金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

大荒れの8月米国株は月間プラスで終了

2024年08月31日 | 投資
 8月の米国株相場は、初旬に発表された雇用統計が期待外れだったことで調子を崩した上、ハイテク銘柄から出遅れ銘柄等へのローテーションでボラティリティが高まった。
 だがその後、インフレの継続的な緩和と小売売上高の増加が報告された。また失業保険申請件数も横ばいで、レイオフが大きく増加している兆候は見られなかった。
 連銀のパウエル議長は、9月のFOMC(9月17日・18日)で利下げを計画していると示唆した。これらの要因で株価は上昇に転じ、月間を通じて、S&P500は2.3%、ダウは1.8%、ナスダックは0.6%上昇した。
 ただこれは株式のパフォーマンスの話で、円投で米国株に投資ている日本の投資家にとっては、6円ほど円高が進み、為替の含み損が株の評価益アップを上回った。
 なぜ日本の投資家の話をしたかというと、先日銀行の後輩連中と信州に行った時、酒の席で昨今は確定拠出年金でS&P500ファンドに投資する人が増えているという話を聞いたからだ。
 銀行も企業年金の確定給付分が減り、確定拠出分が増えているという話で、確定拠出ではパフォーマンスが良い米国株が選好されているという話だった。
 たしかに今年の6月までの日本からの米国株投資のパフォーマンスは非常に高かった。高いパフォーマンスは急激な円安ドル高がもたらしたもので、バブルとはいわないが、一種の泡のようなものだった。
 今働いている人が確定拠出年金などを通じて、米国株に投資することは良いことだと思う。長期的には米国株は他の資産より高いパフォーマンスをもたらす可能性が高いからだ。加えて米国や世界の経済や政治に関心を持つことは知的活動の水平線を拡げる上でプラスになるからだ。ひょっとするとこの効果の方が資産運用効果よりも人生に与えるプラス効果は大きいかもしれない、と私はこの頃考えている。それに較べれば、運用資産の月間パフォーマンスなど気にするほどのものではないだろう。
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ハリス副大統領、僅差でトランプ氏をリード。だが誤差の範囲。

2024年08月30日 | ニュース
 米国大統領選挙まで後2カ月強となった。日本の新聞も米大統領選挙の様子を大きく取り上げ始めた。
 例えば読売新聞は「ハリス氏『共和党員を閣僚に起用』、異なる見解取り入れ中間層強化」…党指名獲得後の初インタビューをいう記事で、ハリス氏が大統領になれば、共和党員を閣僚に起用する方針を明らかにしたことを大きく報じていた。
 これは29日に行われたCNNのインタビューについて報じたもので、WSJにも解説記事が出ていた。
 そのタイトルは「ハリス氏は自分の政策転換を擁護した」というもの。これはハリス氏が副大統領になってから、フラッキング(水圧破砕法を使ったシェールガス・石油の開発)について、禁止支持から禁止反対に転じたことなど、政策転換に対する批判に自己弁護したことを指している。ハリス氏の主張は「価値基準は変わっていない」というものだ。
 一方共和党員を閣僚起用する、という発言については、それほど関心を集めていない。過去に野党側の議員を閣僚に任命したことがあり、それほど目新しい話ではなさそうだ。
 WSJが最近行った調査によると、ハリス氏とトランプ氏の一対一の支持率調査では、48%対47%でハリス氏がリードし、独立候補を含めた世論調査でも47%対45%でハリス氏が2%リードしている。
 ただし調査には±2.5%の誤差があるというから、ハリス氏のリードはまだ誤差の範囲である。
 ただし去年の後半位からバイデン氏に対してかなり優勢を保ってきたトランプ氏が初めて民主党候補(ハリス氏)にリードを許したということで、大統領選挙運動に拍車がかかってくることは間違いない。

 その時の一つの論点は「ハリス氏の政策転換」になるかもしれない。政策を転換することは必ずしも悪い訳ではない。しかし「人気取りのための政策転換
」はアメリカの選挙民から嫌われる。
 ハリス氏はこれから、自分が何故環境問題や移民問題で政策転換したのか?政策転換をしたけれど、なぜ自分の価値基準は変わっていないといえるのか?ということを国民に分かりやすく説明する必要があるだろう。
 現時点でハリス氏が勝つのかトランプ氏が勝つのかは予想はつかない。しかしどちらが勝つにしても、相当激しい論争を通じて、首尾一貫性や説得力が国民の目によってスクリーニングされることは間違いない。
 その厳しい論争を勝ち抜いてくる大統領に日本の新首相が対峙すると考えると、心細さを覚える次第。

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教員の「残業代」改革案、低すぎるんじゃないの?

2024年08月28日 | ニュース
 少し前の読売新聞に『教員「残業代」3倍に 基本給13% 担任手当も拡充処遇改善案」という記事がでていた。
 文部科学省がまとめた公立学校教員の処遇改善案の概要が判明したもので、残業代の代わりに一律支給されている「教職調整額」を、基本給の4%から13%に引き上げる方針で、実現すれば約50%ぶりの改定になるということだ。
 私は教職問題について専門ではないし、また特別関心がある訳ではない。しかしこの問題について少し書いてみようと思ったのは、読売新聞の記事が「事実を伝えているにしろ、解説部分があまりに少なく、一般読者に正しい情報を与えることができるか甚だ疑問」と思ったからだ。
 
 記事のタイトルだけを見て「残業代が3倍に増えるなら良いんじゃないの?」と思う読者もいるだろう。私は読売新聞にはもう少し突っ込んだ分析をして欲しいと思う。
 具体的にいうと基本給の13%という残業代相当の手当は残業時間何時間に相当するのか?といった説明だ。
 以下次の条件で自分で計算してみた。
  •  基本給を月25万円とする(初任給の上限レベル)
  •  1カ月の所定労働時間を160時間(20時間×20日間)
  •  残業手当の割増率を25%とする。
 この例では「教職調整額」は32,500円になる。これを1時間当たりの残業代1,963円(基本給÷所定労働時間×1.25%)で割ると16.56時間になる。
 つまりこの教職調整額は月17時間弱の残業時間に等しい訳だ。一日平均では50分程度の残業時間になる。
 問題は月17時間の残業が実態にあっているかどうかだ。記事には「文科省の22年度調査では、国が上限とする月45時間を超えて残業していた教員は小学校で65%、中学校では77%だった」とあるから、月17時弱の残業代では、教師側の大幅持ち出しになっている可能性は高い。
 私は新聞記事は、一般読者が合理的な判断を行うような情報を提供するべきだと考えている。単なる事実だけならネットで記事を読む方が早いしコストもかからない。
 さて折角教員の問題を書きだしたので、もう少し追加しておこう。
 教員の給与の低さや燃え尽き症候群Burning outはアメリカでも大きな問題になっている。学校へのスマートフォンの持ち込み、人工知能を利用した生徒のずる、授業以外の雑務の増加、長時間労働、他の職業と較べた相対的な低賃金など、先進国に共通する問題が多い。
 WSJのTeachers are burning out on the jobという記事によると、アメリカの教師のストレスの原因の上位は次のようなものだ。
「生徒の行動管理」(約45%)「サラリーが低い」(約37%)「教育以外の管理的な仕事が多い」(約32%)「長時間労働」(約26%)「担任する生徒のメンタルヘルスや福祉面のサポート」(約22%)といったところだ。
 日本の教師のストレス原因も共通するものが多いが、日本の場合は「サラリーが低い」ということはあまり表に出ていないようだ。
 日米の違いが、教師の給与レベルの違いからくるのか?あるは日本人の教師聖職観(今でもあるのか疑問だが)のようなものから来るのかは分からない。
 しかし私は教師の方からもストレートに「こんな安い報酬で長時間勤務はやっていられない」と声を大にしても良いと思う。マスコミももっと色々な情報を提供して、読者に判断材料を与えるべきだと思う。

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晩夏の信州駆け足山旅(3)

2024年08月27日 | 旅行
 短い信州の山旅最後の日は八方尾根の軽登山でした。前日泊まった白馬ホテルパイプのけむりからマイカーで黒菱平に登り、そこからリフトを2本乗り継いで八方池山荘の前へ。そこから八方池往復です。
 往路は南側の迂回路(木道の多い道)を登りました。ここは高山植物に出会う気持ちのよい道です。
 アザミの向こうにはぼんやりと八方池山荘
白いオオバギボウシとシモツケソウ
ツリガネニンジン
ホタルブクロ
リフトに乗るときから降っていた雨。雨に濡れた高山植物は生き生きしていました。
雨は第二ケルン(トイレがあるところ)あたりから激しくなり、八方池についた時はバケツをひっくり返したような雨になりました。
 下山後八方の湯で冷えた体を温め、信州駆け足山旅を終了しました。
 数日前このブログで「退職後は一ところに3泊する位のんびりした旅をするのが良い」というWSJの記事を紹介しましたが、今回の旅行はその真逆のせわしない旅でした。
 せわしない旅の反省は、やはり一ところでもっとのんびり過ごした方が良いというものです。
 今回上高地、乗鞍高原、白馬山麓と回りましたが、のんびり過ごすなら乗鞍高原でしょうね。理由は「標高が1,500mと高いので涼しい(標高100mで0.6℃気温が下がります)こと」「しゃれたペンションに手頃な値段(1.1万円)で泊まれること」「乗鞍岳登山以外にハイキング、サイクリングなどアウトドアメニューがあること」です。そして何もせずにペンションの庭のベンチに座ってビールを飲みながら、風に吹かれているという至福の時を過ごすこともできます。
 まあ今回の駆け足山旅は、次はゆっくり旅をしようという思いを確認する旅だったかもしれません。

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晩夏の信州駆け足山旅(2)

2024年08月26日 | 旅行
 信州の駆け足山旅の二日目は、乗鞍岳の最高峰・剣ヶ峰(3,026m)登山です。泊まったペンションでは午前6時から朝食を出してくれるので、朝ごはんを食べてから、車を三本滝駐車場に回しました。この日は翌日開催される自転車によるヒルクライム大会のため、観光センターの駐車場が閉鎖されていたのです。
 三本滝駐車場の横にはヤナギランが咲いていました。その向こうにはスキーリフトが見えました。冬になるとこの上には上級者向けの急斜面が広がり、その上には位ヶ原に続くツアーコースが伸びています。
バスの終点畳平はもう高山の世界です。乗鞍岳というピークはなく、最高峰・剣ヶ峰など23のピークが乗鞍岳を形成しています。
剣ヶ峰への道を歩き始めると槍ヶ岳が見えてきました。
剣ヶ峰への道は、肩の小屋までは広い道です。肩の小屋からは山道になります。
穂高連峰の山頂部が雲の中から頭を出しています。
剣ヶ峰到着は午前10時。8時過ぎに登り始めたので2時間ほどかかりました。ゆっくり登ったこともありますが、下ってくる登山者とのすれ違いにも時間を取られました。写真のとおり頂上は人の山です。
高山植物ではコマクサが目につきました。
トウヤクリンドウも咲いていました。漢字では当薬竜胆、かっては根が民間薬として利用されていたそうです。
乗鞍岳は明るく、険しくなく、安心して登ることができる山です。
短い時間の山旅では、木曽駒ケ岳などと並んで推奨できる山ですね。
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