金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

愛の賛歌を観た

2007年09月30日 | 映画

9月の月末は日曜日、終日雨で気温が低い。クールビズが終わり明日から又ネクタイを締めて会社に行くが、季節の移り変わりは上手く出来ている。しかし雨で一日ゴロゴロしていても仕方がないので、ワイフと大泉のTジョイへ映画を観に行く。作品はエデット・ピアフの生涯を描いた「愛の賛歌」だ。2時間半の映画はピアフの生涯をほぼ余すところなく描いている~といってピアフの人生については付け刃で調べたのだけれど~

歌手としての成功と栄光、妻子あるボクシングのチャンピオン、マルセル・セルダンとの恋、そのマルセルの飛行機事故による突然の士。その後のモルヒネ中毒・・・・ピアフの一生は短く激しい。47歳で死を迎えるピアフは猫背になりヨボヨボだ。少なくとも60歳を越えている様に見えた。酒、モルヒネで元々弱いピアフの体はぼろぼろだったのだろう。主演マリオン・コティヤールは弱り切ったピアフを好演している。

この映画のテーマは何か?私はピアフが最後に歌った「水に流して」の歌詞の中に答があると思った。

いいえ 私は何も後悔していない 私は代償を払った 清算した 忘れた 過去なんてどうでもいい

「愛の賛歌」でピアフは歌う。

あなたが死んでも あなたが遠くに行っても あなたが愛せてくれさえすれば平気 だって私も死ぬのだから

最近は結婚披露宴に出席することもほとんどなくなったが、若い時出席した披露宴ではこの曲がよく流れた。しかしピアフの愛の背景を考えるとそれがふさわしい選曲なのか疑問を感じた。

私は不倫の愛が悪いとか良いとか言うわけではない。ピアフの愛はそのような善悪の彼岸を行っている。「そう生きるしかない」「そう愛するしかない」というぎりぎりを生きたからピアフの歌と人生は心を動かすものがある。しかしそれは一般の人々には強過ぎる飲み物かもしれないのである。

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中国と日本、どちらが資本主義?

2007年09月30日 | 金融

今日(9月30日)の日経新聞朝刊に世界の主要株式市場の1-9月の株価指数の当落率の比較が出ていた。これによると一番は中国で104.5%、韓国、香港と続き米国は11.4%で11番目、日本は19番目でマイナス3.3%だ。上位は新興国ばかりである。

中国では昨年10月に2001年5月以降初めて個人預金が減少に転じた。個人が預金を引き下ろして、株式投資に向かっている。もし資本主義の度合いを「個人の株式投資に対する情熱」ということで測るなら、中国は日本より資本主義的な国だろう。

日本では明日から郵政公社の民営化が始まる。ゆうちょ銀行が預かる預金額は個人の預金総額の4分の1、かんぽ生命の生命保険に占めるシェアは4割だ。この巨大資金がどこに向かって動き出すのだろうか?

ゆうちょ銀行とかんぽ生命は2009年までに東証に上場する予定だ。日興シティによるとゆうちょ銀行だけで時価総額が4兆円から10兆円と推定される。

郵政公社民営化が実質的にどれ程進むか?が日本の資本主義の成熟度合いを測る尺度になるかもしれない。株式市場活性化の観点のみならず、民間銀行との公平な競争確保を目指して、税と内部統制をイコールフィッティングにして欲しいものである。

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中国は美醜ともに大きい

2007年09月29日 | うんちく・小ネタ

今日9月29日土曜日ジムで自転車を漕いで汗を流した。昨日は期末の打ち上げですっかり深酒をしたので、何とか早くアルコールを抜こうとがんばる。マシーンの前にはテレビがあり、スイッチを入れると関口 知宏氏の中国列車の旅をやっていた。この番組は日曜日の正午からやっているはずだが・・・と思いながらしばらく見ていた。中途からだったので場所ははっきりしないが、農村で菜種油を取り、その油でジャガイモを揚げて関口さんがご馳走になっていた。このような中国を見ると、のどかで美しい国である。

帰宅してからエコノミスト誌で中国の公害の記事を読んだ。話はDaqing(大慶)の近くのHongweiというところで水俣病のような公害が発生しているということだ。この大慶というのは、1959年に発見され中国最大の油田で中国東北部の工業を支えた。大躍進時代には農業は大塞に学べ、工業は大慶に学べ」といわれた大慶である。

人口3,400人のHongweiという村で少なくとも10人の子供が先天的な脳性まひで生まれてきた。エコノミスト誌は「外国人専門家はこの症状は水俣病に似ていて、水源が水銀汚染されていると考えている」と述べている。しかし病気と工場を結びつけるという法的な努力は成功しなかった。地方政府はHongweiの公害の深刻さを認め、工場移転を求めているが成果は出ていない様だ。

この記事を読んで驚いたことの一つは水俣病Minamata Syndromeが何の説明もなく、記事で使われていることだ。世界の人々は水俣病を鮮明に覚えているのだ。

中国、この国は総てにおいてスケールが大きい。美しいものは我々の想像を超えて美しい。残念なことに公害についてもスケールが大きそうだ。誠に困ったことであるが。

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秋の夜長はなぞり書き

2007年09月27日 | うんちく・小ネタ

早く帰った秋の夜は「俳句百選」をえんぴつでなぞり書きをして時間を潰す。効用は幾つかある。まずお酒を少し控えるので体に良い。次に日頃パソコンばかり叩いているので、どんどん字が下手になるがこれを少しでも直すことができる。最後に著名な俳人の句を味わうことができる。

歩きつづける彼岸花咲きつづける 種田山頭火

Manjyushage

われにつきゐしサタン離れぬ曼珠沙華 杉田久女

自分の中に棲む悪魔がはなれないという句だ。何かストーリーがありそうだが杉田久女という人のことは知らないので良く分からない。

良く分からないといえば詠み人の名前を忘れたが、こんな短歌があった。

風を受けきりきり舞いの曼珠沙華 抱きたさは時に合いたさを越ゆ

この短歌の裏にあるストーリーも知らない。しかし暗い木立の中で情念のように咲くこの花には何かストーリーを呼び起こす力があるようだ。もっとも受け手にその感性がる場合だが。私は精々曼珠沙華の写真を撮り、先人の俳句をなぞる程度である・・・・と虫の音を聞く夜である。

ススキの句もあった。

すすきのひかりさえぎるものなし 種田山頭火

Susuki

写真は昨年の秋丹沢の大山から新宿方面を見たところだ。まさにさえぎるものなしである。それにしても山頭火の俳句は「ふっ」と口から出たままのようだ。それが句になっている。私には上手いか下手か判定する技量はないがもし今度晩秋の山道でススキを見たときこの句がふっと出るならそれは「良い句」だと思いたいと考えている。

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サブプライムの問題はこれから来る

2007年09月26日 | 金融

サブプライムローンの問題については楽観論と悲観論があるだろう。私は問題の根は深いのではないか?と悲観論寄りの見方をしている。FTにこの見方をサポートする記事があったので紹介しよう。

  • 米国のサブプライム・モーゲージ市場で損失が拡大し始めている。これは住宅価格が下落しているので、借入人が有利な条件でサブプライム・ローンを借り替えることが出来なくなっているからだ。
  • ケース・シラー指数によると米国のトップ20の都市で住宅価格は7月に前年比3.9%下落した。これは過去10年間で最悪である。また政府統計によると、8月の住宅販売は4.3%下落したが、これはここ5年間で最低のレベルである。アナリストは住宅価格の下落を予想し、下落が2005年と06年にサブプライム・ローンを借りて住宅を購入した人に壊滅的な打撃を与える可能性があると推測する。アジャスタブル・レート・モーゲージという一定期間経過後に金利が大きく引き上げられるローンを借りた人の多くは、金利が引き上げられる前に住宅価格が上昇して有利な条件で借り換えが出来ると信じていた。アジャスタブル・レート・モーゲージというのは、金利の引き上げ頻度は毎月のものから5年に一度というものまでさまざまであるが、借りている期間中あがり続けるという共通点を持つ。

しかし住宅価格の下落と貸出条件の引き締めで、彼らが新しく住宅ローンを借りる資格を得ることは難しくなっている。

住宅ローンリスク評価会社~アメリカには色々な会社があるものですね~のある役員は「もしあなたがサブプライム・ローンを借りていて、住宅に含み益がないかあるいは含み損を抱えているとあなたは極めて困難な状態にいる」という。極めて困難な状態の原語はYou are in a deep spot 敢えて辞書を引かなくても、語感で「深みにはまっているなぁ」と分かるが、敢えて言うとin a (tight) spotで「ひどく困って」という熟語が出ていた。ただしdeep spotという用法は見当たらなかった。余談だがdeep spotという言葉は変な想像を招く可能性もあるので、会話などで使うべきかどうか迷うところだ。

  • 話がそれたがサブプライムローンの支払遅延やデフォルトは過去の平均の4倍に達している。向こう18ヶ月の間に250万人が住宅ローン返済額の急増に直面することになる。 高い金利にシフトするサブプライムローンの金額は3500億ドルを超え、金利上昇で借入人のコストは3割以上増加するとクレディスイスは言う。リーマンブラザースは金利引き上げにより150万人が競売に追い込まれると見積もっている。

連銀は貸出金利を4.75%に引き下げたが、総てのサブプライムローンの借り手が恩恵を受けるわけではない。というのはアジャスタブル・レート・サブプライムローンの73%は6ヶ月Liborベースだからだ。銀行間の貸し借りに使われるLiborは銀行同士の信用懸念からやく5.1%に上昇している。

返済するまで金利が上昇し続けるとは何とも怖いローンである。リファイナンスの可能性を楽観的に考えて借りてしまうとまさに深みにはまってしまうという大変なローンだ。

その影響の大きさはまだ充分に見極めにくいというのが、謙虚な見方かもしれない。

コメント (1)
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