一昨日(日曜)深夜というか、昨日未明というか、夜中過ぎのフジテレビで放映された「世界SF作家会議〈サンデーMIDNIGHT〉SF作家の想像力 vs パンデミック」を録画で見ました。
出演は、新井素子、冲方丁、小川哲、藤井太洋という日本作家たちに、『三体』の劉慈欣さんが中国からビデオメッセージを届けて参加。司会:いとうせいこう、オブザーバーというか顧問というか物知り助言者という形で大森望さん。森泉岳土さんのマンガも付いていました。
予想していた以上に面白かった。それぞれ作風のちがうSFを書く作家を集めた人選もよく、切羽詰まった感じの昨今のコロナ談義を超えた、広がりのある話になっていたと思います。
見終えたあとで、自分もコロナとSFといったことを考えてみました。
パンデミックに関連したSFについてはあまり話が出ませんでしたが、歴史を振り返れば、ペストで人類が絶滅しかかるメアリー・シェリー『最後のひとり』(1826)が嚆矢か。H・G・ウェルズ『宇宙戦争』(1898)では、地球侵略の火星人たちがバクテリアで全滅。レイ・ブラッドベリ『火星年代記』(1950)では、火星にいる火星人たちが地球人の持ち込んだ水疱瘡で絶滅寸前になります。このあたりは、ヨーロッパ人が南北アメリカ大陸に進出し、ネイティブの人たちを感染症で苦しめた歴史が反映されているのではないでしょうか。
小松左京『復活の日』(1964)はこのジャンルの代表作。マイケル・クライトン『アンドロメダ病原体』(1969)も世界的ヒットですが、つい先日、ダニエル・H・ウイルソンによる続編『アンドロメダ病原体―変異―』(2019)の翻訳も出ています。
梶尾真治さんの短編「清太郎出初式」も『宇宙戦争』の枝編ともいうべき作品なので、この系列に入りますね。
しかし、パンデミックそのものの怖さをもっとも感じさせるのはエボラ出血熱の流行を描いたリチャード・プレストンのノンフィクション『ホットゾーン』(1994)でしょう。あれは怖かった。
今回の新型コロナウイルスは、これまでの病気と違う狡猾さをもっていて怖ろしい。それを逐一、報道で知りつつ、現にパンデミックを目の当たりにしているのが、今のこの世界。
いずれ包括的な書物が書かれるでしょうが、とてつもなく興味深いものになるでしょうね。
アフターコロナでいえば、私がいちばん注目するのはウイルスハンターの存在。
次の脅威がどのようなウイルスになるのか。前もって備えをするためにも、現存するウイルスを調査することが必要になってくるでしょう。そのデータをもとに、あらかじめワクチンの準備まで出来るようになるかもしれない。
そこらへんに関して、スリリングなSFも書けるように思います。
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