金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

負けるが勝ち?の中国ビジネス

2007年10月31日 | 金融

最近米国の投資銀行ベア・スターンズと中国最大の上場証券会社Citic証券が資本提携をするという話がマスコミに出ていた。資本提携といっても両者の株価の違いが大きいのでCitic側に有利な取引に見える。詳細は後で述べるとしてエコノミスト誌がこのことを評して「中国でビジネスを行う最良の道は中国企業を買収するのではなく、中国企業に買収されることだということをベア・スターンズは示してくれるかもしれない」と結んでいた。

そのベア・スターンズとCiticの資本提携だが、お互いに10億ドル出資し相手企業の株を持ち合う。この結果Citicはベア・スターンズの6%の株を保有することになるが、ベア・スターンズはCiticの株の2%を保有することになるに過ぎない。現在Citicの株価は簿価の5倍になっているが、ベア・スターンズの株価は簿価の1.2倍に過ぎない。

時価総額はCiticが457億ドルざっと5兆25百億円で、ベア・スターンズは131億ドルざっと1兆5千億円だ。因みに野村ホールディングの時価総額が3兆98百億円だからCitic証券の時価総額の大きさは大変なものだ。

ベア・スターンズとCitic証券の取引について、米国の中には投資銀行に全体主義国家の資本が入ることに不安を感じる人もいるが、エコノミスト誌など欧米の専門誌(紙)は、この取引は双方にメリットがあると概ね好意的だ。Citicにすればサブプライムローン問題で株価が低迷している米国の投資銀行の株を安く買うことが出来る。Citicは海外で起債を考えている中国企業に対してベア・スターンズのチャネルを使うことができる。ベア・スターンズにとってはCiticのチャネルを使って富裕層取引など中国市場に入り込むことができる。

ところでこのブログを書く前にテレビで「鑑定団」を見ていたら、中国製の天目茶碗という茶碗を鑑定依頼している人がいたが、結果は真っ赤なニセモノだった。昔から中国人はニセモノ作りが上手だ。私は中国人にだまされたことはないので、中国人を悪くいうつもりはないが、エコノミスト誌はこういっている。

Chinese firms are highly skilled at outmanoeuvring foreign partners.中国企業は外人パートナーに策略で勝つことにおいて高い技術を持っている。

中国人を出し抜くことが困難だとすると、中国ビジネスはベア・スターンズ型のレシプロ方式の方がメリットが大きいかもしれない。もっとも「負けるが勝ち」の中国ビジネスという表題を掲げるのは早すぎるかもしれない。ベア・スターンズの中国ビジネスでの成果を見たからの方が良いだろう。

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世渡り下手の独り言

2007年10月30日 | うんちく・小ネタ

先日元の会社の先輩と酒を飲んでいる時どういうきっかけだか忘れたが「世渡り下手」ということが話題になった。その人によると私は「仕事は出来るが世渡りは下手だ」。もっともこのような場合前段のほめ言葉は後段の批判を薄めるためのものだから、相当割り引いて聞いておく必要がある。

しかし実のところ私は「世渡り下手」という評価が嫌いでない。柳生新陰流を開いた柳生石舟斎にこのような歌がある。

兵法のかぢをとりても世の海を わたりかねたる石の舟かな

石舟斎柳生宗厳(むねよし)、剣法の奥義を極めた人だが世渡りは上手くはなかった。柳生の小領主だったが、松永久秀の属将となるが、秀久の死後は筒井順慶との戦いに敗れ柳生に隠棲する。柳生家が陽の目を見るのは石舟斎の五男宗矩が家康の近習に取り立てられてからのことだ。

「兵法(剣法)の奥義を極めた石舟斎にとって権謀術数を駆使せねば成功者となりえない浮世のありさまは、憂苦に満ちた眺めであっただろう」と津本 陽は「老いは生のさなかにあり」の中で述べている。

天は一人の人間にそれ程沢山の才能は与えないということなのだろう。

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Nova、消える新星

2007年10月30日 | うんちく・小ネタ

語学学校のNovaが会社更生法を申請した。この話は外国人にも関心が高いので、FTも記事を書いている。FTによると約4千人の外国人語学講師の給料が支払われなくなる。講師の中にはNovaが借上げ社宅の家賃を支払わないため、立ち退きを迫られるものも出ているということだ。FTによると昨年約75万人が夜間や週末の語学レッスンのために学費を支払い、その3分の2Novaが支払先だった。同紙は語学学校は日本の評判の悪い学校の語学教育を補完するものだと述べている。日本人の英語能力はEducation Testing Service USという調査機関によると世界147カ国中138番目だということだ。

さてNovaという言葉の意味だが日本語では「新星」だ。念のためインターネット上の英語辞典でその意味を確かめると次の記述があった。A star that suddenly becomes thousands of times brighter and then gradually fades to its original intensity. つまり新星というのは新しく生まれる星ではなく、恒星の表面がガス爆発で突然数千倍の明るさで輝きだし、やがてもとの明るさに戻る星なのである。Novaを命名した猿橋元社長はそこまで確認してNovaの名前を付けたのだろうか?

もっとも現実のNovaは元の明るさに戻ることはできず、しばしの輝きを放った後爆発してしまったが。

ところでどうして日本人はかくも英語能力が低いのだろうか?その理由を「動機」と「教育プロセス」から考えてみよう。「動機」からいうと日本でそこそこの仕事をしていく上で優れた英語力は必要がない。また多少英語ができたところで、高い給料を貰えることもない。(しかし国際的な大きな仕事をしたいと思うと英語力は当然必要なのだが)つまり「動機」面からいうと「日本の中でそこそこの仕事ができれば良い」という内向き思考のため英語の勉強に力が入らないのである。そしてこのことは中長期的には確実に日本の国際競争力を劣化させていく。

「教育プロセス」からすると学校の英語教育が文学教育と受験教育に片寄り過ぎている。英語で大切なことは「相手の話をきちんと聞き理解すること」と多少発音が悪くても「自分の伝えたいことを伝えること」なのである。このような勉強を行うのに私はNovaなど語学学校に高い授業料を払わなくても良い、ラジオやテレビでヒヤリング力をつけ、英字新聞で読解力を付けるとかなり良いと私は考えている。そして義務教育レベルで徹底的に外国人教師を導入するべきだろう。Novaで失業した外国人講師を救済するためではないが、この際まじめに考えてよい課題だろう。もしNova問題が日本の英語教育の問題に一石を投じるのであれば、消えた新星にも多少の意味はある。

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サブプライム問題は終らず

2007年10月30日 | 金融

サブプライムローンの話がマスコミで大きく取り上げられた日は私のブログのアクセスが増える。私が今年の春サブプライムローンのことを取り上げた「ハゲタカ舞うサブプライム市場」がヤフーのサイトに紹介されているからだ。最近ではメリルリンチが84億ドルという大きな損失を計上した時もアクセスが増えた。アクセスが増えることはブロガーとしてはうれしいが、サブプライム問題が片付かないことは経済人としては気持ちが落ち着かない。早く解決してほしいものである。足許の株価は堅調だがこれは米国のFFレート引き下げの思惑で相場が上向いているに過ぎないだろう。

現実には悪いニュースがまたぞろ出てきそうだ。エコノミスト誌によるとアナリスト達は第四四半期にメリルは再度40億ドルかそれ以上の償却を強いられるということだ。またモルガンスタンレーやベアスターンズも償却を強いられそうだ。というのは彼らの第三四半期決算は9月分を含んでいないからだ(9月は特に厳しい月だったが) 

追加償却が発生する理由は格付機関が高い格付のCDOを格下しているからだ。格付が下がるとサブプライム債券の投資に使われるABX指数が低下する。あるAAA格の債券は額面の80%強まで低下した。また質の低い債券は20%以下の値段で見捨てられている。

またモノライン(単一)保険会社と呼ばれている事業債と仕組債の保証を行う会社の格付がダウングレードされるという懸念が広がっている。

監査法人は銀行に保有債券を保守的に市場価値で評価することを強く求めている。債券の価格が不確実である限り、信頼性は崩れやすいだろう。信頼が回復するには1年以上かかる可能性がある。

株価を支える材料は米国の金利引下げと発展途上国の経済成長だ。これらがサブプライムの重みに耐えうるかどうか・・・・見極めが難しい時だ。

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秋の雁ケ腹摺山

2007年10月28日 | 

10月最後の日曜日28日に元の会社の先輩達と中央線大月駅に近い雁ケ腹摺山に出かけた。大月駅に近いと断ったのはこの付近に3つ程雁ケ腹摺山があるからだ。さて大月駅を9時50分位にタクシーで出発して10時30分過ぎに大峠到着標高1560m。10台以上のマイカーが留まっていた。ここから雁ケ腹摺山(1874m)を目指して登山開始。40分程登ると富士山が見える。新雪を冠って美しいが、逆光で良い写真にはしにくい。

Fuji1

暫く登るとススキの原っぱがある。ここは雁ケ腹摺山まで4,5分のところだ。

Ganngaharasuri1

11時半頃雁ケ腹摺山頂上到着。大勢に人がいる。大峠からの往復は子供連れでも楽しめるハイキングコースだ。金山鉱泉を目指す我々は小休止で頂上を辞した。白樺平への道は急な降りだ。白樺平の手前の雨量測量所で遅い昼食を取り、金山峠を目指す。金山峠には午後2時に到着。

Kanayamahuji

陽がかげり富士山に少し陰影が出たので、望遠レンズで一枚富士山を撮った。金山峠はこのコースで富士を最後に見る場所だ。ここは携帯電話が入るので大月タクシーに電話をして50分後に金山鉱泉に迎えに来てくれる様に頼んだ。後で気が付いたことだが、金山鉱泉付近は携帯電話が入り難い様だ。金山峠でタクシーを手配するのは手かもしれない。ここから金山鉱泉までは沢沿いの道を下る。降りだしが結構急だが、道が沢を縫うように下りだすと傾斜も穏やかになり、風情が出てくる。金山温泉には予定通り50分で降り、2時50分にタクシーの乗った。20分ほどで大月に到着して、駅の近くの銭湯で一風呂浴びた。

紅葉の写真を二枚載せておこう。この山の紅葉は今が七分の見所だ。今は黄色い色が目立つがもう少しすると楓が赤く色付くだろう。

Sora

Kiiroisora

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