金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本も北朝鮮の動きに備えるべき

2009年01月30日 | 国際・政治

今日(1月30日)の日経新聞は小さく米国のシンクタンク・外交評議会が北朝鮮の体制崩壊に関するレポートを発表し、最悪シナリオは同国の秩序回復に46万人の兵力を要すると報じている。外交評議会Council on Foreign Relations(CFR)は一般的には「外国問題評議会」と訳され、米国政府に極めて大きな影響力を持つシンクタンクだ。CFRは「北朝鮮の政権交代に伴う不安定化リスクに米国は備えなければならない」と警鐘を鳴らしている。

CFRは北朝鮮で突然の政権交代が起きる可能性を示唆し、3つのシナリオを想定する。第一が新しいリーダーが現政権を整然と引き継ぐManaged succession、第二が後継者間の権力闘争を経て新しいリーダーが決まるContested succession、第三が後継者が決まらず、混乱の結果国家が崩壊するFailed succession。この場合は韓国が素早く吸収に動くことが広く想定されているとする。

さて今日の昼頃「北朝鮮の対韓国機関・祖国平和統一委員会が本日韓国政府に対して、対北朝鮮政策を非難し、南北朝鮮間の政治・軍事に関する総ての合意事項を破棄する」という宣言を出した。

ファイナンシャルタイムズは韓国大学のYoo教授のコメントを紹介している。それによると「北朝鮮はこのような態度に出て、オバマ新政権との交渉で主導権をとろうとしている」

またこのような動きは「金正日の健康状態が回復し、政治的な力を取り戻している」という米国の情報当局のコメントに続いて起きたとFTは述べ、金正日がハードポジションを主導している可能性を示唆している。だが金正日の健康には不安が付きまとう。北朝鮮の「言葉の攻撃」は毎度のことだが、軍事的な衝突の可能性が高まっていることは事実だ。

南北間の衝突や北朝鮮の崩壊時には東アジアに緊張が走ることは間違いない。このような事態に備えて日本国はコンティンジェンシー・プランは出来ているのだろうか?アフリカの海賊退治のように他の国に任せて、小田原評定をしている訳にはいかないが大丈夫だろうか?

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本売れてアマゾンの強さを実感

2009年01月30日 | デジタル・インターネット

今まで十数冊アマゾンで本を売っているが、昨日のディールの速さにはびっくりした。朝「予想どうりに不合理」という行動経済学の人気本を出品したところ、夜帰宅してメールを開くと「本が売れましたので発送して下さい」という通知が来ていた。最速の記録である。

アマゾンで本を売るコツは3つある。一つは「人気のある本を売ること」人気のない本は中々売れない。次に「出品者としての評価を高めること」私は過去の購入者達から最高級の評価を得ている。新しい購入者はこの評価を見て購入先を決めるから「市場」の信頼を得ることが大切だ。最後に「早く売りたいなら少し値段を下げて出すこと」だ。この3つが揃うとかなり早く読んだ本を売ることができる。昨日のディールはこの3つの要素が総て揃っていたから、素早く本が売れたのだろう。なお「この本は読んだ後売ろう」と決めた本はきれいに取り扱うことも大事なポイントだ。

中古本が良く売れるということは景気悪化で読書家が財布のヒモを締めているからかもしれない。そうすると本が売れたと喜んでいる訳にもいかないが・・・・・・。

ところでファイナンシャルタイムズによると、昨日アマゾンの株価は10%以上急騰した。これは同社が米国内の昨年第4四半期の売上高が10%伸びたと発表したことを受けたものだ。クリスマスシーズンのインターネット販売全体では3%の減少と報じられているから、アマゾンの一人勝ちの状態だ。米国では電子ブック・キンドルが大きな牽引車になっているようだ。

FTはあるアナリストの「インターネット販売は低価格と便利さのため、引き続き現実の店舗からシェアを奪う」というコメントを紹介している。

日本でも小売業苦戦の中、オンラインショップやテレビ・ショップは伸びている。今回の世界同時不況は消費者の無店舗販売への傾斜を加速する上で相当な影響力を持っている。リアルワールドの店がバーチャルな店に対抗するためには、対面販売でしか示せないコンサル力を高めるしかないのだが、多少高くても買い物をしたいと思う店は少なくなっている。

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海賊をTake on

2009年01月29日 | 政治

昨日(1月28日)浜田防衛相は「海賊被害が頻発するソマリア沖に海上自衛隊を派遣する準備を指示した」。このニュースは日本のマスコミのみならず、英米の新聞も取り上げている。ファイナンシャル・タイムズはTokyo prepares to take on African piratesという表題で記事を載せている。Take onは「攻撃する」というイディオムでPirateは海賊だ。「東京はアフリカの海賊を攻撃する準備をしている」という表題。だが実際のところは積極的なTake onではなく、相手が攻撃してきて始めて防衛できる正当防衛・緊急避難のみが現行法規では可能だ。

FTは日本政府は先月中国がソマリア沖に軍艦を送ったことにあせりを感じて重い腰を上げたと述べる。中国は駆逐艦2艘を送っている。中国の比較的早い動きに較べて日本の対応が遅すぎると国際社会での日本の発言力が低下するからだ。

アジア諸国の状況を見ると、韓国、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドが既に艦隊を派遣している。

ニューヨーク・タイムズは「国際商工会議所によると、ソマリア沖では111艘の船が攻撃され、42艘がハイジャックされた。そしてまだ10艘を超える船が身代金目当てに未だ捕虜になっている」と報じている。ニューヨーク・タイムズは表立って日本の遅い対応を批判している訳ではないが、「米国についで世界第2位の石油の純輸入国の日本は9割の原油を中東から輸入している」と書き加えている。

FTは「日本政府の高官は海軍であれば合法的に海賊を攻撃できるのだが、海軍でない日本の海上自衛隊には別の法律的根拠が必要だ」と報じている。

日本の国防予算はGDPの0.8%約4兆円だ。これだけの予算を使いながら、自国の商船や自国に輸入される商品ルートを守るために使えない「軍隊」を「自衛隊」の看板の元で抱えていることはバカバカしいような気がするが如何なものだろうか?

また危機に対してこのように遅い対応をしていると、アジア諸国の信頼を失うどころか全くナメられるのではないだろうかと心配になる。

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超薄型スクリーンが近づく

2009年01月29日 | デジタル・インターネット

昨今の経済・金融面は暗いニュースが多いので、読んでいて気が重たくなる。そこで明るいニュースを探して、科学技術面を読むことが多い。技術面の素養がないので骨が折れるが、多少の脳の刺激効果はある。最近のエコノミスト誌に「紙のように薄い電子スクリーンがまもなくやって来る」Electronic screens as thin as paper are coming soonという記事が出ていた。

超薄型スクリーンは紙のように丸めてポケットに入れることも可能だ。夢のような話だが私がこの記事に現実性を感じたのは、米国陸軍がスポンサーになっている点だ。軍は経済性よりも機能を重視するので開発が加速するのではないか?記事によると、画期的な技術革新はアリゾナ大学のFlexible Display Centerで起きている。同センターではヒューレッド・パッカードの技術と電子インキ会社E Inkの技術を活用している。エコノミスト誌はこのスクリーンを「電子遊泳」Electrophoreticスクリーンと呼んでいる。これは透明なカプセルの中に帯電した白と黒の粒子を入れ、電圧をかけることで顔料粒子を移動させて、表示を行うものだ。

このプロジェクトに資金援助する米国陸軍は、この張薄型スクリーンを兵士に携帯させ、「電子地図」を表示させたり、情報を受信することを期待している。エコノミスト誌は消費者向けのトライアル版は数年の内に登場するだろうと予測している。

「電子遊泳」スクリーンのメリットは軽くて、丸めることが可能な上に、LDC(液晶スクリーン)のように背面からの光がいらない、製造コストが安い、使用時の電力消費量が少ないというメリットがある。

「電子遊泳」スクリーン自体は既に商品化されているが、それはLDCと同じようにガラスの上で動いている。エコノミスト誌によると「電子遊泳」スクリーンが実用に使われている例はアマゾンの電子書籍を読むツールのキンドルKindleだ(2007年11月発売)。キンドルはペーパーブックサイズのディスプレイで、ワイヤレスに書籍や新聞画面をダウンロードして読むことができる。米国では大変な人気で相当待たないと入手できないようだ。又私がざっと見たところでは、セイコーエプソンがE Ink社スクリーン専用のコントローラを開発している。

電子インクにはまだ弱点はある。それはカラー対応していないことだ。だがやがてカラー版が登場することは間違いないと考えてよいだろう。

もしカラー版の超薄型スクリーンが実用可能になると、日常の生活や経済に大きな影響を与えそうだ。まず新聞を電子スクリーンで読めると紙版の新聞は駆逐されるだろう。雑誌や文庫本などもしかり。これらのことは「省エネ・省資源」の観点から消費者や政府から支持される時代が来るだろう。

電子遊泳スクリーンが実用化されると、経済的にかなり大きなインパクトがあることは間違いない。

個人的にいえば山に行く時も超薄型スクリーンがあると、2万五千分の1地図も案内書もいらない。天気図もダウンロードできるので大変便利だ。

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中国が1位で日本は3位

2009年01月27日 | デジタル・インターネット

「中国が1位で日本が3位のものは何?」と言うとちょっとしたクイズだ。答はインターネット・ユーザーの数(他にもあるかもしれないが)。エコノミスト誌は国別のインターネット・ユーザーの数に関するcomScore社の統計を紹介していた。それによると世界中のインターネット・ユーザーの数(15歳以上のユニーク・ユーザー数、ただしインターネット・カフェや携帯電話経由を除く)は初めて10億人を超えた。

一番ユーザー数が多い国は中国で179.71百万人。2位が米国で163.3百万人。3位が日本で60百万人。数ヶ月前まで米国が1位だったが、エコノミスト誌は米国のインターネット・ユーザー数は飽和点に達したと述べている。

日本の後にドイツ、英国、フランスが続き、7位にインドが来る。インドのユーザー数は32百万人だ。数年後にはインドが2,3位まで上がっても不思議ではない。

エコノミスト誌の記事は淡々と事実を報じるだけだが、中国のインターネット・ユーザーがこれだけ増えたことの影響をどう考えておけば良いのだろうか?

確実なことは中国でもはや情報統制や思想統制は不可能になってきたことだ。最近の中国の報道を見ていると失業者の増加状況など社会問題を比較的正直に伝えていると思われる(統計自体が制度の問題から余りあてにならないという問題はあるが・・・・)。

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