8月の米国株相場は、初旬に発表された雇用統計が期待外れだったことで調子を崩した上、ハイテク銘柄から出遅れ銘柄等へのローテーションでボラティリティが高まった。
だがその後、インフレの継続的な緩和と小売売上高の増加が報告された。また失業保険申請件数も横ばいで、レイオフが大きく増加している兆候は見られなかった。
連銀のパウエル議長は、9月のFOMC(9月17日・18日)で利下げを計画していると示唆した。これらの要因で株価は上昇に転じ、月間を通じて、S&P500は2.3%、ダウは1.8%、ナスダックは0.6%上昇した。
ただこれは株式のパフォーマンスの話で、円投で米国株に投資ている日本の投資家にとっては、6円ほど円高が進み、為替の含み損が株の評価益アップを上回った。
なぜ日本の投資家の話をしたかというと、先日銀行の後輩連中と信州に行った時、酒の席で昨今は確定拠出年金でS&P500ファンドに投資する人が増えているという話を聞いたからだ。
銀行も企業年金の確定給付分が減り、確定拠出分が増えているという話で、確定拠出ではパフォーマンスが良い米国株が選好されているという話だった。
たしかに今年の6月までの日本からの米国株投資のパフォーマンスは非常に高かった。高いパフォーマンスは急激な円安ドル高がもたらしたもので、バブルとはいわないが、一種の泡のようなものだった。
今働いている人が確定拠出年金などを通じて、米国株に投資することは良いことだと思う。長期的には米国株は他の資産より高いパフォーマンスをもたらす可能性が高いからだ。加えて米国や世界の経済や政治に関心を持つことは知的活動の水平線を拡げる上でプラスになるからだ。ひょっとするとこの効果の方が資産運用効果よりも人生に与えるプラス効果は大きいかもしれない、と私はこの頃考えている。それに較べれば、運用資産の月間パフォーマンスなど気にするほどのものではないだろう。