暑い中ですが、真面目な本を1冊読んでいます。
昔の中国では考え事をするのに適した場所を三上(馬上・枕上・厠上)と呼びました。現在の家庭環境ではトイレを長時間独占する訳にはいきませんが、馬上を車上と読み替えると列車の中や布団の中が考え事をしたり、読書をしたりするのに適した場所であることは現在も変わらないでしょう。出張が多かったサラリーマン時代に結構本を読むことができたのは、往復の車上やホテルのベッドの上が読書の場になったからでしょうね。
さて今回ちょっと岡山方面に出かけた時、往復の新幹線の中で読んだのが、「偽りの夜明けを超えて①」中西輝政著 PHP研究所です。
この本は著者がVoice(PHP研究所)に掲載した論考をまとめたもので、コロナ以前・ロシアのウクライナ侵攻以前に書かれたものも含まれています。
そしてコロナ以前・ウクライナ以前に書かれた論考がこの二つの歴史的なテストを超えて、輝きを放っているのは著者の視点の高さを表しています。
著者が言いたいことは「日本人に自立の矜持(きょうじ)を持て」「現実主義の思想を持って現実を直視しろ」ということなのです。
著者は主に「国としての自立」を論じていますが、国として自立の矜持を持つためには、個々人が人生の最大の目標として自立ないし自立の維持を目指すという心構えを持つことが大切でしょう。自助共助公助という言葉がありますが、災害・介護等についてもまず自助をもっと重視することが大事でしょう。
超高齢化社会を乗り越えていくには、元気なシニアにはもっと自助を求める施策を取って良いと思います。
これはこの本を離れた私の個人的な意見ですが、元気なシニアが自立力を一部失った人々を支援する共助や公助の活動に参加した場合は、それに見合う社会保険料や税金の控除を行うといった制度設計はできないものだろうか?と私は考えています。
想定される活動範囲は広い。「買い物代行」「庭掃除」「エンディングノート作成の手伝い」「スマートフォンやパソコン操作の補助」「病院への送迎」等々。ボランティアとしてただでやってください、というのだけではサービスを提供する側のインセンティブが弱いと思います。
良い知恵はないものでしょうか?