昨日セールスマンの誘いを受けて、野村證券取引店に「来年の株価見通し」を一対一で聞きに行きました。
野村によると、日経平均は年末までに2.1万円円を目指し、来年参院選挙前には2.4万円をつける局面もあるのではないか?ということです。その根拠は日本企業の増益が続くことで、日経平均が2.4万円になってもPERは17倍程度と概ね正常なレンジ(14倍~17倍)に入っているという説明でした。
また野村は米国株についてもかなり強気な見方を示していました。
一方ゴールドマンザックスは米国株については、やや弱気な見方を示しています。
どちらの見方が正しかったかは1年後でないと分りませんが、私は日米証券会社が抱える顧客の違いを反映した一種のポジショントークが入っていると感じ、ここはゴールドマンの意見を中心に考えてみたいと思っています。
というのは、野村証券が相手にする一般的な日本の個人投資家はそれ程米国の個別銘柄を買わないと思われるので、儲けが出る日本株や投信の販売を促進するために、米国株式市場も好調だ、というストーリーを作っている気がするからです。
一方ゴールドマンは米国株式市場は全体ではさえないが、優良個別銘柄を選別すれば、市場平均を上回るパフォーマンスを上げることができるというセールストークができるからです。
さてゴールドマンの意見を聞いてみましょう。
今週月曜日に顧客宛レポートを書いた同社のDavid Kostin氏は、米国企業の売上高利益率は2016年・17年とも9.1%で横ばいで推移すると予想しています。
その理由は長年にわたって、利益率を押し上げてきた「低金利・低税率・製造業からサービス業へのシフト・技術革新」という好材料が出尽くしたからだ、と同氏は説明します。
また2009年から利益率拡大を押し上げてきた要因はIT企業の利益率拡大で、S&P500全体に対する貢献度は48%になり、なかでもアップルの貢献度は1社で18%もあったと述べています。
そのアップルの成長に陰りが見えています。アップルウオッチ、テレビも売れない。iPadもぱっとしない状況で、2016年の利益率は若干低下するのではないか?と予想する人もいます。
つまり米国企業の高収益を支えてきたアップルに陰りが見える上、多くの企業で利益を絞り出せるところまで絞り出した結果、当面利益率の改善が見込めないので、バリュエーションに変化がなければ、株価はあまり上昇しないというのが、ゴールドマンの結論です。
一方野村証券は米国株のPERが上昇する可能性がある(その根拠は分りませんが)ので、米国株に上昇余地があると説明していました。
いずれにしても、何でも投資すれば利益が出たという時代は終わり、アップルに変わる可能性を秘めた新しい企業を探し当てた投資家がパフォーマンスを上げることができる時代になりそうです。
ゴールドマンはその一例として、Priceline(旅行に関するオンラインサービス)、Tripadvisor(ホテルなどの価格比較サイト)、Netflix(ストリーミング配信)、PayPal(オンライン決済)などを上げていました。Tripadvisorなどは個人的にも使っているので親しみがありますね。
この手の企業は規模の利益が重要ですから、業界が拡大するならば米国企業の勝ち目は大きいと思います。
また既に大きくなった会社ですが、ゴールドマンはAmazonやAlphabet(グーグル)にも伸びしろがあると見ています。
もっともこれらの話にはセールストークが入っているのではないか?と割り引いて考える必要はあるでしょう。
私は基本的には一般の個人投資家には、運用コストが低く、リスクが分散されたインデックス運用を薦めていますが、「5,6年使わないリスクを取ることができる資金がある」という人は将来の楽しみとしてこれらの銘柄を一つ二つ持ってみても良いと思っています。
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