金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

超金融緩和の終わりが見えてきた

2006年02月27日 | 金融

今週金曜日(3月3日)に総務省が1月の全国消費者物価指数を発表する。これは日銀の量的金融緩和政策解除の重要な判断材料になる。日銀の金融政策変更の影響を思惑して今週は株式・外為市場等不安定な動きをするだろうが、こういう時は少し落ち着いて少し先の動きなど考えてみたいものだ。

まず足元の日本の景気だがこれは良い。まず昨年のGDP成長率だがエコノミスト誌によるとエコノミスト達は2.8%と予想している。(なお政府統計は信頼できないとのことだ)これはG7諸国の中で米国についてで2番目であり、昨年10-12月に関しては日本の成長率が米国を上回っている。また昨年の最終四半期の固定資本財投資は年率換算7.2%である。また最終四半期の個人消費は年率換算3.2%の伸びを示している。

また個人住宅需要も東京のみならず、大阪・名古屋でもピック・アップしつつある。デフレ脱却が始まりつつあるので、日銀は早ければこの3月にも超緩和政策に終止符を打つのではないかという観測が内外の金融市場に広がりつつある。

ところでその影響はどのようなものだろうか?ウオール・ストリート・ジャーナル紙は最近の記事の中で次のように述べる。

  • リーマン・ブラザース・ニューヨークの世界全体の固定利付債チーフストラテジスト・マルベィ氏は「世界第2の経済大国日本の超緩和政策の解除は向う3,4年の間最大の話題になるだろう」と述べる。
  • もし日本の金利が上昇すれば、海外に投資されている日本からの資金は日本に戻される可能性がある。また既に日本株に投資している外人投資家はより広い日本の資産クラスに投資を始める可能性がある。
  • 前述のマルベィ氏は日本の金利上昇は「日本の個人投資家が米国資産から離れるので、米国の金利が上昇しドルが下落する可能性がある」「その結果日本で個人消費が伸び、経常収支の黒字幅が減り、世界の経済成長を高める」と言う。
  • しかしバンク・クレジット・リサーチ社のストラテジストは日銀の政策変化による影響については多くの不確実なことがあると言う。例えばキャリートレード(金利の低い円を借りて金利の高い他の通貨の資産に投資する取引)をどれ位投資家が利用しているか?ということについても誰も良く分からないのである。
  • また日銀が量的緩和政策を完全に廃止するのにどれ位の時間をかけるのか?あるいは何時日銀が金利をあげるのか?金融引締サイクルは短いものなのか長く続くのか?といったことはまだ明らかではない。前述のストラテジストは「もっとも起こりそうなことは相対的に円滑なプロセス」だと言う。
  • ワシントンベースの日本人アナリスト斉藤氏は「日本政府は巨額の債務を抱えているので短期金利を1%以上に上げるような引締政策については力のある財務省の激しい反対を招くだろう」と言う。

私が日銀に近い筋の金融機関の人から2週間程前に聞いたところでは、当座預金の残高目標をまず現在の35兆円から10兆円-15兆円少ない20兆円-25兆円に持って行きたい意向であるという。短期金利の当面のターゲットは0.1%で、このレベルはゼロ金利の範囲に入るというものだ。

ところでこのことの日本の金融業界に与える影響はどのようなものだろうか?実は20兆円という金額は日本国内のコマーシャル・ペーパーの発行量にほぼ等しい金額である。つまり金融緩和期は都銀を中心とする金融機関が「余資」を使って事業会社やその他金融機関が発行するコマーシャルペーパーを購入していた。この資金がはげるということで市場ではコマーシャル・ペーパーの発行コストが上昇している。しかし落ち着いて考えてみると、決済等のため本当に必要な日銀当座残高は6兆円程度と言われているので20兆円程度の資金が日銀当座預金にあるとすればそれはまだまだ超緩和なのである。

0.1%という金利いや1%という金利にしても世界の中では極めて低い金利である。「キャリートレード」に十分使える金利である。

将来、今年の春先のことを思い出す時があれば「神経質になったけれど大したことはなかった」ということで終わるかもしれない・・・という気がしないでもない。むしろそれが日銀の目標かもしれない・・・

一方株等はムードで動くものである。例えば金利上昇は一般的には銀行にとって売りシグナルなのだろうが、私は今回の場合は買いシグナルだろうと思っている。というのは金利が上昇しても預金には当座や普通預金の様にゼロまたは実質ゼロ金利の預金が相当あるので、銀行のコストはそれ程上昇しない。一方貸出レートはより市場レートに連動するので銀行の利鞘が増えるという予想だ。国内景気が堅調なのも銀行セクターには良い情報だ。ということで銀行セクターはホールドということになるのだろう。もっともこの様な思惑が当たるかどうかは知らないが、金融政策の転換でメリットを受けそうなセクターなどを想像してみるのも頭の体操にはなるだろう。

いずれにしても今回の超金融緩和政策からの転換は極めて漸進的なものだということは間違いのない判断かと思う。それだけにゆで蛙にならない様に気をつける必要はあるかもしれないが。

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国会議員の数、多くないか?

2006年02月26日 | 政治

公務員の削減が話題になっている。今日の読売新聞によれば国交省は達成だが、法務・厚生労働省は反対だとか?民間企業もリストラで苦しんできたのだから、是非国や地方自治体にも頑張ってもらいたいものだ。

ところでリストラの手が及んでいない国家機関が一つある。巷の暴論に聞こえるかもしれないがそれは衆参両院である。つまり国会議員の数が多過ぎるのである。因みに日本の参院議員数は242人で衆院議員数は480人であるが、米国の議員の数はご存知か?何と参院に相当する上院議員の数は100名で、衆院に相当する下院議員の数は435名である。日本の21倍の国土面積を持ち、様々な民族が暮らすあの多民族国家の米国が日本よりはるかに少ない国会議員で国民の意見を集約しているのである。

米国の人口は295百万と日本の人口127百万人の2倍以上の人口を持つが上院議員の数は4割であり下院も1割程少ないのである。政府は日本を米国型の市場資本主義社会に持って行こうとしている様だが、それならば国会議員の数を米国並にスリム化して浮いた人件費等の経費を証券取引委員会等市場監督者の増員費用に回してはどうか?

もっとも英国などの議員数が多いことを持ち出して、日本の国会議員の数を減らさなくても良いと反論される向きもあるかもしれない。しかし何も非効率な国のまねをすることはない。都合の良い場合だけ米交流を持ち出さず、やるなら徹底的に米国流をやって参院議員など半数以下にすればどうか?

もっとも国会議員も自分の生活がかかっているので、このような提案はいくら正論であっても立法化されることはまずありえないだろうが。

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雨の日は雨降りらしく

2006年02月26日 | 

久しぶりの強い雨の日曜日

雨の日曜日は床屋に行くのがいい

余り美味くない無料サービスのコーヒーを飲みながら少し待つのも悪くはない

雨の日曜日はジムで汗を流すのがいい

同じような小太りのおじさんが並んだランニングマシーンの上を独楽鼠のように

走るのも悪くはない

雨の日曜日はちょっといい赤ワインをのむのがいい

チーズをつまみながら娘達と他愛の話をして残り少ない週末を

惜しむのも悪くはない

雨の日はTennessee Waltzなど古いジャズを聴くのがいい

遠い国に暮らす仲の良かった若い友達のことなど考えながら

雨音の混じるトランペットの音色にぼーっとしているのも悪くはない

雨の日曜日も悪いものではない

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奥多摩行~靴を忘れた山男は・・

2006年02月25日 | まち歩き

昨日の夕方から今日天気が良ければ御岳ロープウエイを使って奥多摩の大岳山に登って雪景色を写真に撮ろうと思っていた。昨夜は都内では雨が降っていたが、その雨は奥多摩の山の上では雪になると確信していたからだ。そして今朝、起きてみると天気が良い。そそくさとザックにカメラや軽い防寒具等を詰め準備をする。登山靴は夏用の靴を出して車に積むべく紙袋に入れて玄関に出した・・・。そうして車で出発。ところが御岳のロープウエイ乗り場についてカジュアルシューズから登山靴に履き替えようとすると何と登山靴がないではないか!車に積んだつもりで玄関に忘れてしまったのだ。

歌を忘れたカナリヤではないが、登山靴を忘れた山男は・・・ただの徘徊人。これでは雪の大岳山を登ることはできないので奥多摩湖に写真を撮りに行くことにする。奥多摩湖まで来ると標高5百m辺りの木々に薄っすらと雪が積もり中々美しい。これは湖に北側の順光の杉林の写真である。

Yukisugi1

今度は奥多摩湖の駐車場から湖越しに三頭山につながる稜線の写真を撮ってみる。

Yukisugi2

肉眼で見ると雲が絡む稜線とうっすらと雪を着けた木々の様子が中々綺麗なのだが写真にすることは難しい。逆光なので雲の白い部分と山陰の暗い部分のコントラストが強すぎる様だ。

人間の眼というものの補正能力は素晴らしく、実は見たいと思うように補正をかけているので写真は見たとおり表現できないことがある。

この後麦山の浮き橋と呼ばれるドラム缶の浮き橋の写真を撮りに行こうと思い15分程車を走らすが、何と奥多摩湖の異常渇水で浮き橋は撤去中ということ。とことんついていない。やむなく青梅に戻り塩船観音寺で何枚かの写真を撮って帰った塩船観音寺は関東八十八ヶ所霊場の第七十二番ということだ。写真は山門である。

Sannmon1_1 

このお寺の見所の一つは重要文化財の本堂である(下の写真)

Honndou1 なおこのお寺はつつじで有名だ。つつじはこの本堂の左手奥にある新しいお堂の裏山で咲く様だ。

山門の裏に蝋梅が咲いていた。標準レンズと望遠レンズで2枚写真を撮った。

Roubai2 上の写真には花の中に小さなアブ(またはハエ)が写っている。寒い冬でも活動している虫がいることに少し感動する。

もっとも今日は相当暖かいが。

Roubai3

こんなことをして陽気の良い半日を潰してしまった。登山道具の中で少々の忘れ物はごまかしが効かない訳ではないが靴だけはどうしようもない。兵隊さんが鉄砲を持たずに戦場に出てしまう様なものだ。これからは出発前に指差し確認をして登山靴を忘れない様にしよう。

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荒川静香さん、本当に素晴らしかった

2006年02月25日 | スポーツ

昨日の朝は午前5時過ぎからトリノ・オリンピックの女子フィギュアを観ていた。安藤選手、硬くなり過ぎて直ぐに疲労が溜ってしまいスピードが落ちてしまったのが残念。荒川さんの滑りは落ち着いていた。素人考えながらジャンプする前に少し時間を取り過ぎているという気すらしたが、安定していて見ていて楽しい滑りだった。ところで大きく状態を反らした荒川さんの美しい滑り・・・イナバウア・・・素晴らしい。 Inabowerと綴る様だが語源が分からない・・・bowerに(船の)錨という意味があるので何か関係があるのかしらんと想像しているが全く自信がない。誰か分かる人がいれば教えて欲しいなぁと思います。

大舞台で日本人はよく緊張してしまって力が出せないといわれているが、今回の女子フィギュアに関しては全くその言葉を外国人にお返しすることになってしまった。2位のコーヘンさん、3位のスルツカヤさんとも緊張とプレッシャーの故かミスが目立ったし、滑らかさで荒川さんに劣ってしまった。世界のヒノキ舞台で日本人がトップに立てることを証明した荒川さんの功績は偉大だと思う。

最近マンションの耐震強度をごまかしたとか、ライブドアの様に帳簿を誤魔化して利益を膨らませたとか人間の嫌な面を見せられるニュースが多かった。そんな中で荒川さんの金メダルのニュースは本当に爽やかだ。荒川さん、本当にありがとう。

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