金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

EU離脱国民投票から1週間、市場は冷静に次の可能性を模索?

2016年06月30日 | 投資

株や為替市場に激震を走らせた先週木曜日の英国国民投票から1週間が経った。

昨日の米国株市場は堅調なアジア・欧州相場を引き継ぎ、2日連続の上げ相場となった。ダウは284.96ポイント(1.64%)、S&Pは34.68ポイント(1.70%)上昇し、先週の下げの半分程度を回復した。これは年初の株価を若干上回る水準だ。

恐怖指数と呼ばれるVIX指数も先週金曜日の25.8から11.3に低下した。

市場は少し冷静に英国におけるEU離脱の国民投票の意味を考え始めたのだろう。

第1に「英国の国民投票には法的拘束力はない」ということだ。国会が立法しない限り英国ではものごとは動かない。また総選挙で選ばれた次の国会は前の国会の決議に拘束されないという。キャメロン首相率いる保守党は「EU離脱の可否を国民投票で問う」ことをマニフェストに掲げそれを実行したが、もし国会解散・総選挙で選ばれた新しい国会が「EU残留を決める可能性もある」と解説する専門家もいる。

また英国がEUとの離脱交渉の中で「離脱支持派が納得する条件を引き出してEUに留まる可能性もある」と解説する専門家もいる。

市場はこれらの可能性を検討し始めたのだろう。

今週のラリーは狼狽売りの反動が大きいだろう。しかし相場には「半値八掛け二割引き」という格言もある。ここから先相場が国民投票前のレベルまで戻るかあるいは短期的なリリーフラリーで終わるのかは分らない。

将来のことは分らない。ただ一つはっきりしていることは、英国は今すぐEUを離脱するのではなく、離脱を正式に宣言してもなお2年間の交渉期間があるということだ。

さて株価はかなり戻してきたが為替についてはしばらく円高が続くのではないだろうか?その大きな理由は米連銀が年内利上げを見送る可能性が高いと市場が判断していることだ。また市場が動揺すると安全通貨の円が買われるというムードも円を売り難くしている。

相場は少し落ち着きを見せ始めたが、英国の政局とEUとの交渉が攪乱要因であることはかわりないだろう。

 

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スマートフォン故障で色々考えました

2016年06月29日 | デジタル・インターネット

今週初めにスマートフォンの調子がおかしくなりました。最初は電池(3.1年使用)が劣化してると思いドコモショップに電池交換に行きました。電池の在庫は店頭になく、配送に約10日後に郵送ということでしたが、他に手がないので申し込みました。

ところが翌日になるとUSBケーブルから充電できなくなったのです。またドコモショップに行って色々調べて貰ったところ、USBポートの故障ということになり、機種本体を交換することにしました。携帯補償サービスに加入していたので、購入後3年未満なら修理が可能だったのですが、3年を超えているので、無償修理は不可能なので、5千円(貯まっていたポイントを利用)払って本体を交換することにしました。

交換機種(リフレッシュ品)は昨日ドコモショップに届き、機種交換手続きを終了しました。

この一連のドタバタの中で色々なことを考えました。

1)スマートフォンは電話・メール以外に、新幹線の予約(特に直前の予約変更)・Suica等の電子マネーに使っているので、数日使えないと日常生活に支障をきたすことを改めて実感した。

2)スマートフォンには「紛失」「故障」といったトラブルがつきものなので、トラブルを前提とした対策が必要である。

例えばSuicaについては、プラスチックカードのSuicaと携帯の2枚持ちをしているので、すぐに不便は発生しない。新幹線の予約・予約変更はタブレットでもできる(ただしタブレットはWifi通信のみ)なので、ある程度の対応はできる。

メールについては携帯メールをパソコンに転送する仕掛けを作っておく必要があるが、ドコモにはメールの自動転送機能はない。ただし「マルチディバイスでドコモメールを利用する」という設定をしておくと、パソコンからもドコモメールを見ることができる(送信もできる)。ただしこの設定はスマートフォンからの操作が必要なので、スマートフォンがトラブルになる前にやっておく必要がある。

つまり可能な限り、色々なものを二重化しておくことが大切。

3)MVNOs(仮想移動体通信業者)を使った格安スマートフォンへの切り替えも検討課題だと思うが、スマートフォンの故障や紛失というトラブル発生時の対応に不安が残る。そのあたりをチェックしてみたい。

4)データは極力クラウド化してスマートフォン本体に残さない。

今回機種変更後USBケーブルで古いスマートフォンから新しい方へデータの移行を試みたが、接続が悪く移行はできなかった。移行したかったデータは画像データ位でそれも重要なものは、クラウドに転送していたので、データ移行は断念した。「住所録」「電話帳」等は総てクラウド化しているので、問題はなかった。

多少の出費はあったものの、これを機会にデータ管理の二重化について勉強できたことは良かったと思っています。

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海に降雨や恋しき浮身宿・・・旅からの芭蕉

2016年06月28日 | 俳句

「好きだけれど詳しく知らない」というものがある。私にとって芭蕉の俳句というのはそのようなものだ。

旅先で芭蕉の句碑を見ては、芭蕉はこんなところまで来て俳句を詠んでいるのだ、と感心することも多い。しかし生来のなまけもので、芭蕉を体系的に勉強しようという意欲はない。

旅先というと先日大阪から乗った新幹線のグリーン車の中の「ひととき」に掲題の句についての記事があった。

話はそれるが私は東海道新幹線に乗る時、4,5回に1回程度グリーン車を使うことがある。贅沢だとは思うが、在来線等に較べると東海道新幹線のグリーン車は普通車に較べてシートがゆったりしていて、お値打ち感がある。「ひととき」や「ウエッジ」を読みながら、水割りを飲み、眠くなったら眠るというのは、楽しいひと時であり、飲み会一回分の値打ちはあるだろう。

さて「海に降(ふる)雨や恋しき浮身宿」の句である。この句は芭蕉が奥の細道の旅の途中、新潟で詠んだそうだが、「奥の細道」には載っておらず、芭蕉作と認めない学者も多い。真贋はさておき、甘くて艶っぽいところが良い句だと思う。

浮身とは越前越後地方の遊女で旅商人が宿に滞在するとき、同居して世話をしてくれたという。

「奥の細道」は越後越中地方に実にそっけない。酒田で知人との惜別に日を重ねた芭蕉は急ぎ足で金沢(加賀)まで旅を続ける。途中「荒海や佐渡に横たふ天の河」という超有名な句を残すが、月山・羽黒山・最上川などでの句作のペースに較べると完全にペースダウンしている。

「暑湿の労に神を悩まし、病おこりて事をしるさず」と奥の細道に芭蕉は書いている。時期は現在の暦で8月中旬。一番蒸し暑い頃だ。旅の疲労も積り、句作のモチベーションも下がっていたのだろう。そんな時「浮身」が親身に世話をしてくれたのだろう。あくまでも推測だが。

海に降る雨を見て芭蕉は親切だった浮身宿を思い出している・・・。奥の細道には「一家(ひとつや)に遊女も寝たり萩と月」の句が載っているが、こちらは少し離れた場所から遊女と一つ屋根の下で寝ている芭蕉を客観的に眺めている感じで、切なさにおいては「海に降雨」の方が上ではないか?と私は感じている。

ちなみに「海に降雨」の句には季語がないと「ひととき」は書いていた。芭蕉は無季の句を否定せず、その可能性を探っていたという。

季語を気にせずに「つぶやき」を俳句として良いのであれば、俳句はもっと楽なものかもしれない・・・などと考えている。

 

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イギリス、43年目の熟年離婚を長い目でみると・・

2016年06月28日 | ニュース

先週イギリスの国民投票で決まったEU離脱が世界の市場を揺さぶっている。昨日日本株は大幅に反発したものの、米国株は下落した。ダウは260ポイント1.5%下落。リスクに敏感なナスダックは113.54ポイント(2.41%)下落した。

海外メディアを見るとEU離脱を離婚Devoceと表現している場合が多い。英国がEUに参加したのは1973年だから43年目の熟年離婚ということになる。人間に例えるなら、25歳で結婚した人が退職後一息ついて人生を見直した結果離婚に踏み切るようなものかもしれない。

マーケットを見ていても、楽しい話はないから、少し長い目で英国とヨーロッパの歴史を振り返ってみた。

そうすると43年の共同生活というのは、かなり長い蜜月だったと思えてくる。

イギリスや欧州というのは、少し前まで熱い戦争を繰り返していた。第一次世界大戦(1914年~1919年)の前には1980年にボーア戦争(戦場はアフリカ南部だが)があり、その10年前には普仏戦争があった。ボーア戦争での苦戦とドイツ帝国の台頭に悩む英国は「栄光ある孤立」Splendid Isolationを選択する(正確にいうと栄光ある孤立という言葉はカナダ議会で最初に使われ、それを当時のイギリスの首相が自国民を鼓舞するため取り上げ流行語になったようだ)。

イギリスが「栄光ある孤立」の旗を降ろしたのは、1902年の日英同盟締結だった。1904年には最近では第0次世界大戦ともよばれる日露戦争が勃発。そしてその10年後に第一次世界大戦が勃発する。比較的平和な時代が続いたのは第一次世界大戦が終わった1919年から第二次世界大戦がはじまる1939年までの20年間だった。第二次世界大戦が終わって70年。前半は冷戦の時期ではあったが、熱い血はあまり流れなかった。

人の人生と国々の歴史を比類するのが正しいかどうかは分らないが、長い同居生活がお互いの理解を深めるとは限らないようだ。

個人的な欲求が満たされない時、共同生活の解消に解決策を見いだそうとするのは、個人も国も同じなのかもしれない。

ただ個人と国が違うのは、個人は離婚すれば、二度と会わないということを選択できるが、国同士ではその選択はないということだ。国と国は経済・安全保障・人々の交流・文化の面で密接に繋がっている。離婚してもなお有効な関係を続けなければならないのが、国の宿命。さもないと経済活動は収縮し、その先には相手に対する憎悪間が高まり、最悪の場合は熱い戦争が起きないとも限らない(成熟した西欧においてその可能性はないだろうが)。

「栄光ある孤立」などという言葉は死語であって欲しいと思う・・・・

 

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英国のEU離脱、手続きは長くかかるだろう

2016年06月25日 | 国際・政治

昨日(6月24日)の朝ブログを書いた時点では世論調査によると英国のEU残留見通しがやや上回っていた。だからその前日全世界でリスクオンモードになり、株式市場は上昇していた。しかし開票が進むにつれて、離脱支持が増えて最終的には51.9%対48.9%で国民投票の結果は離脱と決まった。

昨日の朝の予想は見事に外れた訳だが、これは「英国にEUに留まって欲しい」という希望が判断を狂わせたのだろう。恐らく世界の大部分の投資家もまた残留を希望していたので、残留組優勢というニュースに過剰に反応したのかもしれない。

さて英国民は僅差でEU離脱を決めたが、これはホンのスタート点に過ぎない。EUメンバーの離脱については1985年にグリーンランドがEUの前身である欧州経済共同体から離脱した例があるだけで前例がないので、手続きは複雑になることが予想される。

加盟国の脱退ルールの定めたリスボン条約50条のサマリーをざっと読んでみたが、決められていることは「脱退を決めた国は欧州理事会に脱退意思を正式に通知する」「欧州理事会は交渉のガイドラインを発表する」「EUと脱退国の交渉が始まる」「欧州理事会は欧州議会に同意を求める」「議会は特定多数決の決定で承認する」というものだ。

もし2年間の交渉期間中に結論が出ない場合は、欧州理事会と脱退国の合意がない限り、脱退国のメンバーシップは自動的に終了する。

英国がEUを離脱するということは法律的には、英国が欧州基本条約とそれに付随する経済協定等の摘要から外れるということを意味する。

英国はEUを離脱し、EUの意思決定への参加と予算拠出義務を失う。しかしEU諸国の財やサービスへの自由なアクセスを希望するだろうから、新たに包括的な経済協定を結ぶことを模索するだろう。だがその姿はまだ見えないし、EU離脱派の増加を懸念するドイツ・フランスなどは交渉のハードルを高める可能性がある。

総ては不確実である。不確実な時、世界の投資家はリスク回避に動く。金曜日の世界の株価急落が英国のEU離脱リスクに投資家が身構えた結果だ。一部には売られ過ぎの銘柄もあり今後買戻しが入るだろう。だが英国のEU離脱が実現までには色々な政治外交上のイベントが続く。安定した市場は遠くなった。

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