昨日「ユーロは大丈夫か?」という記事を書いたところ、「欧州より」さんから次のような貴重な現地情報を頂いた。
実は、28日夜のフランスのニュースで公表されたので、秘密ではなくなったようですが、厳格な財政規律を守れる北の国6カ国で、新たなユーロを作る構想があります。
このような情報が欧州でどの程度広がっているのかは分からないが、今日のFTやロイターは「欧州の大企業はユーロ崩壊に備えて危機対策を検討し始めている」と報じていた。
ロイターはデンマーク(ユーロ圏外)の世界的なインシュリンメーカー・ノボ・ノルディスクがユーロ崩壊の影響を模索し始めていると報じていた。FTは英国の酒造メーカー・ディアジオ社のモルガン社長の「ユーロの崩壊とはどのようなものか考え始めたところだ。ユーロの周辺でより大きな変化が起きると我々も異なった状況に入る。ユーロから離脱する国では、大きな平価切下げが起こり輸入品は極めて高くなる」と述べている。
世界的に事業展開を行なう会社の中には「ユーロの崩壊は暗い話だが管理可能だ」と述べる先もある。フォルクスワーゲンのポルトガル現地法人の財務責任者は「ポルトガルがユーロ圏から離脱することがあっても、全般的なインパクトはそれほどネガティブなものではない。何故なら我々は輸出業者であり、世界的なグループの一員だからだ」と述べている。つまりポルトガルの通貨(昔に戻るとエクスード)が安くなると輸出競争力が増えるからプラスという話だ。
フランス、イタリア、スペインの経営者の中には「企業がワーストケースシナリオとしてユーロの崩壊ということを考えているということが一般に知られるようになると、そのことがユーロ圏の安定に対してより大きな脅威になると述べている。
だが「考えられない(ないしは考えたくない)ことを世界的な企業はワーストケースシナリオとして考え始めたことは着目しておいて良いだろう。
もし仮にユーロが崩壊するとどのような経路をたどるのだろうか?
一般的にはギリシャやポルトガルのような多重債務国がユーロを離脱するという見方が多いだろうが、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの為替ヘッド・サイモン・ディック氏はドイツが国債の価値を守るために自らユーロを離脱するのではないか?という見方を示している。恐らくその場合はフィンランド等がドイツに同調するのだろう(私見)。
恐らく多くの人々は「ドイツは自分の言い分が通らない時はユーロを離脱するということをleverageとして、連帯保証を行なうとともに南欧諸国の財政政策に強く関与する権限を得る・・・」という落ち着きどころを予想しているのだろうが、「考えられないことを考える」必要も出てきたようである。