金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

コロナで早期退職した人がかってないペースで職場復帰している~アメリカの話だが

2022年03月30日 | 資格・転職・就職
WSJにIt isn't just Tom Brady ーMore people are coming out of retirementという記事がでていた。
 「それはトム・ブレディだけじゃないーより多くの人々が退職から戻ってくる」という意味だ。
 トム・ブレディは、最高のアスリートと言われたアメフト選手で一度リタイアを宣言したがまた現役復帰をするようだ。
 一度辞めた人が復帰するのはトム・ブレディだけではなく、今のアメリカで早期退職者の約3%が再び仕事に復帰していると記事はいう。これは過去最高の割合らしい。
 コロナ感染拡大が始まった時、それを機会に定年年齢前に早期退職する人が増えた。記事によるとその数260万人。定年制度は年齢による労働者の差別という観点からアメリカには法的な定年年齢はないが、公的年金がフルに支給される66歳を持って定年とみなす考え方は定着しているようなので、コロナ期間中に職場を去った人は66歳未満の「早期退職者」といえる。
 早期退職者が多かったのはコロナに加えて、株価上昇で資産価値が上昇していたことも大きい。豊かな老後を送ることができる資産があるということで早期退職をした人も多いようだ。
 だが現実は必ずしも想定していたとおりには行かなかった。株式相場は今年に入って乱高下を繰り返し、資産は必ずしも豊かな老後を保障するとは言えなくなった。退職してみるとやることがなくて退屈という人も多い。
 一方雇用市場では人手不足でスキルのある人の職場復帰には歓迎の声が高い。またリモートワークのような働き方改革で、労使とも選択肢が増えたことも早期退職者の職場復帰のプラス材料になっている。
 日本ではコロナのために早期退職したという人はそれほど多くないと思うが、一度現役を退いた人が再び仕事に戻ることがもっと増えても良いだろう。
それも働き方改革だと思う。
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日本でテレワークの生産性が上がらない一番の理由

2021年03月10日 | 資格・転職・就職
 調査機関や調査時点によりばらつきはあるが、コロナ感染拡大防止策として、東京で約4割、全国ベースで2割~3割の企業がテレワークを導入しているようだ。
 テレワークは世界各国で拡大しているし、生産性を向上させる機会としてコロナ後もテレワークの継続を打ち出している企業も増えている。
 だが日本では多くの企業がテレワークに消極的だ。理由はテレワークで生産性が低下しているかあるいは低下する懸念があるからだ。
 日本でテレワークの生産性が上がらない理由については、IT関係者などが色々理由を分析しているが、一番の理由は「会社が従業員の勤務姿勢に性悪説で臨んでいる」ことにある。
 つまり「従業員は上司が見ていないとサボる」という思いが会社側つまり経営層や人事部門に多いということだ。もちろん例外もあるが。
 上司が見ているといっても業務の内容まで目が届いている訳ではない。目が届くのは勤務態度だ。つまり頻繁に離籍しないとか自分が呼んだらすぐ飛んでくるかとかだ。
 だがこれらの勤務態度は生産性と必ずしもリンクしていない。特にクリエイティブな仕事の場合は無関係と言って良いだろう。
 生産性は生産量で測るものであり、勤務態度=生産プロセスで測るものではない。休まず遅刻せず会社に来ているだけで生産性があがるのであればこんな楽な話はない。いや非常に単純な作業の場合はそのような勤務態度と生産性の間には相関関係はあった。だが仕事が単純作業の繰り返しから創造的なものに変化すると会社に来て、一見真面目に仕事をしているように見えることとアウトプットの間には相関関係はなくなった。
 ではこのような環境下では会社や上司はどうあるべきなのか?
 第一に性善説に立って従業員を信頼することだ。人は任せてみると案外頑張るものだということを真に理解し、細かい指示は出さずに任せることだ。
 そして勤務態度ではなく成果物で人を評価するように評価システムを変えることだ。
 だが評価システムを変えるということは人事制度全般を変えることになるので、ZOOMを導入したりチャットシステムを導入するような簡単なものではない。場合によっては会社というムラ社会を一部壊すようなことが起きるだろう。
 だがそのような破壊的革新に会社は二の足を踏む。だから日本ではテレワークの生産性は上がらないのである。相当長期にわたって。
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業績・株価絶好調のセールス・フォースが1千名のポジションを削減

2020年08月27日 | 資格・転職・就職
今年の第2四半期(5~7月)で過去最高の売上を記録し、更に売上が伸びると予想を発表したセールス・フォース。来週からダウ銘柄に選定される予定の株価は昨日1日で26%も上昇した。
 そのセールス・フォースが、全従業員54千人の約2%に相当する1千名のポジションを削減すると発表した。これは1千名を解雇するという意味ではない。
 非成長分野のポジションを減らして、成長分野の雇用を拡大するという戦略の中で、配置転換を希望する人には60日間の余裕を与えて、社内での新しい職探しのチャンスを与えるという。
 また社内で新しいポジションに着地できなかった人には半年分の給与を支払って離職させる予定だ。会社の報道担当者はWe are helping them find the next step in their careers, whether within our company or a new opportunity(彼等が彼等のキャリアの中で新しいステップを見つけることを会社は支援している。それが当社の中であれ、(社外の)新しい機会であれ)と述べている。
 この言葉は美しい。だが実態はどうだろうか?
米国の企業では、担当職務ベースで雇用契約を結ぶ。たとえば経理部の課長とか、金融機関向けセールスの担当者という具合にだ。だからある業務を縮小する(例えば金融機関向けセールスを縮小)とその部門の担当者が要らなくなる。この場合日本の会社であれば、金融機関向け営業マンを成長分野(たとえばIT企業)向けの営業マンに配置転換するといったことが可能だが、米国ではそうは簡単にはいかない。成長分野では優秀な人材を社外からも探すので、社内で新しいポジションを見つけるのは容易でないことも多いだろう。

 コロナウイルスを追い風にして業績を伸ばしたが、そこで働く従業員は楽ではなさそうだ。
 WSJは同社のベニオフ社長の次の言葉を伝えている。

Mr. Benioff, on the analysts call, said the pandemic has been a trying time for his company’s employees, with a third suffering mental-health challenges.
  ざっと訳すると、「ベニオフ社長はアナリストとの電話で、コロナウイルスの感染爆発は当社の従業員にとって試練の時で、社員の1/3はメンタル・ヘルス上の困難を抱えていると言った」ということだ。
 Mental-health challengesという言葉がどれほど深刻な状況を指すのかは記事からは不明だが、社員の1/3が程度の問題こそあれ精神的な負担を感じているというのは、異常という気がしないでもない。業績の良い会社は良い会社なりの問題がある、ということか・・・
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テレワークの一つの壁はヒューマンスキルの壁

2020年08月03日 | 資格・転職・就職

コロナウイルス感染拡大に伴い、政府は再びテレワークで働く社員の割合を7割まで高めるよう経済界や各企業に要請する予定だ。

だが一部の大企業やIT関連企業を除いて、テレワークはそれほど進んでいない。

テレワークが進まない理由として「現業や対人折衝が多くテレワーク馴染まない」「IT投資に関する人材・資金不足」などをあげる評論家の意見が目立つ。

だがもう一つテレワーク導入は阻む壁があると私は考えている。

その壁は「管理者の壁」だ。より正確には管理技術の壁であり、日本の会社が管理者に「ヒューマンスキル教育」を行ってこなかったツケが回ってきたとも言うことができる。

WSJにHow the Pandemic Can Turn Bad Bosses into Good Ones(コロナ感染症はどのように悪い管理者を良い管理者に変えるか」という記事がでていた。

簡単にいうと「これまで管理者は自分のやり方を部下に押し付けてきたが、テレワークになるとそれができなくなり、管理者は部下の成果に焦点をおくようになる」「それは管理者の本来の役割~部下がベストを発揮できる環境を整える~に回帰する」ことで「必要なものは何だ。私はどんな手助けをすれば良いのか?」と「質問し部下の声を聴く」ことだと記事は述べている。

これらのことはヒューマンスキルの中の「コミュニケーション」「ヒヤリング(傾聴力)」「コーチング」に該当する。

ところが日本の多くの会社ではヒューマンスキル(人間力)というと「リーダーシップ(指導力)」「ネゴシエーション(交渉力)」を重視し、部下の話を真剣に聞く「ヒヤリング」は軽視されてきたのではないか?と私は考えている。

ヒューマンスキルのテキストは、ヒューマンスキルの7要素をあげている。

「ネゴシエーション(交渉力)」「リーダーシップ(指導力)」「コミュニケーション(個として部下に向かい合う)」「プレゼンテーション(説明力)」「ヒヤリング(傾聴力)」「コーチング(自発的な力の引き出し)」「ファシリテーション(合意形成)」だ。

テレワークを推進するには「プロセスは部下に任せて上司は成果にフォーカスする」成果主義に切り替える必要がある。

誤解してはいけないのは、成果にフォーカスするということは鞭を入れるということではなく、部下が成果を上げることができるように環境を整えることであり、必要なアドバイスを行うことも当然重要な上司の仕事だ。

命令で部下を動かすのではなく、部下の向上心を引き出すことで成果を高めることが大事なのだ。

そのためにはヒューマンスキルが必要で、それなくしてはテレワークの促進は難しいと私は考えている。

 

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コンサルとして後半年働くことにしました

2020年06月26日 | 資格・転職・就職

そろそろ仕事をやめて、自由な時間を増やそうと考えていましたが、顧問先の依頼により今年一杯コンサルを続けることにしました。コロナウイルス騒動が片付かず、海外トレッキングに出かけることができない時期ですから、当方の都合にもかなっています。

顧問先のDX(デジタルトランスフォーメーション)は大分進んできましたが、テレワークを促進するためには、更に情報共有基盤を拡張する必要があります。コロナに第2・第3の波があると想定すれば、もう少し基盤整備が必要です。

情報共有基盤はテレワークの必要条件の一つではありますが、必要なものはそれだけではありません。社員の仕事振りをインプット(勤務時間量)で測定するのではなく、アウトプット(成果)で測定する成果主義に変えていく必要があります。

また単発的に成果を上げることを評価するより、継続的に成果を上げる仕組み(業務のシステム化やサブスクリプション型のサービス提供など)を作った社員をより高く評価するような仕組み作りも必要です。

この辺りのコンサルが最後の仕事になると思います。

さてコンサル業について池井戸潤の「オレたちバブル入行組」に次のような文章があります。

「銀行退職者で独立するとなると、たいてい旗揚げするのがコンサルタント業なのだが、成功するのは難しい」

「少なくとも、元銀行員の経歴を生かして独立するのであれば、本や雑誌に寄稿し掲載されるほど『書ける』か、何度かはある講演の機会を逃がさずリピーターが来るほど『話せる』かどちらか、あるいはその両方のスキルがなければならない」

「だが、そんな能力のある銀行員はそうそういるはずもなく、俄コンサルタントは、看板倒れに終わるのがオチだ。そもそも、それぐらい能力のある人間なら、銀行にいても成功している」

★   ★   ★

コンサルティングという仕事はヒューマンスキルの塊のような仕事です。「書くこと」「話すこと」をヒューマンスキルの分かりやい指標とすれば、池井戸さんの意見は至当です。

コンサル先やその業界の実情を把握し、問題点を見つだす。

見つけ出した問題を解決する上中下(松竹梅)の解決プランを提案し、コンサル先が自発的に解決策を見出すようにアドバイスする。

解決プラン実行のためのマイルストーンを作り、社内外からプロジェクト推進メンバーを集めてプロジェクトにとりかかる・・・・・

やりがいのある仕事だったと思います。まだ最終コーナーを走っているところなので現在進行形で書くべきですが。

 

 

 

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