株や為替市場に激震を走らせた先週木曜日の英国国民投票から1週間が経った。
昨日の米国株市場は堅調なアジア・欧州相場を引き継ぎ、2日連続の上げ相場となった。ダウは284.96ポイント(1.64%)、S&Pは34.68ポイント(1.70%)上昇し、先週の下げの半分程度を回復した。これは年初の株価を若干上回る水準だ。
恐怖指数と呼ばれるVIX指数も先週金曜日の25.8から11.3に低下した。
市場は少し冷静に英国におけるEU離脱の国民投票の意味を考え始めたのだろう。
第1に「英国の国民投票には法的拘束力はない」ということだ。国会が立法しない限り英国ではものごとは動かない。また総選挙で選ばれた次の国会は前の国会の決議に拘束されないという。キャメロン首相率いる保守党は「EU離脱の可否を国民投票で問う」ことをマニフェストに掲げそれを実行したが、もし国会解散・総選挙で選ばれた新しい国会が「EU残留を決める可能性もある」と解説する専門家もいる。
また英国がEUとの離脱交渉の中で「離脱支持派が納得する条件を引き出してEUに留まる可能性もある」と解説する専門家もいる。
市場はこれらの可能性を検討し始めたのだろう。
今週のラリーは狼狽売りの反動が大きいだろう。しかし相場には「半値八掛け二割引き」という格言もある。ここから先相場が国民投票前のレベルまで戻るかあるいは短期的なリリーフラリーで終わるのかは分らない。
将来のことは分らない。ただ一つはっきりしていることは、英国は今すぐEUを離脱するのではなく、離脱を正式に宣言してもなお2年間の交渉期間があるということだ。
さて株価はかなり戻してきたが為替についてはしばらく円高が続くのではないだろうか?その大きな理由は米連銀が年内利上げを見送る可能性が高いと市場が判断していることだ。また市場が動揺すると安全通貨の円が買われるというムードも円を売り難くしている。
相場は少し落ち着きを見せ始めたが、英国の政局とEUとの交渉が攪乱要因であることはかわりないだろう。