。義理人情を謳いあげる様式美とは無縁の、暴力への渇望。モラルや掟を振り払い、狂気の沙汰へ突き進んでゆく男の姿には、激しい戦慄を覚えます。と同時に、すべてを脱ぎ捨てた時、人間には何が残るのか。根源的なヒューマニズムへの問いかけもあったのではないでしょうか。

 

 主演した菅原さんの個性が、そうした作柄にぴったりでした。怖くて、美しくて、もろくて、激しくて、哀しい。

 

 ですから、〈トラック野郎〉は私にとっては余計なものでした(あれもまた菅原さんだったのではあると思いますが)。
 私にとって、菅原文太は深作監督と組んでこその俳優でした。

 

 素晴らしい映画をありがとうございました。あなたの映画を観ることで(そして晩年の言動に触れることで)、私の人間観・人生観は大きく影響されました。ご冥福をお祈りします。


『死ぬまでにしたい10のこと』

2013-10-08 21:06:56 | 映画
 テレビで放映されていたのを録画して観ました。この前観て感銘を受けた『あなたになら言える秘密のこと』のイザベル・コイシェ監督が、同作の前に作ったスペイン・カナダ合作映画。主演も同じくサラ・ポーリー。

 観ていて「女性が凄い!」と、のけぞりました。
 画面に登場する女性陣がどれも見事なのです。主人公アン(サラ・ポーリー)の職場の同僚(アマンダ・プラマー)が凄いし、母親(デボラ・ハリー)が凄いし、美容師(マリア・デ・メディロス)が凄いし、隣に引っ越してくるアン(レオノール・ワトリング)が凄い。皆、生きている迫力を感じさせます。あ、忘れてはいけない、主人公の娘たちベニー&バッツィー(6歳と3歳)も凄い。
 それに比べると男性陣は、夫も、恋人になる測量技師も、父親も、医師も、優しいけれど、どこか頼りない。
 こういう男女の差は、監督の人間観なのでしょうかねぇ。

 演出が見事です。会話に説得力がある。脚本をなぞっているのではなく、言葉を胸の奥からしぼりだす感じ。

 ただ、映画としての魅力は『あなたになら言える……』が数段、上だと思いました。主人公の考え方や行動に対する共感の差かな。

 幸重さんイチ推しのレオノール・ワトリングはチャーミングですね。彼女が主演した『トーク・トゥ・ハー』も観ているはずなのに、はっきり覚えてなかったのは、私が俳優さんをよく見分けられないからか(特に女優さんが苦手)。
 いや、きちんとは観てないのかな。『トーク・トゥ……』も、しっかり観なくては。


『あなたになら言える秘密のこと』

2013-08-05 20:52:34 | 映画
 というタイトルのスペイン映画を観ました。衛星放送でやっていたのを録画してありました。

 何の予備知識もなかったので、最後までどういう展開になるのか気を抜けませんでした。そして、主人公の秘密がわかると愕然としてしまった。

 主人公の女性ハンナ(サラ・ポーリー)は工場で単純作業に携わる孤独な女性。30歳ぐらいか。弁当は鶏肉(フライドチキン?)とライスとリンゴ半個と決めているようで、アパートの冷蔵庫にもそれしか入っていない。
 ある日、上司から「きみは働きすぎで周りから苦情が出ている。南の浜辺へでも行って、椰子の木陰で時間を過ごせばどうか」というようなことを言われ、ハンナは休暇をとり、勧められたのとは裏腹の、陰鬱な北の海辺の町へと向かう。
 その町の食堂に、食事をしながら携帯電話で話をしている男がいた。男は電話の相手に向かって「看護士が必要なんだ」と怒鳴っている。それを聞き、ハンナは電話を終えた男に「私は看護士です」と申し出る。

 ……ということで、北海とおぼしい寂しい海の中にぽつりと建つ石油掘削施設へ行く、というお話。そこで重い火傷のため寝ている中年男ジョゼフ(ティム・ロビンス)との交流が物語の中心になります。果たして、ハンナは火傷の手当てが出来るのか?

 監督もつとめるイサベル・コイシェの脚本が素晴らしい。そして、難しい役柄をこなすサラ・ポーリーとティム・ロビンスも見事。派手な事件が起こるわけでもないのに、奇妙なシチュエーションと登場人物たちの魅力でぐいぐいと引き込んでゆきます。

 タイトルにある「秘密のこと」が問題になりますが、それを書くわけにはゆきません。おそらく多くの事例を取材し、コイシェがひとつの人物像を練り上げたのでしょう。深い衝撃とともに、多くのことを考えさせられました。
 音楽にトム・ウェイツの曲が使われているのもうれしかった。