金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

相続学講座(7)法務省W、配偶者の居住権を提案

2015年01月30日 | パーソナルファイナンス

昨日(1月29日)法務省・相続法制検討ワーキングチームは「相続時における配偶者の居住権の新設」などの提案を盛り込んだ報告書案(議事概要)を公表した。

昨年法務省がワーキングチームを立ち上げた直接の背景は、一昨年に「婚外子への遺産相続格差をなくす」民法改正により、配偶者の法定相続分が減り、配偶者が自宅に住めなくなる可能性があるという懸念の声が上がったことだ。

これに加えて報告書案では「寄与分の見直し」なども提案されている。現行法上「寄与分が認められる」のは、「被相続人の財産の維持または増加」について「特別の寄与」があった場合で、通常療養看護で寄与分が認められるのは相当難しいと言われている。

報告書案では、療養看護についても貢献させる案も提示した。一方でこのような寄与分の改正を行った場合、療養看護の度合いの算定を巡り相続争いが一層複雑化する可能性があるとも指摘している。

マスコミによると「川上法相は2月の法制審議会総会で、民法改正に向けた検討を諮問する見通し」だそうだが、果たして民法の大改正が行われるかどうかは私には分らない。仮に民法が改正されて「療養介護寄与」などが認められたとしても、それが相続争いを減らすのかあるいは相続争いを更に複雑化させるのかも分らない。

そもそも生存配偶者に自宅居住権を含めた十分な生活基盤を残すことや療養看護に貢献してくれた人に遺産配分で上乗せを図るには、やはりしっかりした遺言書に頼るべきであろう。そして更にはしっかりしたライフプランの中で相続を位置付けていくことが肝心なのだろう。法律は生存配偶者保護などのボトムラインを引き上げる可能性はあるが、争いの火種を消してくれる訳ではないのだ。

 

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【イディオム】Transitory effects 原油安は一時的効果

2015年01月29日 | 英語・経済

Transitory effectsは「一時的な効果」という意味である。昨日(1月28日)の米国株は、アップルやボーイングの好決算に反応して、上昇して始まったが、引けにかけてFOMCの声明に失望して大幅に下落した。ダウは195.84ポイント(1.13%)、S&Pは27.39ポイント(1.35%)の下落だった。

USA TodayはIts(連銀)expects unusually low inflation to gradually pick up as the "transitory effects" of tumbling oil prices fade.と述べていた。

「連銀は原油価格の低下という一時的な効果は消滅し、異常に低いインフレは次第に加速すると予想する」という意味だ。連銀は米国経済は堅調で将来のインフレ懸念から今年中に政策金利を引き上げるというスタンスを堅持した。これは「インフレの鈍化から連銀は金利引き上げ時期を先送りするのではないか?」という一部の投資家の予想と反したため、株が売られた。

原油価格の低下は色々な影響を実体経済と市場経済に及ぼす。車に依存する割合の高い米国の消費者にとって、ガソリン価格の低下は大きな恩恵で、裁量的消費が拡大する可能性が高く、私は中期的には株高要因だと考えている。だが連銀は原油価格の低迷はそれほど持続しないと判断しているようだ。

いずれにせよ、昨日の株価急落には少しoverreactionの面がありそうだ。米国株価の見通しは、世界的な景気低迷に対し、米国企業がどこまで耐えられるか?ということの方が大きなテーマだと私は考えている。

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Life Planning Holder構想(4)加給年金のチェック

2015年01月28日 | パーソナルファイナンス

前にも述べたが、私のLife Planning Holder構想は、生活上発生する色々なイベントに対応して、情報を蓄積・整備することを前提にしている。私は今年の5月で65歳になるが、65歳という節目は厚生年金を受給する者にとっては一つの節目である。というのは老齢基礎年金(満額で772,800円)が支給されるからだ。これに加えて加給年金も受け取ることができる。加給年金というのは、簡単にいうと厚生年金の扶養者手当のようなものだ。

ごく簡単に説明すると、厚生年金の受給者が厚生年金の定額部分の支給開始年齢(今は65歳)に到達した時、65歳未満の配偶者がいる場合、配偶者が65歳になるまで支給される年金のことで、支給される金額は年額386,400円(受給者が昭和18年4月2日以降に生まれている場合)である。

先日「どのような手続きが必要なのか?」年金コールセンターに電話で照会してみた。年金コールセンターに電話をする場合は、基礎年金番号を告げた上、オペレーターに指示に従い、本人確認を行う。年金は受給者の状況によって手続きが違うので、一般論では語ることができないからだ。私の場合は手続きは簡単で誕生月の初め頃、日本年金機構からハガキ(手紙?)が送られてくるので、それに必要事項を記入して、返送すれば良いということであった。

なお日本年金機構のホームページを見ると、「特別支給の老齢厚生年金の支給開始時期に加算年金額の対象になる人が確認されていなかった場合等は届出が必要」とあるので、心当たりのある人は年金コールセンターに確認しておく方が良いだろう。

ところで年金コールセンターのオペレーターの女性が的確に対応してくれたので、ついでにもう二つ質問してみた。一つは「遺族年金」の件。つまり私が妻より先に死んだ場合、妻はどれ位の遺族年金を受け取ることができるのか?という問題だ。これは簡単に言うと「私が受給している年金額の3/4+妻の老齢基礎年金」合計額となる。

もう一つは私は米国に勤務していたことがあるので、米国の年金を受け取る権利がある(可能性がある)。こちらの手続きについては、受給資格が66歳誕生日に発生するので、その3か月前から「年金事務所」で手続を開始することができる(このことは大体知っていたので、再確認)ということだった。

ところで年金に関する規約・規定を一読して理解するのはかなり難しい、と思う。これはお役人が自分の仕事を確保するために敢て規定を複雑にしている面があるかもしれないが、制度が継ぎ足し、継ぎ足しで変更されてきたことによる面が大きいのだろう。

規約を見てあれこれ解釈するより、年金コールセンターで受給額や手続を確認する方が簡単であり、間違いがないと思う。

なお国の制度と同期を取ってきた企業の厚生年金基金(現在は代行返上して企業年金基金になっているところが多い)の規約も複雑で、読みこなすのは大変である。「こんな場合に幾らもらえるのか?」という類の話は、それぞれの事務局に聞いた方が早い。

さてこのような年金の受給(予想)額をおさえておくことは、ライフプランニングの基本になる。また重要な予定(請求手続き等)は、少し先のものでも、グーグルカレンダーに書き込んでおこう。グーグルカレンダーも私のLife Plannig Holderの重要なパーツである。

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【イディオム】ill effectsドル高・原油安が米大企業の重荷

2015年01月28日 | 英語・経済

昨日(1月27日)米国市場ではダウが一時400ポイント下落し、最終的には291.49ポイント安(1.65%下落)でひけた。S&P500の下落幅が1.34%だったから、ダウを構成する米国の巨大企業が激しく売りたたかれた訳だ。

大幅に下落したのは、マイクロソフト(9%)、キャタピラー(7%)、インテル(4.9%)、プロクターアンドギャンブル(3.8%)など世界的な優良企業だった。これらの企業が今年度の業績見通しを下方修正したことによる。米国の多国籍企業が業績見通しを下げた理由は「世界的な景気の減速」「ドル高」「原油安による設備投資減」などが主な要因だ。

たとえばキャタピラーの場合、原油安でシェールガスの開発業者がプロジェクトを中断すると建設機械の売上が減少し業績が悪化する。マイクロソフトの場合は、PCメーカーからクラウドコンピュータなどのサービス企業への移行期にあるが、世界的な景気鈍化の影響を受けて、移行速度が鈍化するのではないか?という懸念が株価を急落させた。

ドル高・原油安は、米国の消費者にとって可処分所得が増えるのでハッピーであり、やがて消費を増やすので景気の拡大と株高につながるという見方が一般的だ。しかしその前にドル高・原油安のill effects悪影響が先行したのが昨日の米国株市場だった。

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後で気がついたFoxit PhantomPDF日本語版

2015年01月26日 | デジタル・インターネット

最近PDFソフトをadobeからFoxitに替えた。理由はエバーノート上のPDFを読むために、無料のFoxit readerをダウンロードして使ってみたところ非常に軽快だったからだ。

そこでPDFを編集する機能がある有料版もFoxitに替えることにした。今まで使っていたadobeの有料版(月額使用料を払う契約)ExportPDFを解約して、Foxit PhantomPDFを89ドルで購入して使うことにした。操作が直観的で使い勝手は良い。ただしこれは英語版だ。

ところが少したって調べてみると、日本語版があることに気がついた。英語版でも日本語版でも使い勝手に差はそれ程ないと思うが、面白くないのは、円安で英語版が割高になっていることだ。日本語版は8,900円なので1ドル=100円がブレークイーブン為替レートだが、118円だと英語版は10,500円になる。日本語版の価格は税抜なので、消費税を加えても9,612円だから日本語版の方が安い。

エバーノートのサイトからダウンロードしたのが、英語版の無料のFoxitだったから、その上位の有料版も英語版になってしまったようだ。

済んでしまったことをぼやいても始まらないので、前向きな話をすると、PDFソフトとしてFoxitはadobeより軽快に動くので私は上だろうと感じている。まずは日本語版の無料のPDFリーダーをお試しあれ。そして自分で作成したり、取り込んだりしたPDFを自由に編集したいと思ったら、日本語版のPhantomPDFを試してみられたら、恐らく日本語版のPDF編集ソフトを手に入れることができると思う。

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